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文書・図面・データを民事裁判の証拠にするための要素

自ら作成した文書や撮影した映像などを裁判の証拠にするためには、もちろんその内容が裁判で証明したい事実と関連するものであるということが大事な要素です。ただ、それ以前に法令で定められている形式的な要素というものがあります。
今回は、文書などを民事裁判の証拠とするための形式的な要素を解説します。

作成者の署名又は押印

まず、文書は真正に成立したものでないといけません(民事訴訟法228条1項)。
真正に成立したとは、その名義人が確かに作成したことが証明できていることです。
私文書であれば作成者の署名又は押印があると、成立の真正が推定されるので(民事訴訟法228条4項)、文書を証拠とする際には、作成者の署名又は押印をしておくことをお勧めします。

表題、作成者の表示、立証趣旨

また、文書の提出の際には、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにしなければなりません(民事訴訟規則137条1項)。
ですので、書類を証拠とする際には、分かりやすい表題をつけ、作成者の署名のうえ、いかなる主張事実を証明するための文書なのか簡単な要約を始めに書いておくのがよいでしょう。

外国文書の訳文

英語などの外国語で書かれた文書は、日本語訳を添付しなければ、証拠提出できませんので、注意が必要です(民事訴訟規則138条1項)。

図面・写真・映像証拠の場合の要素

図面・写真・映像などのデジタル証拠も、文書に準じるものとして扱われます(民事訴訟法231条)ので、文書と同様、成立の真正が求められます。ですので、図面の製作者又は写真・映像の撮影者を明示することが必要です。
また、撮影した写真・映像や録音したデータを証拠とする場合には、撮影、録音、録画等の対象、その日時、場所も明らかにしないといけません(民事訴訟規則148条)。
さらに、映像や音声などのデータについては、その内容を説明する文書を裁判所や相手方が求めれば提出しなければなりません(民事訴訟規則149条1項)。文書についても求められたように、証拠の表題、データ作成者、どのような主張事実を証明するためのデータなのかを要約したうえで、証拠として使用するに必要な範囲で内容の要約も説明する文書を添付するのがよいでしょう。

以上、民事裁判に文書などを提出するための形式的な要素を解説しました。刑事裁判では少し違った考慮が必要ですし、文書が証拠となり争いの対象となる以上、書くだけで終わりではなく、その内容について裁判所に出廷して説明することが求められることもあります。

これらについてはまた別の機会に解説します。


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