見出し画像

STAEDTLER MARS PAN-TECHNICO 48019

MARS PANTECHNICO、マルスパンテクニコと言えば787が有名ですよね(5桁の方が有名なことなんて殆ど無いと思うけど..)
そんな787の前身となったと思われるペン、MARS PAN-TECHNICO 48019の記事です。
最高に工業的でロマン溢れるデザイン。
多分書いてる人少なすぎてレアな記事だと思います。
構成は
資料的話

各感想等となっております。

1面印字モデル


基本スペック
  全長:15cm (787:15.3)
グリップ:1.5cm (787:1.7)
直径
 軸最大:1.1cm(787:1.1)
平面最大0.9cm(787:0.9)
 軸最小:0.7cm(787:0.7)
グリップ:0.8cm(787:0.8)
重心
ペン先〜:6.5cm(787:7)
重さ  :x         (787:19)

名前の由来
pan→汎、つまり汎用など
なので言い換えれば汎用テクニコとなりさまざまな使い方ができることを意味する。(48019や787初期の2〜2.5mmのクラッチや787中期〜の2〜3.15mmのクラッチが最たる例)
もしかしたらとても短いグリップは多面体の軸を掴んで使っても大丈夫、という意味のデザインなのかも知れません。

発売年
不祥、他の5桁シリーズの発売期間から考えると1960〜1975年あたり?

種類(確認済の物)
以下48019
 

1面印字
1つの面だけに印字されており、
Germany STAEDTLER MARS PAN-TECHNICO
のモデル、マルスヘッド無し、MARSのみフォントが違う、分解可

2面印字
2つの面に印字されており、
片面は48019 MARS PAN TECHNICO
もう片面は(マルスヘッド)STAEDTLER Germany
のモデル
以下787

前期6叉
片面に787 MARS-PAN-TECHNICO
もう片面にマルスヘッド STAEDTLER GERMANY
クラッチが6叉、クリップ無し、分解可

前期4叉
片面に787 MARS-PAN-TECHNICO
もう片面にマルスヘッド STAEDTLER GERMANY
クラッチが4叉、クリップ無し、分解可

中期印字逆転
片面に787 MARS-PAN-TECHNICO
もう片面にマルスヘッド STAEDTLER GERMANY
左にペン先を置いた時正しく読める向きの印字、クリップ無し

中期固定クリップ付き(C)
片面に787 MARS-PAN-TECHNICO
もう片面にマルスヘッド STAEDTLER GERMANY
固定式クリップ有り、4叉クラッチ、左にペン先を置いた時正しく読める向きの印字

後期Germany有り
片面にマルスヘッド STAEDTLER MARS PANTECHNICO・787
裏面にGERMANYの印字
着脱可能クリップ有り、4叉クラッチ、分解不可能

後期Germany無し
1面にマルスヘッド STAEDTLER MARS PANTECHNICO・787
着脱可能クリップ有り、4叉クラッチ、分解不可能

MARS PANTECHNICOシリーズの変遷(現在確認されている物での予測)
48019(1面印字)←シリーズの始まり?

48019(2面印字)

787(前期6叉)←ここで3桁へ

787(前期4叉)

787(中期印字逆転)←ここから印字が逆に
787c(中期固定クリップ式)←この二つは共存

787(Germany有り)←ここで後期に

787(Germany無し)
考察の理由を書いていきます。
48019が2面印字が後な理由
→2面印字は後継の787と同じフォント、印字がされている
787前期4叉が6叉より後な理由
→48019は1面印字も2面印字も6叉なので3桁に移行した時に48019から787になったならば6叉の方が先なはず
印字逆転が後な理由
→前期固定クリップも存在していてそちらも印字が逆転している、後期も逆転しているのでそちらの方が流れ的に自然

Germany有りが先な理由
ここのモデルは全てGermanyが付いていたのでGermanyを付けられていて後になって無くなったと考える、正直微妙

あと1面印字の年代なんですがおそらく1963年以前だと思われます。
理由なんですがまず1面印字にはマルスヘッドが記載されてないんですよね、これの理由なんでか色々考えてみたんですがおそらくマルスヘッドを記載する難易度なのかなと言う結論に、
マルスヘッドって1963年になるまでかなり細かく描画されていて塗りつぶしじゃ無いんですよ。
だから印字する難易度的な問題で1963年以前には書いて無かった可能性。
2面印字は1963〜1973年のマルスヘッドが使用されていますしね。
だから48019は1963年に少なくとも一度マイナーチェンジしたのかと思われます。

48019一面印字参考資料(写真)

(比較として出ているものは787前期6叉)
感想など(思った事ぐっちゃぐちゃに書くので読みにくいです)
まず購入できて本当に嬉しかったですね、ebayアカウント作って出品でるまで待って為替相場分+国際送料で2〜3万〜…
的な事してようやく購入、みたいなのがこうなるかなぁと想定してたルートなのでかなり安く買えました。

まあまずはデザインほんといいですよねぇ…48019の中でもよく出回っている2面印字ではなく1面印字でしたがこの印字もクソかっこいいです
詰め込みすぎてテクニコが文字ちっちゃくなってるのも好きです。

MARSだけフォント違うんですよね、これ

さて次は5桁シリーズ最大の特徴、溝入りストライプグリップ、歯車グリップの話です

メカニカル!!!最高です

見た人は基本こう思うでしょう。
「このグリップ、めちゃくちゃ痛そうだな」
私も手に取るまではそう思っていました、ノートに筆記なんて厳しいレベルのガチガチの製図に使う絶対にぶれさせない用のグリップだと。

手に取って思いました、意外と優しいなぁ
そうです、別に痛く無いんです、そりゃ925-35のローレットですら無理です的な人にはキツイかもしれませんけど、全然ノートに筆記するなどに使用できるレベルです。

何よりもこの歯車を連想させる工業的、メカニカルなグリップに長く美しい形状のこの軸は私の心に突き刺さりました。

次は787前期6叉と比較して、です

どちらも本当に美しいです、軸の形状は基本変わりませんがグリップ全体の長さが少し違ったり、ノック部が短くなったりして48019の方が3mmほど短いですね、ちょうど15cm

芯をホールドする面での話
こちらは787前期6叉に軍配が上がりますね、圧倒的なホールド力には勝てませんでした。
いや、普通に芯ホルダーの中ならホールド力高い方なんですけどね?787前期6叉が異常です。

掴める芯の話です、
おそらくどちらとも2〜2.5mm用として発売されていたはずなんですけどどちらとも3.15mmギリギリ挟めますね、ただ787前期6叉はこれをした際芯が自由落下しませんが48019は自由落下してくれます。
ここは48019の勝ちかな。

787の方がよく開く大層なクラッチ使ってるんですけどね..?

48019の掴めるモノの写真です。

だいぶ黄色ががってます、すみません

クラッチの収まりって点でも787前期6叉の方がいいですね、あの芯ホルダーほんとに2mm芯を掴むって面が強すぎる。

次は軽くノック部の話


他のMARS PANTECHNICOシリーズと違って48019はキャップに溝はありません。
48019はちょっと珍しく下に行くほど少し太くなるキャップです、これが軸の上部にひっかかってしっかりクラッチを締め切ってキャップを押し込んだ状態じゃなきゃ正常に動かないです、いらん仕様

届いた当初の話 
ノック音がそりゃあうるさくて、うるさくて。
とても実用できるようなレベルではなかったです。
例のキャップのせいでクラッチが押し込まれた時にバチって音も鳴りますし、ビンテージホルダーやなぁと。

そこから外観を研磨して傷を消して、内部の一部も研磨してノック音と抵抗を減らし普通に使えるレベルまで持っていけました。
使えるレベルまで持って行けた時は本当に嬉しかったです、ああ、これが実用できるんだ、と。  

ちなみにグリップが一面印字と二面印字で違います。長いので以下前期、後期と省略
前期は歯車が段ごとに不揃いです。そして最後の歯車からペン先までが緩やかに結合するような形になっている。

後期は歯車が均一です。最後の歯車が緩やかになっていたりもしません
後期は持ってないので写真があるサイトのリンクを、
https://www.etsy.com/jp/listing/1151142792/vintage-steadtler-48019-mars-pan?show_sold_out_detail=1&ref=nla_listing_details
なんとなく後期の方がシャープな印象を受けますね

そうですね…最後に筆記面の話を少ししましょうか?最近描きやすさあんまり気にしなくなっちゃってますが….
筆記面ですがテストで使用してみた感じ普通に良いと言った感想ですね、そんな疲れやすいわけでも無いですし別に描きにくくは全然無いですよ。
グリップが短すぎるというMARS PANTECHNICOシリーズの感想あるあるの欠点はありますが、デザインの犠牲になったと考え良しとします。
総合的に見たら人に勧めるもんじゃ全く無いですけどね、前期6叉の方がペンとしての性能高いです。

いかがでしたか?STAEDTLER MARS PAN-TECHNICO 48019、自分は大満足できましたが人には一切おすすめできません。
歯車グリップかっこよくて欲しくなった人はせめてデザイン似ててカッコいい48013や48000を買いましょう。ではまた

追記
書き忘れたこと入れておきます。この芯ホルダー、クラッチ開放時の衝撃がえぐいです。
良いタイミングでノックして行けば真上にペン先向けてても芯繰り出せるとか言う脳筋っぷり。

1回横に向けて1ノックしたらこんなに出てきた。

まあ原因はクラッチです、割と食い込むんですよこのクラッチ。
そのせいで解放されると一気に衝撃が来ます。
でも面白いから許す!

そしてクラッチがものすごい曲がりやすい。
良い意味ですよ、折り曲げに割と強くて壊れにくいですし。
787前期6叉とは比にならないほど曲がりやすい、2mm芯出す時にクラッチ少し抑えてると芯自由落下しなくなるレベルです。

最高峰の48xxxシリーズより貰った圧倒的グリップ力を備え、汎用という名の元に発売された高機能芯ホルダー。

787も是非是非

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?