一璃(にのまえあき)

趣味の朗読に関すること(朗読後記/マニア向け)や140文字のお話・マイクロノベルを書い…

一璃(にのまえあき)

趣味の朗読に関すること(朗読後記/マニア向け)や140文字のお話・マイクロノベルを書いています。 Podcastで朗読をしています。 「一の朗読」→ https://anchor.fm/ninomaeaki その他SNS⇒ https://lit.link/ninomaeaki

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「一の朗読」朗読リスト&朗読後記(リンク集)

<作家名敬称略> ◤anchor.fmにて公開している朗読◢ ◎芥川龍之介「蜜柑」 「蜜柑」(再録・2022年)ー後記:今年初めて読む話は 「妙な話」 「蜘蛛の糸」 「魔術」 1・2・習作ー後記:「魔術」芥川龍之介「魔術」を読み直してみる 「藪の中」前編・後編ー後記:芥川龍之介「藪の中」を読んでみる 「ピアノ」ー後記:芥川龍之介「ピアノ」 「蜘蛛の糸(再録・2022年)」ー後記:「蜘蛛の糸」を読んでみる 「沼」 ・「沼」(再録) ーMusic+Talk(Spotifyア

    • 本屋はじめました

      4月19日、宇都宮市の中心部を流れる釜川沿いに小さな書店 KMGW BOOKS がオープンしました。そこで本棚をレンタルしてオーナーになるブックセラーズアパートメントの入居者になりました。 地域活性化に取り組む団体がクラウドファンディングをして開業することになったのです。私はこの棚の権利を1年間応援購入しました。 地域活性化という目的もいいし、自分の読んだ本を置けばいいかな(ブック◯フに持って行く前に)程度の軽い気持ちで。 先日完成パーティが開催され、他の入居者の方々に会

      • 【マイクロノベル】こちら側

         部屋の明かりをつけると私が鏡に映った。向こうもこちらを見ている。たとえ同じ姿形をしていても、鏡面が隔てる世界は別のもの。どちらが本物かなんて考えたこともないでしょ?確かめてみるといいわ。動きが支配できていればあなたは本物。うん、大丈夫みたいね。部屋の明かりを消すと、私が消えた。

        • 【マイクロノベル】ミニトマト

           一人暮らしをしている母のマンションに行った。可愛がっていた猫のミーちゃんが年明けに死んだ。一時はだいぶ落ち込んでいたが今は元気みたいだ。プランターで育てているミニトマトには猫と同じ名前をつけている。名前を呼びながら水をあげて、一粒取って食べた。「ミーちゃんはやっぱり美味しいわ。」

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        「一の朗読」朗読リスト&朗読後記(リンク集)

        マガジン

        • 文集
          9本
        • マイクロノベル集
          33本
        • 朗読後記
          42本
        • こんな夢を見た
          37本
        • 『出版禁止 いやしの村滞在記』考察
          6本

        記事

          【朗読後記】夢十夜を読む

          久しぶりの朗読後記です。今回は夏目漱石の「夢十夜」の「第一夜」を再読したことについてです。前回読んだのは2022年の2月ですから約2年ぶりですね。この間、自分は朗読の何を学び、何を聞き分け、何ができるようになったのか検証したいと思います。 (以下、マニアックな話です) 全体でみると、前回は今よりも起伏がないフラットな読み方でした。読んでいた当時はもっと起伏をつけたつもりでいたのですが、実際はほとんどありませんでしたね。思い切りが悪いというか、変化に乏しく聞こえます。音のつく

          【朗読後記】夢十夜を読む

          【朗読後記】Spotify今年のまとめ・2023年

          今年もSpotifyからまとめが届きました。 去年に引き続き、私事が詰まっていて朗読があまりできない状況にあります。 12/3現在、2023年にポッドキャストにアップロードした朗読は12作品でした。 その中で一番多く聞かれた作品は芥川龍之介の「蛙」だったそうです。 私の番組での再生回数もトップでした。 「蛙」をきっかけにリスナーになった方も多かったとか。 一番シェアが多かったのは小川未明の「野ばら」でした。 データで一番驚いたのがリスナーの数です。 更新頻度も少なく、宣伝も

          【朗読後記】Spotify今年のまとめ・2023年

          【朗読後記】『朝のヨット』を読む

           山川方夫の作品を読みました。山川方夫は1965年に34歳の若さで亡くなりました。ですから青空文庫に収録されている作家の中では割と現代に近い文体の作品で読みやすい方だと思います。短編が多いので私もいくつか読んでいます。ミステリー寄りで、短いストーリーでありながら、心を動かす何かが仕掛けてあって、表現のしがいのある作品が多いと感じています。  今回朗読した『朝のヨット』。初夏の話なのでもっと早く仕上げられればよかったのですが暦上は秋になってしまいました。文体は難しくないのです

          【朗読後記】『朝のヨット』を読む

          【マイクロノベル】好きだから

           彼は帰宅すると届いた郵便物を確認していた。DMに混じって白い封筒がある。差出人は上野瞳。知らない女だ。彼は中の便箋を確認し訝しそうにテーブルに置いた。……女は胸に手を当て大きくひとつ呼吸をした。「いつも見ています」と初めて彼に思いを届けたのだ。ソファの上、彼の頭上から、いつも。 (ショートショート部 お題:郵便) ------- 2023年8月31日 改稿しました。

          【マイクロノベル】好きだから

          【朗読後記】随筆を読む

           今回朝ドラ「らんまん」のモデルである植物学者の牧野富太郎の随筆を読みました。 「らんまん」は大好きでほぼ欠かさず見ています。この随筆は晩年のものですが、読みながらどうしても神木隆之介の顔が浮かんでしまいました。晩年も彼が演じるのかなぁ? それはそれとして、この随筆は牧野先生が御年93歳の時のものです。最後の段落がとてもかっこいいんです。 「もうこの年になったとて決して学問を放棄してはいない。」 ぜひ皆さんも、自分の胸に手を当ててこの一文を音読してみてください。 震えま

          【朗読後記】随筆を読む

          【朗読後記】詩を読んでみた

          『月蝕』夢野久作 詩をほとんど読んだことがないので、朗読教室の課題に詩を選びました。選んだ理由は3点リーダーが多すぎて、どう読めばいいのかわからないからです。 気になる方はテキストをご覧ください。 青空文庫『月蝕』夢野久作 はじめ3点リーダーがあるとわかるように読もうと頑張りました。するとゆっくりしすぎとの指摘を受けました。 まあそうですよね。ひと言一言引っ張りましたから。なので、聞きやすくなるように3点リーダーをあまり気にせずに読むことにしました。 そして月食はゆっくり

          【朗読後記】詩を読んでみた

          【マイクロノベル】罪人見学

           カンダタが血の池から天井を見上げると蜘蛛の糸が垂れています。彼は気合いを入れてよじ登ろうとしましたが一瞬でちぎれました。カンダタは上を見て舌打ちしました。その頃極楽では蓮池に新人たちが集まっていました。地獄の罪人を一目見ようと、試しに側にいた蜘蛛を捕まえて糸を垂らしたのでした。 (ショートショート部 お題:見学)

          【マイクロノベル】罪人見学

          【マイクロノベル】極楽エレベーター

           ある日蓮池を覗いたお釈迦様は、血の池で蠢くカンダタの姿を見つけ、今度こそ助けてやろうと、極楽エレベーターを作ってやりました。カンダタは真っ先に乗りこみましたが、背負った罪が重すぎてエレベーターは動きません。地獄の底には乗れる者がおらず、一度も使われることなく壊れてしまいました。 (ショートショート部 お題:エレベーター) ※当初「天国エレベーター」というタイトルでしたが、「極楽」の方が適切だったので変更しました。

          【マイクロノベル】極楽エレベーター

          【マイクロノベル】歩く

           目の前に伸びる道をただひたすら歩いてきた。誰かと星を目指していたような気もするが今は独り。振り返ると乾いた道に残る私の足跡はもう消えかかっていた。冷たい風に吹かれ身震いして目を閉じる。すると彼方からの光が私を一瞬で赤く染めた。やっと目を開けて見上げた空にはもう星が見えなかった。

          【マイクロノベル】歩く

          【マイクロノベル】めぐる

           樹海に来て随分と時間がたった。今の私を見ても誰だかわかるまい。もはや人としての原型は留めておらず、醜く汚く朽ちた姿に慄くだろう。だがこれも命の繋がりの過程に過ぎない。私は獣や虫たちの餌となり、やがて分子になる。いつかここに小さな花が咲いた時、私は自分が無であることに気づくのだ。

          【マイクロノベル】めぐる

          【朗読後記】芥川龍之介の『蛙』を読む

          私は昔から蛙が大好きです。キャラクター化されたグッズを集めていたこともありますが、今はどちらかというとグッズよりも本物の方が好きです。昔本気で飼育を検討しかけましたが、生き餌の問題があり即断念しました……。 恥ずかしながら蛙好きなのにこの作品のことを知りませんでした。私が読まなくてどうする!という変な使命感のもとに読みました。 作者が蛙のたくさんいる池を眺めて、彼らの議論と近くにいる蛇の様子を見ているという話です。前後に音楽を入れても7分という朗読なので大変短い作品です。短

          【朗読後記】芥川龍之介の『蛙』を読む

          【マイクロノベル】まねっこ

           動物の形に型抜かれたビスケット。平面のままでいることに飽きた彼らは、表面を凸凹させて立体的になった。次第に体を動かすことを覚えて、自由というものを知った。やがて音を出せることに気づき、言語のようなものが生まれた。そして仲間という意識が芽生えていった。文明が誕生するまであと一歩。 (ショートショート部 お題:ものまね)

          【マイクロノベル】まねっこ