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これからオッペンハイマーを観る人のために

ついに日本公開が決定した、映画「オッペンハイマー」。去年10月に近所の映画館で英語版を観たので、その感想を。

あらすじ

「ダークナイト」「インセプション」「TENET テネット」など話題の大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督が、原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。2006年ピュリッツァー賞を受賞した、カイ・バードとマーティン・シャーウィンによるノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描く。

オッペンハイマー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画をみた感想

まさにあらすじに記載されている通りの以上でも以下でもない。話の構造的には、原爆開発に関わるまでのところ、原爆開発中の獅子奮闘、原爆開発後の転落の3つを行ったり来たりするのだけど、本当にそれだけ。
原爆を開発した人間の葛藤と後悔はあるし、原爆投下については、アメリカ人と日本人の間には永遠に和解はできないと思うが、部外者であるノーランが描く葛藤はこの葛藤なんかを無視して、表面的にしか描いていないというのが気になる。

映画の手法、脚本もイマイチ

先ほどの3つの展開でモノクロとカラーを使っているのだが、その使い方がよく分からなかった。モノクロとカラーを使い分ける映画の手法は、セオリーとしては、過去=モノクロ、現在=カラー、あるいは、その逆、または、良かった時代=カラー、転落した後=モノクロだったりするわけですが、この映画はどういう切り分けかよく分からなかった。
あとね、そもそも、3時間の映画を作る意味が分からない。3時間の映画を作るには、2つの映画をくっつける脚本の力が必要で、それこそ、「ゴッドファーザー part2」とか、「ブリッジ・オブ・スパイ」とか、2本の映画を1つにするくらいの力技がないと上映時間長いという感想しか持たない。これはC・ノーランの悪い癖で映画はどこを切り捨てるかが肝心ということが理解できていない。

反日濃度はどれくらいか

これは相当薄い。だって、そもそも、原爆投下がもたらしたものなんか理解していないのだから。この作品に限らず、公開前に反日映画だと騒がれる映画は須く、反日濃度は薄い。A・ジョリーの「アンブロークン」然り、鯨の映画然り。さらに、反日だの騒ぐ人間は映画を観ないので日本公開は何一つ問題はない、
本当に反日映画を観たければ、中国とか韓国の抗日映画でも観ればいい。日本では公開されないけど。

総評

映画として凡作。なぜこれが世界中でヒットしているのかが分からない。台湾だと公開3週目くらいだったせいか、客席はガラガラだった。
C・イーストウッドの「父親たちの星条旗」が描いた、戦争には勝ったのにその後の人生が惨めになったという王道を真似すらできないというのは映画は進化しているのか。というわけで、上映時間が長い割の凡作。C・ノーランファン以外は観なくていい。

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