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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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【#ゲームの作り方】【#noteの書き方】noteでゲームを作るには?

 ゲームアプリを作ってnoteの記事で公開したい、という意味ではありません。
 数値計算を極力省いて、基本的には文章のみで構成する、コマンド選択式のゲーム。

 デジタルならばアドベンチャーゲームノベルゲーム、アナログで紙媒体のものはゲームブックと呼ばれるジャンルです。

 このタイプのゲームを作るのに必要な条件をまず考えて、noteとの相性を検討してみました。


フラグを管理する

 「重要人物の話を聞いたか」「あるアイテムを所持しているか」などのフラグを管理することは、選択肢を増やしてストーリーを膨らますために重要です。

プレイヤーが記憶する

 作者が仕込んだヒントをプレイヤー自身に見つけさせて、正しい選択肢に誘導するのはミステリーの定番。
 しかしこれでは、プレイヤー本人がヒントを覚えている限りもう遊べません。
(遊べることは遊べるが、面白くはない)

 ゲームブック「ソーサリー」シリーズでは、巻末にある呪文リストをプレイヤーに実際に覚えさせる趣向です。
 こちらは逆に、呪文を覚えていないと面白くない。
 さらに、プレイヤーが本当に覚えていなくても、必要なときに呪文リストをじっくり見直す、いわば「チート行為」もできてしまいます。
 作者は「いったん旅をはじめたら、もう『魔法の呪文の書』を開いてはいけない」と繰り返し説明して、プレイヤーがその世界観を守ることを信じるしかありません。

紙に記録する

 何度もプレイする「やりこみ要素」を実現したい場合は、記憶ではなく記録を利用する方法が合理的です。
 プレイヤーがヒントを忘れていることを前提とする性善説ではなく、そもそも覚えられないように無駄に多くの情報を記録させるわけです。

 作風によって形式に違いはありますが、「冒険の書」などと称する記録用紙を未記入の状態でコピーさせて、その紙にはいろいろな情報を書き込ませる形が一般的です。

「火吹山の魔法使い」の冒険記録紙

 ただし、前回の書き込みがあるシートを捨てずに見るというチート行為を防げるわけではないので、やはりプレイヤーの良心に頼る面はあります。

何を記録するか

 一般的なのは、アイテムキーワードを記録するシステムでしょう。
 重要なものに加えてダミーを多く混ぜておけば、入手した時点では何が重要なのか分かりにくい、という利点があります。
 ただし、それを使うときに「〇〇を持っているか?」「メモに〇〇が書いてあるか?」とプレイヤーに確認する方法では、やはりYesと偽るチート行為が防げません。

 そこで、意味の分からない情報を記録させるシステムもあります。
 最盛期に出た大作として知られる「ネバーランドのリンゴ」では、「冒険の書」に相当する用紙に数十のマスがあり、そのマスに数字を書きこんで使います。
 正確な値を知らないと先に進めないので、チートしにくい利点はありますが、ゲームの都合による不自然な作業に感じるという副作用はあります。

 数字を使う手法は、ゲームブックの特徴を生かせるため、定番とも言えます。
 一見意味のない数字を記録させて、その数を項目番号として使う。
 ゲームブックの各シーンが項目番号で識別されていることを利用したギミックです。

 いくつかを合計した数だったり、一定数だけ足したり引いたりするような派生ルールがあります。
 草創期の名作「火吹山の魔法使い」で、すでに導入されていました。

 欠点としては、例えば6個から3個を選ぶとすると、単純計算では20通り(=6*5*4/3*2*1)の選択肢ができるので、1個の「当たり」と19個の「はずれ」のシーンを作る労力が必要になります。

残機を管理する

 ゲームオーバーの要因としてレッドカード(即死)だけでなくイエローカード(残機ゼロ・体力切れ・時間切れ)を追加するものです。

 そもそもコマンド選択式のゲームは、各シーンに選択肢が複数づつあるので、単純に分岐していくとシーン数が発散してしまう。

 そのうち明らかに無謀な(呪いを受けたり、崖から転落したりするような)選択肢は即死で終了にできますが、それが多いゲームは難しくて理不尽な印象を与えます。
 かといって、行き止まりで戻らせたり、正解ルートに無理やり合流させる道が多いと、無駄なシーンばかりということになる。

 そこで、ルートによって難易度を調整する工夫が、残機や、体力や時間の導入です。

 残機を導入するというのは、神の力などで復活できることにするルール。
 体力はヒットポイント。あるルートは強敵が多いので死にやすいが、別のルートは強敵との戦闘が少なくて体力を温存できる、など。

 時間の概念は難しいですが、例えば一日一個は食糧を消費することにして、食糧が尽きたら死ぬルールなどがあります。
 筆者の記憶にはありませんが、単純に経過した日数を記録させて、重要なイベントに間に合わなかったら時間切れで終了する方法も考えられます。

ネタバレを防ぐ

 紙の本でできているゲームブックでは、同じページにある別の情報がどうしても見えてしまう(つまりネタバレする)という弱点があります。

 そもそもシーンをランダムに配置すること自体が、ネタバレしやすいという紙の本の欠点を認めていることになります。
(もしもシーンが登場順に並んでいたら、まず進む先のシーンを全て読んでから選択肢を選ぶ人が続出するでしょう)

noteの仕様でどう作るか

 紙のゲームブックにはこのような制約がある中で、noteのテキスト記事を使うと何が好都合で何が不都合になるのか。

 まずnoteの仕様で期待したものは、有料マガジンのしくみです。

 有料マガジンとしてゲームを作り、各シーンを別々の記事としてマガジンに収録する。
 別の宣伝用の無料記事の中に、この有料マガジンの第一話へのリンクを貼っておく。

 購入者は第一話から順に読んでいき、選択肢のリンクを選ぶと次のシーンの記事に飛ぶ。

 という構成は、下図のような想定のもとです。

筆者が考える、ネタバレを回避するために適したマガジンの構成。第一話だけ公開する(2)の形か、第一話も購入者にしか見えない(3)の形にする。

しかし実際には、このような仕様でした。

筆者が理解した、実際のnoteの仕様。Z世代はネタバレを嫌がらないので、むしろ意図的にネタバレして注目されるほうがよいという発想らしい。

ネタバレ

 ここで悩ましいのが、ネタバレの問題です。
 noteではあらゆる記事が検索の対象になるから、いきなりどの記事にも飛んで来れるし、さらに「このクリエイターの人気記事」「前の記事」「次の記事」に表示される別の記事をたどることもできる。

 つまり、クリエイターが想定しない順番で読まれてしまうことは回避できません(=ネタバレするもしないも、読者しだいである)。

コマンド選択

 noteのURLリンクの仕様という悩みもあります。
(少なくとも2023年4月時点では)選択肢に張ったリンクを選ぶと、別ウィンドウが開きます。

 これは、リンクで進む先が個別の記事でも、同じ記事の中の見出しでも、別ウィンドウが開いてしまう点は同じです。

 だから、1つの記事に全てのシーンをまとめて、リンクではなくてスクロールによって目的のシーンを探すようにしたい。
 そうすると、項目数が多いとスクロールが大変になるので、なるべく項目数を少なくするという方向性になります。

フラグの管理

 そして、できるだけアイテムやキーワードなどのフラグの管理もなくしたい。

 もちろん記録用紙がある前提のシステムにしようと思えばできますが、1つのnote記事で完結するシンプルなストーリーを志向するのであれば、記録するものが多いのはバランスが悪いように思います。

 「やりこみ要素」は、フラグの多さではなくて乱数に頼るのがよいのではないか。
 サイコロなら1個で最大6通りの選択肢が作れるわけで、それらは全て情報として公開する。
 運がそこそこあれば必ずゴールにたどり着けるが、ゴールへたどり着き方がいくつもある。

 一貫して意識するのは、「ネタバレを防ぐのが難しいのであれば、バレたら台無しになるような秘密をそもそも持たなければよい」という発想です。

結論?

 これらの考察から、筆者の考える最適な方針は以下のようになりました。

  • 少なくとも現在のnoteの仕様では、数百個のシーンがある大作ゲームブックを作るのは難しい

  • 全てのシーンが1記事に収まり、かつスクロールも大変ではないように、シーンの数は少なくすべき

  • ネタバレを恐れずに済むように、ストーリーの複雑さではなくむしろオープンさを売りにすべき

この方針で、筆者も何かしら作ってみたいと思います。

(このようになりました。)


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貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。