私はスーパーに勤めていた時期があるんですが
ある時期から
「ローリングストック」
という言葉が使われ始めました。

たとえば、缶詰や魚肉ソーセージ、カップラーメン、チョコレートやドライフルーツ、ナッツ、レトルト食品などですね。

これ、食材に限らず日用品でも同じことが言えます。

私はあるものをストックしていたおかげで
難を逃れたことがあります。

それは

トイレットペーパー

です。

覚えている人も多いんじゃないでしょうか。
コロナが広まり始めたころ
マスクの生産が供給に追い付かなくなってしまいました。

マスクは紙製品・・・
紙・・・
トイレットペーパーが無くなるんじゃない！？

と、連想ゲームのように波及したよく分からないパニックは
あっという間に日本中に広がり
売り場から本当にトイレットペーパーが無くなるという
事態にまで発展しました。

テレビでは「量は十分にあるから大丈夫」と言っていたのに
実際にスーパーに買いに行くと無い！

というのも余計にパニックを広めた要因だと思います。

実際に商品が作れなくなったということはありませんでした。

しかし、全国のスーパーから一斉に注文が上がった結果
製造工場から主要倉庫へ配送→主要倉庫から各スーパーへ配送
が追い付かず、最終的に入荷は滞りました。

配送するトラックも限りがある上に
トイレットペーパーはかさばる・・・・ので
一度に運ぶ量も限られ、ああいう事態に発展しました。

なので今手持ちにある人さえ買わなければ
困っている人には行き渡るはずだったのです。

しかし誰もそれどころではない。
パニックとは恐ろしいですね。

我が家はというと、その時点で十分なストックがあったため
パニックの終焉まで買い足さずにすみました。

毎日職場で目にする「ローリングストック」という言葉が
なんとなく頭にあったんだと思います。

そして私自体、日頃モノが無くなってから買いに行くにも
買い忘れの多い人。

抜けた私のおかげで、我が家には常日頃から
尻が拭けない危機がありました。

せっかくならと、魚肉ソーセージと共に
特売日にちょこちょこ買っていたのが
こんな形で役に立つとは思いませんでした。

パニック買いのお客さんも少なくないでしょう。
でも中には本当にこのタイミングで切れそうな人もいるはず。

この騒動が落ち着くまで、私は買い足さないことに決めました。

その日から、日々じわじわと減っていく我が家のトイレットペーパー。

どうする・・・

いや、まだ耐えられる。

本当に困っているお客さんの手に渡ってほしい。

そう思ってギリギリまで買うのを待ちました。

思い出されるのはある一人のお客さん。

売り場のトイレットペーパーを目にすると
「良かった、あった～！」
と嬉しそうに１パック抱えて帰って行った姿。

我が家は二人暮らし、まだ待てる。

じわじわ減る・・・

じわじわ減る・・・

残り２ロール。

その時やっと、安定した供給に戻りました。

売り場に十分に並んだトイレットペーパーに安堵して
やっと私も手に取ることができました。

まさか、こんな形で役に立つとは。
思いがけない経験でした。

こんなふうに、みんなが一斉に買ってしまえば
供給が追い付かなくなりますが

日頃から少しづつ余計目に買っておけば
いざという時に慌てなくて済みます。

大きな災害に備えることも大事ですが
大雨や台風などになると自宅避難も多いです。

そんな時に、自宅に十分な食料があれば慌てずに済みます。

今でも缶詰や魚肉ソーセージはクセで買いためて使っています。

あの騒動がすっかり過去のものとなり、忘れていたのですが
我が家のトイレットペーパーが残り２ロールになったのを見て
ふとこの体験を思い出したので書いてみました。

また買っとかないと。

本格的な防災グッズだ、なんだとなると
あれこれ考えだすので
腰が重くなってしまったりしますが

普段の買い物で特売日に
「まだあるけど買っとこうか」
くらいの意識で
なにかひとつでも用意しておくと
いいこともありますよという話でした。