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05.僕がクラウドファンディングをしたい理由②-”ファン”について-

〜はじめに〜

 1月29日に公開されましたMayprill Recordsによるクラウドファンディング企画についての僕の思いを書き綴っています。

企画始動前より書いていたものなので、やや頭でっかちな印象で、文章が少し尖っているかもしれません。もし気になる方は読んでみてください。

「ファン」について考えてみました。
「売れる」ということについても。

【ファンって何?】

 これまでのEmeraldは自主企画の大きなイベントは毎回確実に成功させていますが、大量のライブを行えないので、バンドの継続性をお客さんにアピールすることができませんでした。単発で様々なイベントに誘っていただくことはありますが、定期的に自主企画を打ったりすることが非常にリスキーでできなかったのです。そのくせにクオリティばかりが上がっていくので、ブッキングやイベントなどの短いライブにお客さんが満足できなくなってきて、コアなお客さんからは長尺のライブを求められることが多くなります。しかし長尺のライブに呼ばれるには、しっかりとしたファンベースがないと難しいのです。かつ、自分たちで企画をする際は特に非常に恐ろしい橋を渡ることにもなります。なのでとても慎重なのです。失敗すれば楽曲をレコーディングする為の資金が無くなります。

Emeraldの音楽は、ライブが一番なのですが、どうも「今見に行かなくちゃ」という展開になっていなかったんだと、今は思うのです。「またいつでも見れる」「長いやつを見たい」「すごい人とやってるのが見たい」「フェスに出て欲しい」など、ライブを見にいくことを先延ばしにする理由が多かったのではないのかなと思います。それは大きなリリースイベントがことごとく成功しているというのが何より証明しているなと思います。ステージからたくさんの人を見つめながら「この素敵な人たちは一体今までどこにいたんだろう?」が正直な感想です。僕たちはそうした方々の為にも活動を大きくしなくてはいけないのです。一つ一つの貴重な支援や声援、支持を繋いで繋いで、面に、立体に変えて形にしていかなくてはいけないのです。

僕達はファンという概念がなんなのか、ちゃんと考えただろうか?

これからMaypril Records及びEmeraldは、生活の根本リズムを狂わすことなく、どうやって活動をさらに充実化させ、バンドの音楽を広く世に伝えていける様になっていけるのでしょうか。そして「ファン」と呼べる人たちのことを感じながら、活動をすることができるようになるのでしょうか。大きな問いが心に広がりました。

僕達はゆっくりと認知を広げながらも、世間にはまだまだ知られることはありません。僕は歌い手としても、レーベル代表としても、そのことにものすごい恐怖を覚えました。僕はあと何年歌が歌えるだろう。

7年かけて、このペースで、僕らは大丈夫なのか。

この7年間の、しかも最高の作品達が、世間からは「ただの趣味」「無駄」「無意味」「無価値」「売れてない」「知らない」で終わらせられてしまうことが、この世の中では平気で起きてるんだと。

そしてアーティストはその声を払拭すべく全体もしくは一部で「人気者」になって世間を黙らせることが活動のメインになっていきます。それはとても大事なことです。名声を得ることはポップカルチャーを語る上で重要なファクトです。評価されて初めて、今までの活動にも光が当たる。その日を夢見て歯を食いしばって活動をするのです。賢く、必死で(時に闇雲に)。

知ってもらう為ににいろんなバンドがやっている王道の方法を研究してみました。ファンの層を簡単に分けてみました。俗に言う「売れている」アーティストはパターン1からパターン3を完全に網羅しています。かつそのファンに対してどのようなアプローチが有効なのか、、、。

パターン1(ライブ派)

・知る(ライブの対バンや仲間からの勧め)
・好きになる
・ライブに行く
・ファンになる
・CDやグッズを買う友達を誘う

など、これらが同時多発的に様々な場所で起こす必要があります。

知ってもらうにはライブを大量にしないといけません。 若いバンドはとにかくたくさんライブをします。最近だと「突然少年」。Emeraldの友達である「showmore」もそうですね。みんな平日は働いていることもあり、僕らは大量のライブができませんでした。平日のライブオファーは結構断ってしまうことも、ツアーになかなかいくこともできませんでした。本当はとても行きたいんです。
パターン2(インドア派)

・知る(ラジオやメディアや好きなアーティストのオススメ)
・好きになるCDを通販で買う
・ストリーミングで聞く
・YouTubeで見る
・呟いてみる(Twitter等)
・気づくといっぱい聞いてるたまに外に出た時に、CD屋でパッケージを買ってみる

 なかなかライブに来てくれることはありませんが、Emeraldのファンがいるとすれば、この層が多い気がします。ライブに来るとすごく感動してくれるのもこの方々です。

知ってもらうには、メディア露出を増やしたり、著名人のお墨付きをもらうための動きをしなくてはいけません。

もう一つ、様々なアーティストとのコラボレーションで存在を知ってもらうと言うのも有効です。 若い人や、平日の時間に余裕があれば、最近は著名人に会うとか、コラボを作るなどのアプローチする手段は様々あり、そうした活動は大事な広報活動です。アーティストとレーベルの連携で、これを行なっていけると強いです。僕たちはこれがあまり出来ませんでした。単純に外交力がそんなに高くないのです笑。すぐこもって音楽を作ってしまう。なのでYAMAHAさん、CINRAさんから頂いた環ROYさんとのコラボはとても楽しかったです。
 パターン3(フェス派)

パターン1と2のあいのこです。

・知る(ざわざわしてる"売れてる感"につられて)
・聞いてみる
・フェスに出ることを知る
・タイムテーブルで被りがなければ見にいく

・知る(パターン1や2のような形で)
・フェスに出ることを知る
・大きいところでみんなと好きな音楽が共有できる!と言うお祭り的な喜び
・タイムテーブルのメインに置く

 気になるアーティストを一気にフェスで見ちゃおうというお祭りで音楽を嗜む層です。

好きになったアーティストの単独公演などに足を運ぶ方々もいます。
フジロックなどにいく人は海外の音楽が好きな人も多いので、最新の音に興味のある人も多いです。

基本はアーティストを「応援する」というより「見る」のが好きな人も多いいです。シーン全体や、今の流行りを知っておきたいという層も多いです。これに出だすと「売れた」と言う印象をつけることができます。

フェスにいっぱい出てほしいと言われます。
出たいです。

その為にはとにかくライブをしてメディアにも出て、芸能人やアーティストにフックアップしてもらって、コラボもして、かつ最新の音楽を作って、とにかく知ってもらう必要があります。

 これは自主では色々な難しさがあります。裏側の話になってしまうので明示は避けますが、パターン1とパターン2のファンに対する取り組みは自主でできても、パターン3へのアプローチは本当に難しい。個人を感動させることだけでは動かない、相対的世間の評価で出演が可能になる世界です。フジロックは「ROOKIE A GO-GO」と言うステージがあります。ここが唯一僕たちが憧れるフェスにおいて、自主のアーティストに開かれてるイメージです。
何度も見に行っていますが、バンドにとってもファンにとっても最高の祭りです。泣けます。
パターン4(音楽やってる派)

自分がアーティストとして活動していたり、イベンターだったり、音楽を生活に完全に取り入れて、音楽を燃料に生きている層です。僕もここです。自分の好きなアーティストや芸術家、文化人、自分が現場で見たもの、自分が見つけ出したものだけを信じます。人として好きと言う理由から音楽を聴いてもらうこともあります。そういう方々がEmeraldを好きでいてくれる人の中には多いです。アーティストと近いところにいるので、CDやグッズをタダでもらってしまったり、ライブもゲストで入れたりします。でも本当に好きな人は、ちゃんと買ったり、レコードが出るのを待っていてくれたりします。大きなライブの時はわざわざプレイガイドで買ってきてくれたりして、泣けます。

この方々にはとにかく「いい音を奏でること」でしか相対する事は出来ません。Emeraldを身近でずっと支えてきてくれたのはこの方々です。これからもそこは死ぬ気で頑張ります。


僕らはただひたすら音楽の魅力に取り憑かれて、メンバーとディスカッションを重ね、友達や、お客さんに聴いてもらって、また新しい曲を作る。
ただそれだけをやってきたし、それがバンドの最大の魅力を作っています。

上記のようなファンの方々の動きをなんとなく知っていながらも、知ってもらう為に、「いいレーベル探そう」「話題作りだ!」「売れるぞ!」「芸能人(インフルエンサー)捕まえて拡散しよう!」とならないのがこのバンドらしいところで、「もっといい曲作ろう」と、みんなが口を揃えていうのです。

「いや待って、もう十分いい曲だよ!!!」

と僕は心から思うわけです。

実際僕やEmeraldにはどれくらいのファンがいらっしゃるのだろう?
この7年の活動を見て、音を聞いてみたりして、その価値を見出してくれる人がどれくらいいるんだろう?

そしてそういう方々に僕らは何をすべきか、、、。それを考えることが自ずとバンドの未来を豊かにするような気がします。僕は幸い、平日動ける時間ができました。じゃあやってみようと言うことです。

「06.僕がクラウドファンディングをしたい理由③-日本のマーケットにおける音楽って?-」(リンク)

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