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なんかいつも、帰りたい

小さい頃から、学校は好きじゃなかった。
もっと前、保育園でさえ、あまり行きたくはなかった。

どうしてかはわからない。
ただ、大人が仕事に行くように、子どもは保育園に行くのだと思っていて。
大人は仕事を楽しんでいないようだったから、真似して保育園を嫌なものと捉えるようになったのが始めだったと思う。

昔から本ばかり読んでいて、家の中には自分より年上の人間しかいなかったから、ませた子どもだった。
だから同年代といてもつまらなかったし、どうしてみんなこんなに子どもっぽくてくだらないものが好きなのか、不思議だった。

中学校がしんどかったことは前も書いたけれど、小学校の時点で既に学校がつまらなかった。
子どもらしくあることを求められているのはなんとなく察していたけれど、大人の言いなりになるのが嫌で、気付かないふりをしていた。

勉強は大して難しくなかったし、黙って座っていられなかったり、何度叱られてもルールを守らなかったりするクラスメイトが、本気で理解できなかった。
一度注意されたら覚えられるもんじゃないのかな、なんで何回もやって先生を怒らせるんだろう、その分時間の無駄じゃん、連帯責任だって言って私まで怒られる…といらいらしていた。

そんなわけで学校というのはなんとも居心地が悪かった。
高校に入ってからは楽しかったけれど、今度は部活と勉強に忙しすぎた。
いつも何かに追われていて、のんびりしたかった。

いつもどこにいても、「帰りたい…」と思っていた。
帰ると言えば家だけれど、必ずしも家に帰りたいわけではなかったと思う。
あたたかくて楽しくて自由で、自分が自分でいられる場所にいたくて、それが家だったから「帰りたい」と言葉が溢れていたのだ。

疲れた時に「なんかもう、帰りたい」と思ってしまう癖はまだ残っていて、未だにあてもなく「帰りたく」なる。
メイクを落として、ダルダルの部屋着に着替えて、スマホをいじりながら寝転がりたい欲望に駆られる。

知らない人に立て続けに会ったり、気が進まない場に出席したり…とにかく「私の居場所は、ここじゃない」と思える場所に長い時間いると、「帰りたく」なる。

そんな時は可及的速やかに帰って、寝てしまうのがいい。
自分を武装するもの全部とっぱらって、素に戻って、さっさと寝てしまおう。
安心して眠れる場所こそ、帰るべき場所のはずだから。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。