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【400字小説】冷たさ

NBA選手のカワイ・レナードはシュート力が
正確無比すぎて、冷酷なくらい。

「最近は大谷くんの影響で、
試合中でも感情爆発させるコが増えたね」
って去年の夏の甲子園を見ながら、
ユウヒトが言ったのを思い出した、早朝に。

アユがユウヒトに別れを切り出されたのは
昨夏に慶応高校が甲子園で優勝した3日後。
ユウヒトは坊主にして来て、
「これが僕の覚悟だよ」と言った。

ユウヒトはスポーツ観戦が好きだったけれど、
日本チームや贔屓のチームが得点を決めても、
感情を表さなかった。

何を考えているのかわからないことがあって、
アユはユウヒトを不気味と思うことが正直あった。

ユウヒトの別れ話は侍の辻斬りみたいに無慈悲で、
涙も出る隙を与えなかった。
「なんで?」と問い詰めたけれど、
淡々とした答えしか返ってこなくて、
興奮したアユはユウヒトの頬叩いてしまって、
「こんなアツい恋だったんだ」とアユ自身驚いたよね。

それを朝早くから思い出して、冷たい涙が出た。

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