この不便な乗り物を

ストレスに弱くなった、と思う。
大学院生の時から、そりゃもう弱かったけど、会社に入ってからも相変わらず弱い。

ここ最近は会社でいろいろなことがうまくいっていなくて、行き詰まりを感じていたから、全然寝つけなかった。
寝つきが悪いのなんて、それこそ小さい頃からだし、別に気にすることでもないと思っていたけど、よく数えたら1日に4時間くらいしか寝られていない日が2週間近く続いていて、ああ、こりゃおかしいぞとなった。

あちこちの人に相談して、少しだけ楽になった。
明日から状況が変わると決まった日の夜、それまでより早く寝付けて、体なんて正直なものだとおかしくなった。

それでも、「少しだけなら」と無理をした期間が長すぎたのか、まだ全快には程遠い。
お腹は下しているし、頭は痛いし、なんだかぼーっとして集中できないし、「なんか調子悪い」を絵に描いたみたいな体調をしている。

◇◇◇

あなたはさ、元々ストレスが溜まると、寝付けないとか、そういう風になるタイプなの?
そういうのと付き合いながら生きてきたのと、会社に入ってから体に出るようになったのと、どっちなの?

きのう会社の人に聞かれて、「どっちかというと、元々そういうタイプですかね」と答えた。
優しさの塊みたいなその人は、きっと我慢しすぎてある日がくりと来てしまった人をたくさん見てきたのだろう、「体がちゃんと教えてくれるんだね。それはいいことなんだよ」と言ってくれた。

「いいこと」。
会社に入ってから、そう言ってくれた人は初めてだった。
あなたみたいに言ってくれる人に出会えたことこそ「いいこと」だよと思ったけれど言えなくて、言えばよかったと後悔している。

(それにしても、どうして「そういうのと付き合いながら生きてきた」という可能性が頭に浮かんだのだろう。メンタルの調子を崩したことも、それから体調を崩しやすくなったことも、誰にも言っていないはずだ。にじみ出ている雰囲気でもあるんだろうか)

◇◇◇

小さい頃、「病弱」なんてのとは程遠い子どもで、中高と運動部に入っていたくらいだから、わたしは未だに体調を崩している自分に慣れない。
だけどもう、わたしは自分を「病弱な人」の箱に入れた方がよいのだろう。

こういう時いつも思うことだけど、本当に不便な体になった。
ちょっと気を抜いてメンテナンスを怠ると、あっさりと調子を崩してしまう。
大学院を出てから、治るまで休んでいるわけにもいかなくなった。

言うことを聞かない「体」という乗り物を、それでも乗りこなして生きていくために、わたしはこれからずっと心にも体にも人一倍気を払っていかないといけないのだろう。
死ぬまでずっと、ずっと、ずっと。

それは、思うように動けないという意味ではやっかいなお荷物だけれど、世界にただひとりの自分を気遣うという意味では気に入っている。

体が「休んだ方がいいよ」と教えてくれるのは、「いいこと」なのだから。
体の声も、心の声も、きちんと聞いて生きていければと思う。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。