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2023年 読んで良かった本(4冊)

このようなタイトルがnoteのタイムラインを盛り上げており、例に漏れず綿足も挙げていきます!

『訂正する力』 東浩紀

『訂正可能性の哲学』 東浩紀

この2冊は今年のベストバイです。元々、PIVOTの動画で東さんを久しぶりに見かけ、佐々木さんは東さんの著作をすべて読まれているということから興味を持ち購入。訂正する力→訂正可能性の哲学→訂正する力の順番で読みました。
結論としてこの順番で読んだことが功を奏しました。
なぜなら『訂正可能性の哲学』での導入部分では、家族のあり方についてプラトン、ヘーゲル、カール・ポパーと難解で有名な哲学者を並べながら説明していくのですが、それと「訂正」が自分の中では全く繋げることが出来ませんでした。一方で『訂正する力』では、非常にシンプルに要は「実は・・・だった」と現代日本人が訂正することが出来なくなったことについて語り口調で説明してくれています。

政治への不信感、不祥事を繰り返し経済界、SNSへの嫌悪感など今の社会に対して良いイメージをどうしても持てない自分に対して、希望とまでは行かないが可能性を持たせてくれる2冊でした。また、久しぶりに東さんの切れ味鋭い論考を読むことが出来「自分もいろんな本を読みながら思考を深めたい」と知識欲を湧き立ててくれる2冊でした。とてもオススメです。

『天皇と東大』 立花隆

近代日本を取り上げたノンフィクション系の本が好きな私が今年出会った本がこちら。全4巻で構成され、なぜ大東亜戦争という非合理的極まりない戦争を日本は起こしてしまったのか、その一因を東京帝国大学、そして天皇制との関係性から解明した本。
前半は明治に入り列強に追いつくためにひたすら欧米の文化や制度を輸入します。留学生も欧米中に派遣され、現地での知識を日本国内に広めるため大学が創設されました。明治の文明開化、大正デモクラシー、そして昭和の軍国全体主義はイメージしやすいのですが、この本では大学の自治(滝川事件、天皇機関説事件など)を通して国家がどう暴走していくかを説明してくれています。
大正までの比較的開明的な状態から、複数の超右翼主義者たちによって一気に大学が右傾化し(自由主義的な教授陣が次々と糾弾されていく)、政府や国民までが右傾化していく状態を見ていくと背筋が寒くなるほど恐ろしいです。
TVや教科書で繰り返される昭和の歴史を別の視点から観るためにとても良い本だと思います。とにかく取材量がとんでもないです。

幸福な食卓 瀬尾まいこ

元々は推しのまいやんの写真が表紙になっているキャンペーン中に購入して以来(たぶん何年も前)、ずっと積読になっていた本。
本屋で瀬尾まいこの『そして、バトンは渡された』を眺めていると、「あれ、このひとの本持っているぞ」と思い出し家で一気見。
一言で内容をまとめると「家族の再生」
外から見ると普通な家庭であろう、主人公佐和子の家庭。だが、1ページ目冒頭から父が父を辞めると宣言する。読み進めると、母はある出来事をきっかけに家出をし一人暮らしをしている。父と違い母親を辞めてはいない。ちょくちょく家に戻ってきて料理や家事をしている。が泊まらない。一人暮らしの住まいに戻る。佐和子の兄、直ちゃんは天才児と呼ばれるが農業法人に勤めており、晴耕雨読な生活をしている。

家族の状況が普通と異なってくるのは、過去のとある事件。それをきっかけに普通ではない家族の形になっていき、さらい佐和子を襲う悲しい出来事から再生をしていく物語。
来年から家族が増える自分にとって、暖かくそして家族のあり方を考えさせてくれる一冊。

以上です。来年もたくさん本を読もうと思います!よいお年を!

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