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「風間八宏思考」特集ふりかえり

昨日楽天大学の「がくちょ」こと仲山進也さんとサッカークリニックの「風間八宏思考」という特集を読んでのふりかえりを話そうということになり、オンラインで雑談。仲山さんと雑談するときに集まるメンバーと、僕の知り合いが集まり、とてもカオスな会になりました。

この特集では、風間さんの育成や指導に関する考え方、風間さんの指導の根幹となっている技術の話、そして現在に至るまでにどんなキャリアを歩んできたのかといった点が書かれています。本書で印象に残ったことや、カオスな会で話していて、気がついたことがあるので備忘録もかねてnoteに書いておこうと思います。

「指導者に必要なこと」の定義

1点目は「指導者に必要なこと」の定義です。少し長いですが引用します。

指導者に必要なのは、言語化、映像化、デモンストレーションです。言語化は定義づけで、デモンストレーションは指導者自身の演じる力です。では、映像化とは何でしょうか。例えば、試合の映像から技術場面を抜き出すことです。定義を理解できても、試合の中でそれが見えるかどうかという話です。指導者は、しっかりと見えていなければいけません。それができるようになれば、選手の成長につながります。

本書はここに端的にまとめられた「言語化」「映像化」「デモンストレーション」とは何かが細かく書かれているのですが、この定義に基づいて振り返ると、僕が大和シルフィードでできたこと、できなかったことへの理解が深まりました。

風間さんのアウトプットのペースが上がっている

2点目は「風間さんのアウトプットのペースが上がっている」ということです。

風間さんは元々アウトプットのペースが他の指導者より早く多作です。書籍やDVDといったフォーマットで数多くアウトプットを発表してきました。自身の中にいくつもの企画があり、企画をかたちにしたいと考えるライターやメディアにファンがいる、という環境を長年かけて築き上げたことで、企画が立ち上がったらすぐにアウトプットできる状況です。

風間さんはセレッソ大阪の技術委員長に就任後は、風間塾という指導者向けの育成プログラムをたちあげ、トラウムコーチングアカデミーというオンライン学習サービスを立ち上げ、「スペトレ」と呼ばれる年齢や性別にとらわれないスペシャルなトレーニングプログラムを立ち上げ、セレッソ大阪のアカデミーに所属する小学生から高校生までの各年代のチームや、女子のレディース、ガールズから選ばれた選手が同じグラウンドに集まり、ボールを「止める」「蹴る」といった基本動作から、技術を高め、個の力をつけるための特別なトレーニングに取り組んでいます。

年齢、性別の垣根を超えて多様な環境を用意し、自身が作り上げたプログラムをもとに指導者を育成し、全国で同じような取り組みが波及するように仕掛ける。こうすることで、自身が考えたことのアウトプットの量が増え、PDCAサイクルが進み、更に自身の考えのスピードや粒度が上がる。そんな仕掛けが構築されていることに驚きました。指数関数的にアウトプットが生まれる仕組みが出来ているので、検証は大変ですが、そこは折込ずみで、たぶんアウトプットが大量に生まれることのメリットを選択したのだと思います。

こうした風間さんの取り組みは、トップチームに関わらなくなったからこそできることだと思います。トップチームに関わっていると、どうしてもアウトプットはトップチームの成績やサッカーの内容になってしまいます。そうするとアウトプットできる頻度が限られ、風間さんのように多作なタイプとしてはストレスが溜まる場面もあったと思います。

また、トップチームに関わっていると、どうしても「この試合勝たないといけない」という試合があります。こういう試合はこだわりを弱め、勝利へのこだわりを強めないといけませんが、そうすることで選手の育成という観点では後退を余儀なくされることもあるのだと思います。そのスピードの遅さが風間さんにとってはストレスだったのかもしれません。

風間さんの考えをもとに新しいものを生み出すのはサッカーの指導者ではないかもしれない

3点目は「風間さんの考えをもとに新しいものを生み出すのはサッカーの指導者ではないかもしれない」ということです。

風間さんの育成論や指導論はとても興味深く、参考になるのですが、たぶん風間さんが登場したことで、全国に「止める」「蹴る」風の指導をする指導者も山程生まれたはずです。本当に真似なければならないのは、技術を伝える上で根幹になっているポイントのはずで、その根幹を理解し、表現できるのは、風間さんが指導者向けのプログラムを整えるほど、サッカーの指導者ではなく、違う分野や違うスポーツの指導者のような気がしました。なぜなら、違う分野や違うスポーツの指導者への理解も進むので。それこそ、楽天大学の仲山進也さんのように。

風間さんのことを理解したい人が最初に読んだほうがよい1冊

つらつらと書きましたが、本書を読んで、ふりかえり会でお話して、最近自分が考えていることの整理もできました。

僕もアウトプットのペースを上げていきたいと思います。

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