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新田醸造の新しいロゴを公開します!

信州の味噌屋 新田醸造 6代目 新田慶秋です。ビジネスモデルの転換に遅れ、低迷が続いていた新田醸造。コロナ禍でさらなる打撃を受け、一時は蔵を閉めることも真剣に検討する状況に陥りました。先日公開した「価格改定の背景」でもお伝えしましたが、新田醸造の再スタートを賭けたいくつかの改革を実行します。その最も大きな施策が2024年4月からのリニューアルです。

今回のnoteでは「リニューアルの背景」「新しい新田醸造のロゴ」「新しいお味噌のパッケージ」をお知らせさせていただきます。

リニューアルの背景

今の新田醸造には、とりくむべき様々な課題が横たわっています。資金の調達、紙文化の管理体制、直売所の老朽化、多すぎる商品アイテム数、100年以上使われている木桶の保全、従業員の高齢化などなど。山積した課題のなか、局所的な対処にとどまらない新田醸造の根本からの再出発を狙ったほうがより効果が高いと考え、リニューアルを行う決断をしました。

一度衰退のサイクルに入ってしまった会社を、再び蘇らせることは容易ではありません。ですが、これまで美味しくて愛される商品を製造してきたことには強い自信がありました。「新田醸造のお味噌が好き」「このお味噌じゃなきゃだめ」といった長年にわたるお客様からのお言葉があったからです。一度でもお客様の手元に届けさえすれば、必ず「美味しい!」とご満足いただける確信がありました。そこで、もっとたくさんの方に新田醸造の商品を知っていただくためにはどうすれば良いのか考えました。

まず考えられる選択肢として、信州・坂城町の半径5km以内を商圏とした観光・直売モデルから、日本全国、または海外を視野に入れた通販・卸モデルへの大胆な転換を検討する必要がありました。商圏の範囲を広げるということは、これまでのように地元地域の蔵だけではなく、日本各地にある1000軒以上の蔵の中から新田醸造を見つけだし選んでいただかなければなりません。お客様が当社の商品を手に取る理由を、改めて見つめ直す必要があります。

今回のリニューアルにおいては、守るべき伝統を明確にする一方で、蔵の強みと課題を整理しながら、新田醸造という味噌蔵の新たな方向性を構築していきたいと考えました。また、抽象度の高い議論にとどまらず「実際の商品にどのように具体的に落とし込んでいくか」までしっかり決めきりたいという意図もありました。そのような理由から、中小企業のブランドコンセプトづくりに精通しているビスポーク社の長田敏希さん、針谷誠児さんの専門的なサポートを受けながらこのプロジェクトを進めることにしました。

また、IT業界出身の私は、お味噌や発酵に関する知識が乏しかったため、料理研究家であり「みその教科書」著者でもある、岩木みさきさんにも事あるごとに相談に乗っていただきました。

ワークショップを社内で複数回にわたって開催

長田さん、針谷さんの進行や、味噌業界に精通している岩木さんに客観的にご意見をいただきつつ、白熱した議論を何度も交えながら、新田醸造の進むべき道が言語化されていきました。

ビスポーク社からご提案いただいたコンセプト仮案

味噌をより現代的にアップデートしたい、簡単かつ気軽にお味噌を口にして頂ける商品やレシピを作っていきたい、発酵食の素晴らしさを発信していきたい。そんな想いを込めて、最終的には「味噌の可能性を、とき放つ」を新田醸造のコンセプトとして採用します。ちなみにコピーライターさんのアイディアで「とき放つ」は「味噌をとく」と掛けてあえて平仮名にしています。

新しい新田醸造のロゴ

この新しいコンセプトを基に、ブランドリニューアルの核となる新たなロゴの開発に取り組みました。デザイナーは妻の大学時代の同級生であり、ご自分でも「煎茶堂東京」というお茶屋さんを経営している谷本幹人さんです。

当社の商品を手にとっていただいる方には馴染みのある従来の新田醸造のロゴは、2017年頃に策定された比較的新しいものです。清潔感と優しさを兼ね備えており、味噌蔵という言葉の響きから連想されるような古めかしい印象はすでに払拭されている、個人的に気に入ったロゴでした。

従来のロゴ
新田醸造の清潔感、優しさ、誠実さのイメージづくりに貢献してくれました

私だけでなく、社内やお客様からの評判も上々でしたが、今回新たにコンセプトを定めたことで、そのロゴもアップデートさせるべきです。何故ならコンセプト→ロゴ→クリエイティブ(パッケージなど)に至るまで、ブランドとしての一貫した筋を通すことが大切だと思ったからです。ですから、ロゴは新しいコンセプトと接続されたものであるべきで、そのためには新しくロゴを作り直す必要があると考えました。

とはいえ、これまでのロゴが培ってきた「お客様の新田醸造に対する印象も大切にしたい」という理由から、従来のロゴを踏襲しながら、デザイナー谷本さんの手によって新しく生まれ変わることになりました。

そして誕生したのが、こちらのロゴです。

2024年の4月からは、新田醸造はこちらのロゴで蔵を運営してまいります。

新しさと美しさを兼ね備え、枠を設けないことで「味噌の可能性を、とき放つ」コンセプトを表現しています。またシンボルの中心には「味噌の模式図」が描かれており、味噌の原材料である大豆と米麹が、それぞれ「円形の豆」と「米の花」のモチーフで描かれています。

こちらは谷本さんが考案したシンボルの展開イメージです。糀(米の花)がとき放たれていくデザインです。ここでは載せきれませんが、複数のとき放たれた展開バリエーションが想定されています。

また「新田醸造」のタイポグラフィーは完全オリジナルで制作されています。菱形のうろこ模様で角の取れたデザインは、宮大工や桶職人の精密な仕事を思わせ、レトロモダンな印象をもたらしています。文字の細部まで谷本さんのこだわりが詰まっています。

ロゴの色はネイビーを継続して採用したこともあり、もしかすると気付かない方もいるくらいの繊細なアップデートかもしれません。従来のロゴの印象を保つことも目的の一つなので、それはそれで成功の証といえます。ですが、表面的には似通ったように見えても、時間をかけて作り上げたコンセプトとロゴが結びついたことは蔵としては大きな意味を持ちます。古き良き伝統と、新しい味噌の可能性を示すシンボルが出来あがったことに、手応えを感じました。

新しいお味噌のパッケージ

「味噌の可能性を、とき放つ」を表現するロゴができました。このロゴを活用して、具体的なお味噌の商品パッケージやその他のアイテムにデザインを展開していきます。

これまで培ってきた伝統の味噌を、現代のお客様に向けて適切に訴求するための役割を、パッケージデザインに託しています。以下が「信州白樺印みそ」の新しいパッケージお披露目です。

こちらが新パッケージです!
手にとって頂くと分かりますがメタリックな輝きを放ってます
新タイプの味噌を色違いのパッケージで展開
新タイプの詳細は後日!
阪神百貨店さんの催事にて好評だった
200gの小型容器も正式リリース
「信州白樺印みそ」旧パッケージと新パッケージ

谷本さんが制作したロゴが基となり、新しいパッケージデザインにも反映されています。4月からの販売が楽しみです。

他にも語りたいことはたくさんありますが、かなり省略しつつ新田醸造のリニューアルの概要とその流れを説明させていただきました。

リニューアルに至るまで、何度も喧々諤々の議論が行われました。実はリニューアル期日を何度か延期しており、時間は掛かってしまいましたが、ようやく公開にたどり着けたことを嬉しく思っています。

今回のリニューアルは、単なる外見の変更で終わらせるものでなく、新田醸造が直面する課題に真摯に取り組み、新たな価値を創造する試みです。伝統を大切にしつつも、現代のお客様の期待に応え、より良い商品を提供できるよう努めて参ります。

私たちの歴史は、お客様との深いつながり無しには語れません。この新しいスタートは、皆様の継続的な応援と愛情によって実現したものです。また、このプロジェクトに関わっていただいた皆様には本当に感謝しております。

2024年4月から始まる新しい新田醸造に、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。新しい商品を手に取っていただき、その進化をご自身で感じていただければ幸いです。

新田醸造オンラインストア↓
https://www.nitta-jozo.co.jp


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