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古谷葉子&浩平/ちづの農家 旬菜屋

法人名/農園名:ちづの農家 旬菜屋
農園所在地:鳥取県八頭(やず)郡智頭(ちづ)町
就農年数:葉子さんは10年、浩平さんは13年
生産品目:30種類のブドウ(シャインマスカット、ピオーネ、紅伊豆、紅バラード、安芸クイーン、ゴルビー、マニキュアフィンガー、サニードルチェ、ベニバラオー、ロザリオビアンコ、ハニーブラック、ブラックビートなど)、白ネギ、ブドウで作った干し葡萄
HP:https://syunsaiya.jimdofree.com/
SNS:syunsaiya45

no.229

インストラクターから司会にラジオ・・・農業の枠にとらわれず自由に活躍

■プロフィール

古谷葉子さん 
 京都府綾部市のサラリーマン家庭に生まれるが、食糧危機になったら作る側になりたい、という思いから農業大学校に進学、果樹園芸を学ぶ。

 卒業後は農業法人に就職、ホテル内の菜園の仕事などに従事するが、1年半ほど働いて退職。その後、スポーツクラブに転職し、子供の頃から得意だった水泳のインストラクターとなる。ここで夫となる浩平さんに出会う。

 その後、コミュニケーション力をつけるべくアナウンス教室に入り、その後司会者としてブライダル事業に携わる。

 疎遠になっていた浩平さんと再会し、2014年に結婚、鳥取県智頭町に移る。就農し、農業にも携わりながらイベントの司会やラジオのパーソナリティを務めるが、出産を機に司会の仕事は控え、夫と共に農業に従事する。

古谷浩平さん
 大阪府出身。鳥取大学農学部で施設園芸を専攻。卒業後、ワイナリー勤務、建設会社の農業部門を経て、独立を決意。2011年に農業研修で智頭町へ移住。

 2014年に結婚。現在はブドウ、白ネギ、水稲を栽培する。

■農業を職業にした理由

〜「食糧危機」に対する問題意識で農学を目指す
 葉子さんは京都府の生まれ。母方の祖父は酪農をやっていたものの、会社勤めの両親のもとで育つ。高校時代は英語を使って世界の人とコミュニケーションしたいと留学を夢見たり、好きな美術の道に進みたいと考えていたが「食糧危機になったときに作る側になっていたい」という思いに駆られて農業大学校に進学。卒業後はホテル会社の農業部門でハーブの栽培や除草などの作業に従事する。

 もっと人と関わる仕事がしたいと言う思いが強まり、水泳のインストラクターを志して、スポーツクラブに転職。そこで近所のワイナリーに勤務し、後に夫となる浩平さんと出会う。

〜二足の草鞋で「自分の道」を進む
 一方、夫の浩平さんは鳥取大学農学部で施設園芸のメロン栽培の研究をおさめるが、卒業後は担当教諭の紹介で、京都北部にある「天橋立ワイナリー」に就職。

 ブドウ栽培を5年ほど担当したのち、建設会社の農業部門を経て、独立就農先を探すようになり、ブドウ栽培に適した鳥取県智頭町へ2011年に移住。

 1年間研修を受けながら農地を探した結果、2012年に独立して、ブドウと白ネギの栽培を開始。当初は1人で経営していたが、家族を持ちたいと思うようになり、以前から連絡を取り合っていた葉子さんと2014年に結婚。

 結婚しても農業を手伝う必要はないと考えていたが、葉子さん自身の希望を受けて「家族経営協定」を結んで分業体制をとっている。農業大学校時代に一通りの知識を学んだことと、農耕用の大型特殊免許も持っていたので、トラクターなどの操縦と販売を葉子さんが、それ以外の作業は浩平さんが担当している。

 農業界では、女性は男性の補佐役にとどまるケースが多いが、浩平さんは「やらされる」のではなく「自主的に自分のやりたい事を楽しんでやること」が大切だとして、葉子さんには「もっと自分らしさを表現すれば、いろいろなことができるはずだ」と期待を寄せている。

 葉子さんは持ち前のコミュニケーション能力で、自治体の職員ともすぐに仲良くなり、役場や農協関係のイベントの司会や出張ヨガ教室などの指導も引き受けているほか、地元FMのパーソナリティに挑戦したり、農業の枠にとらわれない活躍を楽しんでいる。地域の人たちからも愛される存在だ。

■農業の魅力とは

 2023年12月現在の生産面積は、ブドウが35アール、白ネギ30アール、水稲1ヘクタール、その他の野菜が20アールに広がっています。

 ブドウは単品種を生産する営農スタイルが一般的な鳥取県では珍しく、30種類近くを育てています。それを可能にしているのは、農協に出荷せずに、消費者に直接販売していることと、大規模化や効率化とは異なる営農スタイルだからだと思います。

葉子さん
 生活が仕事で、仕事が生活。農業をしていると生きていることが楽しくなります。土からできたものを食べて生きているという感覚、それがたまらなく幸せ。こんな素敵な仕事はないと思います!

浩平さん
 農業は、家族と生活しながら、子育てしながらでも仕事できる、そういう産業です。家族と一緒の時間を大切にしながら、それほど大規模なことはしなくても、ちゃんと食べていけるし、自分の個性や「らしさ」が生かせる楽しさもあります。

 僕自身は、妻の社交的なキャラクターや企画力を活かして、新しい販路やビジネス開拓を進めていってほしいとおおいに期待しています!

 今は子育て中心でラジオ番組の出演もお休みしている状況ですが、農作業でも販売面でも、自分がやりたいことに自主的に関わることで新しい一歩につながると思っていますので、どんどん挑戦してほしいと思ってます。

■今後の展望

 農協出荷はせず、直接販売、それも家の前に設置したスペースでの対面販売が中心で、他は電話やFaxなどでの贈答品の需要や、産直サイトを通じて販売しております。

 誰とでも仲良くなれる葉子さんの接客能力を生かした販売スタイルで、特にコロナ禍では、地元の常連客が順調に増えていったのですが、感染拡大が収束した現在は、県外で買い物する人も増えてきて、販売が伸び悩んでいます。そこで、今後は販路を広げるためにECにも着手したいと思って、現在は準備を進めています。(2023年12月現在)

 浩平さんは京都時代にワイナリーで働いていたので、いずれはワインの製造にも挑戦したい。収益はそれほど期待できないと思いますが、今後、離農する農家から新たに農地を引き受けることになる計画もあって、ワイン作りに前向きに挑戦したいと考えています。

 しっかり働いて、しっかり休む、冬の農閑期には1カ月休んで海外旅行にも行けるような、そんな農家の働き方のモデルケースになりたいと考えています。

 子供と一緒に生活を楽しみながら農作業にも勤しむ、そういうことができるのだということを私たちの農業を通じて、広く伝えていきたい。女性が積極的に農業を選べる選択肢になったら嬉しいと思います。(記:沼田実季)

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