案ずるより生むが易し

本当は子供なんて生まれてしまえばみんなで育児すべきだし、おっかなびっくりでも子供は育ってゆくものである。それを様々な人たちがあれこれいらんことを言うからややこしくなっているのが現状であろう。

おチビちゃんの話

ちょっと不謹慎なことを言えばたとえ出生体重500gの赤ちゃんでも生き延びようと全力なのである。もう両手にすっぽりと入ってしまうようなおチビちゃんですら生存のための努力を全力でやるわけである。多分お母さんも面会した時にこんな小さな子、壊れてしまいそうと不安になるかもしれない。

そういうおチビちゃんは口からミルクを飲む事はできないので鼻や口からチューブを直接差し込んで直接胃に流し込む訳だけれど、最初は1回0.5mlのミルクを必死で消化して生きるエネルギーに変えてゆく訳である。無論、それだけでは足りないということで、中心静脈カテーテルや臍静脈からのカテーテルから栄養剤は追加するけれど、だんだんと自分で飲める量が増えてくるとそういう管は外してゆくことになる。

大体3ヶ月くらいを保育器で過ごして大きくなると、自分でミルクも飲めるようになるし、もう予定日頃には丸々と赤ちゃんらしくなって退院するわけである。

で、大体1か月検診の頃にはさらに大きくなってお母さんが「こんなに大きくなって大丈夫なんですか?一日50g増えている計算なんですよ!」と叫ぶこともあるが、こちらはニコニコして「うんうんよく飲んでいる証拠だから大丈夫だよ」と言うだけである。時々増え方の少ない子がいるとミルクを足してみたりすることになるが、まあ大体はうまくいくものである。

そのうち離乳食を始めることになるし、ふと気がつくと寝返りしたり座ったりしてハイハイしたと思えばいつの間にか歩き始めることになる。

まあそうなるとイヤイヤ期になって親が爆発するシーンが出てくるということだろう。でも4、5歳頃になると多くの子でイヤイヤ期は落ち着くのである。

個人主義が本当にあっている?

けれども最近の「個人主義」礼賛では核家族から個家族と言い出している訳である。そりゃ子供が親の手を借りず勝手に育ってくれるなら誰も苦労しないのである。そういうわけにはゆかないので母親だけでなく父親も祖父母も他の親族も周囲にいる大きい人たちみんなで子供を育ててゆかねばならないのである。

多分、そういう事は実際に子育てしてみないとわからないことは多いかもしれない。未出産で実際に子供を育てていない研究者たちは女性の大変さを過大に評価して夫が血反吐を吐くまで育児しろ!と叫ぶわけであるが、実際のところそこまで大変なのは最初の1〜2か月でしかない。

日本ではその時期は実家の母親や姉妹たちが手伝いに来てサポートするものであったが、核家族信仰の女性研究者にしてみれば家族は妻と子供、そして召使としての男だけ!と叫びたいわけである。男には人権もないのだから召使として負担を全部背負え。男には死ぬほど辛い目を合わせてやれ!実家の母親とか姉妹ってなによ!理想のキリスト教国ではそんなもの関係ないわ!と無双した結果、彼女らのマルクス主義的理想国の一つである中国では娘が子供を産んだら子供の祖母が現れて子育てを全部やるという事実に気づかなかったという事であろう。

中国の育児の話

実際、中国のばあちゃんは孫の子育てを全部やって娘さんを働かせるのである。で、孫が2〜3歳になると本国に連れて帰るのである。いや、本国に連れて帰るから薬をたくさんくれという相談を受けた事は珍しくないのである。で、ああ、この子はもう中国で暮らすんだねと忘れていると、小学校に上がる頃には日本に戻ってくるらしく、何食わぬ顔でまた外来を受診したりするわけである。で、いつの間にかばあちゃんも日本に定住するという寸法で移民になってゆくようである。このあたりはどういうカラクリで日本の定住資格を得ていたのかはよくわからない。病院受診をするのだから不法移民ではない事は確かだろう。ちゃんと保険診療で来ていたはずである。

中国方式では同じくらいの子供が親戚一同で一緒に暮らしているらしいので、日本では一人っ子や歳の近い子供だけで、物心着く頃には周りに赤ちゃんなんていないということになるが、中国では結構周りに小さい子がいてそういう子たちと触れ合う機会が自然に増えるので子供たちも赤ちゃんとか小さい子とはどういうものかを体得することができ、周りの大人たちご赤ちゃんをどう育てているか実際に見ることになるわけである。そうすると、赤ちゃんに触れるのが怖いとか、どう対応していいかわからないというような、日本で起こりがちな育児不安にはなりにくいかもしれない。

アンペイドワーク

男女共同参画も日本の男は家事育児の無償労働は少ないがその分有償労働が長時間になっているので、有償労働が少なく無償労働の多い女性とトータルでは同じくらい働いているという結論を出している。ちなみに男女とも無償労働と有償労働を出した労働時間は長いのである。けれども、今のフェミさんやジェンダーの研究者はもう無償労働だけ取り出してきて「男は全く働いていない。女性だけ働いている!男は女性様の6分の1しか働いていないのだからもっと無償労働、ケア労働できるはず!怠けてないで男は働け!」と真顔で言っているわけである。

米国では核家族だから男たちが育児を担うのだ。だから日本の男も家族を養う賃労働と育児を全面的にやれ。手伝うとは何事だ。というわけであるが、その分米国では男が自分の賃金の管理を行うことがほとんどで、日本みたいに妻に財産の管理を任せることはあまりないし、離婚後に父親と子供の面会交流なんてさせない!とか叫ぶ母親は裁判所から父子の面会交流を命令されることが多い。

大体は日本の人は自分に都合の悪いことは「アメリカではこうやっている」と言い、自分に都合のいいことは「日本で独自にやっているからと言って何が悪い」というわけである。これはつまり彼女たちが100%都合が良くなるようにしろということになるので男たちは非常な負担や不利益を被ることになる。

ジェンダーギャップ指数を見ろ!男どもは恵まれ過ぎている!男ならば自分の人権を投げ捨てて命を捨てて女性のために尽くせ!って叫ばれてもそりゃ自分がひたすら損するような境遇からは逃げ出すに決まっているわけである。なので結婚がフェミさんやジェンダー主義者の求める女性だけが利益を得られて男はひたすら命を削って奉仕するというものになってゆくと男の方が結婚から逃げることになる。

男にとって結婚はもう必要不可欠のものではない

男にとってはもう家制度はないのだから子孫を育てて家を存続させる義務はないのである。リプロダクティブヘルスライツは女性だけのもの。結婚していても中絶は女性の自由!結婚と子作り子育ては関係ない!と叫ぶフェミさんやジェンダーの人の意見をいれてしまうと男にとって結婚して家族を養う意味がなくなってしまうわけである。夫婦は他人である。その他人である妻をなぜ養わなければならないのかという理由がないわけである。

だからこそ、今の若い男には「生活費の完全二等分」みたいなことをいう人が出てきているわけである。家事育児をしない女性にお金を出して養う意味って今の結婚にはないよね。女性も働いて自分の食い扶持くらい自分で稼げよ。その代わり夫は自分の収入で自分の食事や着るものは調達するし、家賃も半分ずつ出せばいいじゃんということになってしまう。単なるルームメイト以上の意味が結婚にはなくなっているわけである。

女性たちは「子供を産んであげるのよ!子供がいなければ家が潰れるでしょ!」っていうかもしれないけれど、家制度は既にないのだから子供がいなくても財産を国にお返しすればいいだけという結論になってしまうわけである。現実に年に600億円の資産が相続人がないために国に返されているのである。

とまあ、これまではここでじゃあさよならだったのだけれど、それでは批判だけする野党と変わりないともいえる。これはフェミさんやジェンダーの人には刺激が強すぎるだろうからもう有料化しておこう。

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