見出し画像

「能登半島地震」岸田首相「高齢者の方々、正に命の危機につながる厳しい状況にある…」

*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/_/
*****令和6年1月5日(金)第1138号*****

◆◇◆◆◆─────────────
「能登半島地震」岸田首相「高齢者の方々、正に命の危機につながる厳しい状況にある…」
─────────────◆◇◇◆◆

 岸田文雄首相は昨日(1月4日)、年頭の記者会見=写真・首相官邸HPより=に臨み「能登半島地震」について、被災した高齢者等が「厳しい状況に置かれている。正に命の危機につながる厳しい状況にある」との認識を示した。

 これを踏まえ「政府としても真剣に取り組まなければならないと考えて、対応を行っている」とし、その具体的な対応策として「水や食料、燃料、発電機など、プッシュ型の物資支援に全力で取り組んでいる」

 「同時にDMAT(災害派遣医療チーム)の活動等により、医療提供体制の確保にも努めているところだ。透析が必要な患者の方、転院が必要な患者の方、こういった方々に対しても、自衛隊等の協力で搬送する取組も進めているところだ」等と述べた。

 さらに、現地に派遣した政府職員や地元の自治体、民間事業者等とも連携しながら「しっかりと対応策を考えていきたい」との方針を示した。岸田首相の年頭会見で「能登半島地震」に関して述べた内容の要旨は、次の通り。

 【「生存率が急激に下がると言われる『72時間』を経過したが……」】

 ▼岸田首相・冒頭発言=1月1日に、最大震度7の「令和6年能登半島地震」が発生した。まず、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 ▼(国内外の課題の)内にあっては、まずは震災対応に万全を期さなければならない。多数の避難者がおられ、避難の長期化も懸念される中、被災者の生活と生業(なりわい)をしっかりと支えていく、息の長い取組が求められる。

 ▽記者=能登半島地震について伺いたい。(この会見の時点で)生存率が急激に下がると言われる「72時間」を経過した。政府が今把握している被害の全容が、まだ見えていない状況だが、最新情報をまずお聞かせいただきたい。

 ▽また現地では、まだ多くの方が救助を求めている。そして余震もまだ続いている。政府は今後、どこに重点を置いて救命活動を行うのか、お聞かせいただきたい。

 ▼岸田首相=今回の災害の人的被害については、本日(1月4日)12時時点で取りまとめた情報だが、自治体の情報によると死者78名、行方不明者6名、安否不明者51名、重傷者29名、軽傷者231名と報告を受けている。

 ▼そして本日(1月4日)も、輪島市に約1,900名、珠洲市に約2,100名、その他の地域にも多数の自衛隊、警察、消防の部隊を投入し、救助活動に全力で取り組んでいるところだが、その結果、本日の14時30分の時点では――

 ▼警察で把握していた要救助事案138件のうち80件については対応を終了し、残り58件についても対応の具体的見込みが立っているところだ。一人でも多くの命が助けられるよう全力を引き続き、続けてまいる所存だ。

 ▼今回の地震は日没前の発生であり、当初は被害状況の把握が困難を極めたが、私自身も輪島市長、珠洲市長から直接状況を聞いた上で、陣頭指揮を私自身が執ることとした。今回の地震は、被災地が半島であるという地理的な制約もあった。

 ▼その後も大規模な地震が断続的に発生するなど、現地へのアクセスは困難を極めた。その中で自衛隊4,600名、消防2,000名、警察800名の各応援部隊を投入し、人命救助、そして救命に全力を挙げてきた。

 ▼大型車が通行できるよう、夜を徹して道路啓開を行ったほか、自衛隊のヘリによる空輸、ホーバークラフトによる海上輸送なども活用して、支援物資、資機材の輸送が円滑にできるよう最大限努めてきたところだ。

 ▼被災地は引き続き厳しい状況にあるが、今後も被災の支援に万全を期していきたいと思う。

 【「救命・救助活動と並行して、緊急に必要となる物資を届け、当面の生活を支える」】

 ▽記者=地震の件でお伺いしたい。総理も過去に何度か入られている石川県能登半島で、甚大な被害が起きた。総理自身、今のこの被災地の現状をどのように感じておられるのか? 総理の言葉で、被災地に向けて聞かせていただきたい。

 ▽また「72時間」がたった今も、懸命な救助活動が続いているが、その先の復興に向けてどのような覚悟で取り組むのか? この年頭会見に合わせてお聞かせいただきたい。

 ▼岸田首相=まず、今回の災害は令和に入って最大級のものだ。こうした事態に対して国と自治体、あるいは事業者と国民など、関係者が一致団結して、この国難に立ち向かっていかなければならない、こうした重大な事態であることを強く感じる。

 ▼被災地の皆様が、再び平穏な生活を取り戻せるよう私自身、先頭に立って被災地、そして被災者に寄り添って努力をしていかなければならない、こういった強い覚悟を感じているところだ。

 ▼先ほど被災後「72時間」となる中にあって、要救助事案に対する対応について数字を紹介させていただいたが、引き続き救命・救助に全力を尽くしていかなければならない、こういった状況にあると思っている。

 ▼救命・救助活動と並行して、被災者の方々に緊急に必要となる物資を届け、当面の生活を支えること、これも並行して重要であると感じている。特に今回の被災地、北陸地方の冬は大変厳しいものがある。

 ▼被災された方々、大変つらい状況にあると認識している。その中にあって、高齢者、乳幼児、また病気を抱えておられる方々、こうした方々が多くいらっしゃる。強い地震が相次ぎ発生する、そして避難が長期化する可能性もある――

 ▼こうした中であるので、迅速かつ持続的な支援を実施していくことが重要であると感じている。その中にあって、物資の確保はもちろん重要だが、輸送経路の確保が重要だということで、特に道路の復旧等に取り組んできた。

 ▼本日(1月4日)14時に、輪島市および珠洲市につながる道路についても、大型車が通行可能となったということで、物流のさらなる改善も期待されるが、それと併せて、避難所を回る自衛隊、あるいは自治体に対して――

 ▼派遣した国の職員を通じて、現場のニーズを吸い上げて、物資の調達と輸送、これを共に進めていきたい、このように思っている。それ以外にも、停電が3万戸、断水が11万戸、これは石川県の中の数字だが、多くの方々が厳しい状況に置かれている。

 ▼こうした復旧に向けても、きめ細かく迅速に対応していかなければならないと思っている。今の段階では救助活動、物資の輸送、そしてインフラの復旧、これは当面の最重要課題だということで取り組んでいる。

 ▼今後は住まいの確保を始めとする生活基盤や経済基盤の回復、こうした中長期的な課題についても取り組んでいかなければならない。こうした復興・復旧についても、迅速的かつ計画的に取り組んでいきたい、このように思っている。

 【「転院が必要な患者に対しても、自衛隊等の協力で搬送する取組も進めている」】

 ▽記者=連日の能登半島の地震の御対応、お疲れ様でございます。総理に質問させていただきたい。今回の地震で、知的障がいの方が石川県においては9,520名いらっしゃる。

 ▽私(記者)は東日本大震災、熊本地震の現場へ行って、知的障がいの皆さんが、どうしても状況が分からないので声を発してしまう。ルーチンが変わってしまうので暴れてしまう。そういった言動が起きている。

 ▽知的障がいの皆さんの避難者としての御支援の方法を、教えていただければ有り難い。

 ▼岸田首相=ご指摘のように障がい者の方、高齢者の方が厳しい状況に置かれている。正に命の危機につながる厳しい状況にある、こうした指摘を受けて、政府としても真剣に取り組まなければならないと考えて、対応を行っている。

 ▼一昨日(1月2日)より、栗生(官房)副長官をチーム長とする「令和6年能登半島地震被災者生活・生業再建支援チーム」を開催しているところだが、それと併せて、水や食料、燃料、発電機など、プッシュ型の物資支援に全力で取り組んでいる。

 ▼同時に、DMAT(災害派遣医療チーム)の活動等により、医療提供体制の確保にも努めているところだ。透析が必要な患者の方、転院が必要な患者の方、こういった方々に対しても、自衛隊等の協力で搬送する取組も進めているところだ。

 ▼物流の改善についても、先ほども申し上げたように、本日14時から大型車の通行が可能となるなど、状況の改善に努めてきているところであり、引き続き政府一体となって、現地対策本部、あるいは被災自治体に派遣したリエゾンほか――

 ▼避難所を回る自衛隊、そして避難所で相談対応を受けている警察、こうした関係者とも連携しながら被災者に寄り添い、できることは何でもする、こうした覚悟で対策を検討していきたいと思う。

 ▼ご指摘の知的障がい者の方々についても、今言った障がい者や高齢者の方々への対応の中で、しっかりと対応を考えていきたいと思う。

◇─[後記]─────────────────

 厚労省は本日(1月5日)午前7時点で、停電や断水等で被災した高齢者施設を、石川・富山・新潟の3県で「142」と発表しました。これは、そのちょうど2日前の1月3日午前7時点の「120」=1月3日付け弊紙で既報=から増えています。

 さらに、この「142」の被災施設数は、今回の「能登半島地震」の最大数であり、現在数でもあります。つまり「142」施設は全て「被災した時点から、現時点に至るまで停電・断水等が復旧していない」ことを意味します。

 その対応のため、おそらく自衛隊等の尽力で救援のための水や食料等が逐次届けられていると思われますが、それでも震災発生から丸4日が経過しようとしています。施設に入所している高齢者の方々の健康状態が心配されます。

 岸田首相にはぜひ、会見で述べた「高齢者の方々、正に命の危機につながる厳しい状況にある」との認識のもと、どうか迅速に対応していただきたいと願います。

──────────────────────◇

 ◆日本介護新聞「ビジネス版」バックナンバー(2022年4月分まで)=http://nippon-kaigo-b.blog.jp/
 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー=http://nippon-kaigo.blog.jp/
 ◆ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo
 ◆Twitter=https://twitter.com/Nippon_Kaigo
 ◆Facebook=https://www.facebook.com/nipponkaigo/

(C)2024 日本介護新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?