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きっと君はマ行


毎日更新184日目。

昨日の夜、僕は布団の上でゴロゴロしていたが、あまりにもヒマなので家の近くの銭湯に行く事にした。

熱いお湯に浸かりながら、色々と物思いにふける。

そんな時間もたまには必要である。

僕は自転車を漕いで銭湯に向かった。

その銭湯は家から自転車で2.3分の場所にある。

露天風呂まであるので、かなりいい銭湯なのだ。

チケットを買って番頭さんに渡し、脱衣所に行く。

服を脱いで扉をガラガラと開け、中に入る。

中は昔ながらの銭湯そのものといった雰囲気である。

僕は掛け湯をしてから、まずは真ん中にある一番普通の湯に浸かった。

めちゃくちゃ気持ちいい。

完全に疲れが癒やされる。

一言で言うと最高である。

さあ、次は露天風呂に行こう。

露天風呂に浸かりながら物思いにふけるのだ。


僕は露天風呂に移動し、ザブンと入った。

周りは誰もいなく僕だけである。

一人物思いにふけるには最高の環境である。

さあ、何を考えようか。

今の僕には考える事は山ほどある。

お笑いの事、生活の事、人間関係の事、人生の事。

いっぱいあるのだ。

いっぱいあるのだが、ついさっきからやたら脳裏に浮かんでくる事がある。

本当にどうでもいい事なんだが、頭から離れない。

"バイト先の土曜日の夕方に入ってる大学生の男の子の名前って何やったっけ??"


これがずっと頭の中にあるのだ。

どうでもいいのである。

別にその大学生に何か用事があるわけではない。

名前が分からなくても何も困らないのだ。

しかし、一度気になると気になってしょうがない。

ちなみにその大学生の名前、普段はパッと出てくるのだ。

今だけド忘れしているのである。

このド忘れしてる事を何とか思い出したくなる時って誰しも一度はあると思う。

今のにっしゃんは完全にそれなのだ。

よりによって、冬の露天風呂に一人という最高の物思い環境にいる時に限って、そのモードに入ってしまっているのだ。

どう考えてもこの環境で考える事は大学生の名前ではない。

絶対に他にあるはずである。

しかし、気になってしょうがないのだ。

あいつ何ていう名字やったっけ??


僕はもう思い出さないと先に進めないので、何とかして思い出す事にした。

僅かな手がかりは「ま行」である。

何となく名字がま行だった気がするのだ。

松村、松下、牧田、、、うん?牧田?

牧田か!?

いや、違うな。

牧田ではない。

ただ、絶対にま行だった気がする。

ま行。

三田村、森田、、、森田ちょっと怪しいけど何か違うな、村田、森下、三島、、、

あかん、思い出せん。

たぶんま行の中でも「ま」な気がする。

松田、松岡、前田、牧田、、、牧田!?

牧田!?

いや、これさっきもやったわ。

牧田じゃないねん。

絶対「ま」やねんけどな。

きっと君はま行。

「きっと君は来ない」みたいな響きやな。

ほんま何やったかな。

何でこんな思い出せへんねん。

ていうか、露天風呂で何考えてんねん。

ま行の大学生なんてどうでもいいのよ。

別に一緒に入るわけでもないし、何の絡みもないねんから。

ただ、気になってどうしようもないねん。

このモヤモヤをスッキリさせたいねん。

で、ここまでモヤモヤしたら逆に思い出した時、凄まじいスッキリが来るはずやねん。

そのスッキリを味わいたいねん。


とりあえず僕は露天風呂から出て体を洗う事にした。

洗ってる間もま行を考える。

松下、いや松下はさっきも考えてたわ、真野、牧村、増田、魔裟斗、前島、、、

どれも違う。

体を洗い終わり、僕はマッサージ風呂などを移動しながらもずっと考えた。

しかしどれもピンとこない。

もしかしてマイケルか?

あの大学生、外国人やったか?

いや、でも日本人やった気がする。

そんな事を考えながら再び露天風呂に移動する。

これ入ったら出よう。

結局、ずっとま行の大学生について考えてしまった。

一体何の時間だったのか。

ただ、ここまで考えたら何としてでも思い出したい。

こうなったら「ま」の次の文字をあ行から全部考えてみよう。

まあ、まい、まう、前田、前島、まお、まか、牧野、真木、牧田、、、牧田!?

牧田!?

牧田!?

いや牧田もうええわ!!

何回、牧田のくだりやるねん!

牧田違うねん!

てか、もう牧田って呼んだろかな!

あの大学生、俺の中で牧田って事にしよかな!


そろそろ熱くなってきたので僕は風呂から出る事にした。

結局、名前は思い出せなかった。

非常に無念である。

体を拭いてサッと服を着て銭湯の外に出る。

風呂上がり、外の自販機に売っているトマトジュースを買うのが僕のお決まりのコースである。

お金を入れ、ボタンを押そうとしたその時。

僕の頭にいきなりある言葉が降ってきた。

ツボ、、、

ツボクラ、、、

ツボクラ!!!


僕はようやく思い出した。

その大学生の名字は

「ツボクラくん」だったのである。


ま行って何やってん。



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