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【世界考察21】受験の難しさ/難しさがもたらすもの

ある事柄が難しい、とはどういうことなのだろうか。また難しいことは我々に何をもたらすのだろうか。今回は限定的に学校のお勉強の難しさについて考えてみたい。要は受験である。

●受験の難しさ

受験の難問を考えた場合、難しさには三つの要素がある。

1 要求される思考の抽象度が高い
2 要求される思考時間が長い
3 要求される処理速度が速い

受験において難しい科目の筆頭として挙げられるのは数学である。異論を挟む人はいない。そして数学君は見事にこの三点を、これ以上ないほど満たしている。もともと数学は人間の脳内にしか存在しない(と思われる)ものである。虚数は現実に存在しないんですよ、という話がどこかであったが、実数だろうがベクトルだろうが、おおよそ数というものは実在しない。この時点で抽象性は高い。さらに分数だの比率だのマイナスだのが出てきて、もう意味不明である。関数だの言い出すと、全くついていけない。微積だの集合だの言い出すと、完全に理解困難である。こんな具合に概念を理解することがまず難しいわけだが、受験となると、思考体力まで問われる。とにかく長く、間違えずに、綿密に思考し続けなければ正解が得られない。さらにそれを高速処理しなければ、制限時間内に解くことができない。ゆっくり考えてる暇などないのだ。特に数学は時間制限が厳しい科目の筆頭である。数学はゴリ押しではどうにもならないと言われるが、ゴリ押しではうまく行かないのは、特に1の要素が大きく、2と3に関しても、多少のゴリ押しでは必要なクオリティまで達することがない。想像以上のとてつもない量が必要になる。これは負担が大きい。

次に難しいとよく言われるのが物理である。物理は数学と比べると2と3の要素が(基本的に)弱いので、数学よりはマシである。ボリュームは難しさの要素に入れなかったが、理科はボリュームが少ないので負担感も少ない。

●難しさがもたらすもの

もったいぶるほどのことではない。難しさがもたらすのは希少価値である。現代日本では数学が出来るかできないかで、文系理系という不毛なくくりが発生するほどに、高難易度、高負担の数学の影響は大きい。そして一般的に考えて、理系の方が優遇される。なせか。現代を支配するサイエンスには数学が必須であり、かつ数学が難しいという、必須と希少性の合わせ技のおかげである。数学が簡単で誰にでも出来るなら、(社会的)価値は薄い。また数学がどこにも使わないものであれば、同じく価値は薄い。その逆を行ってるから、数学が出来る(理系)が重宝されるということになる。

ただ一般性も社会的価値も、あなたに意味をもたらすかはわからない。一般性(統計)はあなた個人を保証しないという、いつもの流れで話を締める。


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