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【400字小説】四つ打ち

クラブの大音量のなか、耳元で「大事な話がある!」と
キボウに言われたハルカは、
良い予感と悪い予感が心で渦巻いた。

混乱したハルカは「今はイヤ!」と返したが、
キボウには聞こえないらしく、
「何て言ったの?」とキボウは聞き返した。

しかし、今度はそれがハルカに伝わらない。
最終的には伝わったが、
スムーズにいかなかったことについて
ハルカはイラついた。
多分、不安の方が大きいのだろう。

二人はフロアの外のバーカウンターに行く。
キボウはコーラ、ハルカはジン・バック。
ケチなキボウが珍しく奢ったので、
ハルカはますます疑い深くなり、
「別れ話だ! しかもこんなところで!」と
心中穏やかではなくなる。

分厚いドアーで隔たれてはいるものの、
キックの音がズンズンズンズンと漏れ聞こえていた。
一刻も早くフロアに戻って音の光粒を
浴びたいとハルカは思っている。
キボウはそんな不安感を抱えていることにも気づかず、
「実はさ、」と口角をあげて。

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