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作り笑いのない世界への転換点

これは日本だけの問題ではないのだが、今、世界は非合理に満ちている。「生産性、生産性」と声高に叫ぶながら、生産性が低いことを相も変わらずに続けている。

戦争や原発など、どう考えても非合理的だし、生産性が低い。なぜそれを続けているかといえば、人々のこれまでの生活様式(価値観)を変えることへの恐れと、過去に対する執着からだ。

しかし、その恐れと執着が強すぎることによって、現実への対処が遅れ、世の中はずいぶんと生きづらくなってしまった。何より、恐れと執着を抱える人たち自身が生きづらくなった。このままでは、生きづらさはますます加速するだろう。

おかげで、日本社会には断絶が生まれた。過去に生きる人たちと、未来を作ろうとする人たちの間にである。はじめ、未来を作ろうとする人たちは、ほんの少数だった。しかしここ十年で、過去に生きる人たちの世界はどんどんと侵食された。まず彼らの世界から生きづらくなった。それを契機に、世の中が変わり始めた。

そのタイミングで、れいわ新選組が登場した。ぼくは、れいわ新選組が登場したことにとても驚いた。

というのも、今年の春くらいから後輩の友人が今度の参院選に立憲民主党から立候補するというのを知らされており、それがきっかけで立憲民主党の政策に興味を持って、調べてみたことがあったからだ。

ところが、そこでの主張は相も変わらず古い世界のことだった。いや、その後輩の友人こそそれなりに未来について語っていたが、党首の枝野氏はほぼ完全に過去に生きていた。古い世界から少しも抜けておらず、これでは新しい世界を待ち望む人たちには少しも支持されないだろうと落胆した。

それで、政治は相も変わらずだなと思った。それでも、新しい世界においては政治の影響力は下がることが目に見えていたから、取り立てて気にはしなくてもいいと考えていた。

そうしたところに、山本太郎氏がれいわ新選組を立ち上げ、ぼくの友人の安冨歩氏がそこから立候補することとなったのだ。ぼくは、以前から安冨氏自身や氏の掲げる新しい世界のビジョン(子供を守ろう)に強く共鳴していたので、すぐに応援しようと決めた。しかし、それ以上に驚いたのが、山本太郎氏やれいわ新選組の他の候補者たちが示したビジョンだった。そこには、まごうことなき新しい世界が描かれていた。彼らは完全に古い世界を脱却し、新しい世界を見据えていた。新しい世界を作るための政策を掲げていたのである。

では、新しい世界とは何か?

それは、一言で言えば「人間性をだいじにする」ということである。

なぜそれが新しい世界か?

それは、テクノロジーの進歩によってロボットが発達したため、ロボットのような人間がいらなくなったからだ。

では、古い世界の住人は人間性をだいじにしていないのか?

実は、その通りなのだ。古い世界の住人は、ロボットのように生きている。人間性を捨て、ロボットのように生きることを重視している。

では、ロボットのように生きるとはどういうことか?

それは、思っていることを隠すということである。象徴的なのが、たとえ不機嫌でも「作り笑い」をするということだ。

作り笑いこそ、人間性の否定そのものである。人間性とは、笑いたいときに笑い、そうでないときには笑わないことだ。

では、作り笑いをしているのは誰か?

ぼくは、それをある政党の政見放送の中に見た。ぜひ、この動画を見てほしい。

この動画に出てくる自民党の二人は、作り笑いを浮かべている。見てもらうと分かるが、特に女性の方がひどい。そこには、人間性の欠片も感じられない。

作り笑いもときには必要——そう考える人がいるかもしれない。しかし、それこそが古い世界の考え方だ。ロボットが進化した今となっては、作り笑いならロボットの方が得意になった。人間が不得手な作り笑いをする価値は、もうどこにも残されていない。

自民党の二人に比べると、山本太郎氏は作り笑いをしない。彼は、自分の思うことを思うままに喋っている。その意味で、人間性に溢れている。

また、れいわ新選組の政策は「現実性がない」という人がいる。しかし、果たしてそうだろうか? では、自民党の掲げる政策は、現実性があるのだろうか?

ぼくは、そうは思わない。自民党の掲げる政策は、相も変わらず古い世界を向いている。その世界では、ロボットがまだ進化しておらず、作り笑いなどしない。その世界では、まだマスコミが力を持っていて、世論を支配している。

20世紀までなら、そういう考えも笑われはしなかっただろう。しかし、今言えばそれは一笑にふされるだけだ。ロボットの進化はとどまるところを知らず、今やあらゆる場面で人間の仕事を奪っている。あるいはマスコミの凋落もとどまるところを知らず、彼らが及ぼす影響力は段違いに下がった。

そもそも、一個人でしかないぼくの書いた文章が、お金もかからず、ほとんど手間もかからずに、あらゆる人が読めるような環境がすでにできているのだ。そんなことも、20世紀の間はほとんどの人が考えもつかなかっただろう。

そういうふうに、もうすでに現実の方が大きく変わっているのだ。政治が遅れているだけなのである。その意味で、現実性がないのは、むしろ他の政党が掲げる政策の方なのだ。

ここにはっきりと予言したいのは、れいわ新選組は間違いなく大きな勢いとなって、今後、日本の政治を大きく変えていくだろう。今度の参院選が、その転換点となる。

その意味で、これほど世の中が変わっているのに断固として変わろうとしなかった政治も、とうとう動き始めた。古い世界を脱却し、新しい世界に突入しようとしている。いよいよ、作り笑いをする必要のない、人間性をだいじにする、新しい世界へと移り変わろうとしているのだ。

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このマガジンは、村上隆さんのトークショーを見たときに、アーティストが世界のマーケットで戦うためには独自に構築した「文脈」で顧客を説得することがいかにだいじであるかというのを話されているのを聞き、始めようと思いました。ですので、アートやエンタメでビジネスをしたい人、つまりプロ向けの内容となっています。

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