いじめの力： 攻撃的な行動がチンパンジーの社会的地位と繁殖の成功を促進する

https://neurosciencenews.com/aggression-personality-23094/

特集神経科学心理学
-2023年4月24日
要約：新しい研究によると、より攻撃的な性格で良心的な性格のチンパンジーは、より受動的な性格のチンパンジーよりも社会的な階段を上り、子孫を残すことに成功することがわかった。しかし、すべてのチンパンジーが同じ性格特性を持っているわけではないことも不可解であり、チンパンジーの性格の多様性を決定する他の要因が存在する可能性が示唆された。
出典 PeerJ
かんしゃくを起こす。同僚を脅し、突き飛ばし、盗む。残忍な振る舞いが権力への有効な道となりうることが、科学によって再び確認された。人間だけでなく、チンパンジーにも言えることだ。
4月24日付のPeerJ Life and Environment誌に掲載された新しい研究によると、いじめっ子で貪欲でイライラしやすい性格のオスのチンパンジーは、礼儀正しく良心的な性格のチンパンジーよりも社会的地位が高く、子孫を残すのに成功した。
しかし、もしそうだとしたら、なぜすべてのチンパンジーがいじめられっ子ではないのだろうかと、研究者は考えている。
エジンバラ大学とデューク大学の研究者が率いるチームは、タンザニアのゴンベ国立公園に生息する28匹のオスのチンパンジーを追跡調査しました。
エジンバラ大学のアレクサンダー・ワイス教授とデューク大学のアン・ピューシー教授らが以前行ったゴンベ・チンパンジーに関する研究では、社交的なチンパンジーがいる一方で、一匹狼のチンパンジーもいることが示されました。また、気楽な性格のチンパンジーもいれば、威張ったり、すぐにケンカをしたりするチンパンジーもいる。
チンパンジーをよく知るタンザニアの野外研究者が、各チンパンジーの行動や他のチンパンジーとの関わり方をほぼ毎日何年も観察した上で、性格評価を行いました。
今回の研究では、特定の性格特性（この場合、高い支配性と低い良心性の組み合わせ）を持つオスのチンパンジーは、他のチンパンジーよりも人生において良い結果を出す傾向にあることがわかりました。
「と、デューク大学の進化人類学の助教授で、この研究のもう一人の主執筆者であるジョセフ・フェルドブラム氏は言う。「性格が重要なのです。
いじめには特典があると知っても、衝撃はないかもしれない。しかし、ある研究者にとっては、このような発見は難問である。もし、特定の性格傾向を持つ男性がトップに上り詰め、繁殖し、その特徴の遺伝子を子孫に伝える可能性が高いなら、すべての男性がそうであるべきではないだろうか？
言い換えれば、なぜ性格の違いが存在するのでしょうか？
フェルドブラムは、「これは進化論的なパズルなのです」と言う。
長い間信じられてきた説のひとつに、動物の一生のうちで異なる時期に、異なる性格特性が利益をもたらすというものがある。攻撃的な性格が若いオスのチンパンジーに有利であったとしても、年をとるとそれが裏目に出るかもしれない。また、若いうちは不利でも、年をとると有利になる性格もある。
「高校時代にピークを迎える人と、それ以降にピークを迎える人の性格的特徴を考えてみてください」とワイスは言います。「トレードオフの関係にあるのです」。
しかし、研究チームが、1970年代にジェーン・グドールがゴンベで行った初期の研究の一部まで遡る37年間のデータを使って、この考えを検証したところ、同じ性格特性が、生涯を通じて、高い地位と繁殖の成功に関連していることがわかりました。
今回の研究では、特定の性格特性（この場合、高い支配性と低い良心性の組み合わせ）を持つオスのチンパンジーが、他のチンパンジーよりも人生において良い結果を出す傾向があることを発見したのです。画像はパブリックドメインです
この結果は、チンパンジーの個性の多様性を説明する何かが必要であることを示唆している。環境条件や社会的条件によって、「最適な」性格が変わるのかもしれない。あるいは、オスにとって有益な特徴が、メスにとってはコスト高になるのかもしれない、とフェルドブラムは言う。
もしそうであれば、「そのような形質に関連する遺伝子は、集団の中で維持されるでしょう」とワイスは言う。
少し前までは、動物に個性があるなどということはタブー視されていた。ジェーン・グドール自身も、ゴンベのチンパンジーを「大胆」「恐怖心が強い」「愛情深い」「冷たい」と表現し、擬人化だと非難されたことがある。
それ以来、鳥からイカに至るまで、さまざまな生き物を研究する科学者たちが、動物の個性、つまり、時間や状況を超えてもある程度安定しているクセや特異性、世界との関わり方の証拠を発見しました。
ワイスは、動物の性格評価は、人間の性格と同じように、観察者ごとに一貫していることが証明されていると言います。
「データは懐疑的な見方を支持しない」とワイスは言う。
資金提供 この研究は、全米科学財団（#BCS-9021946、#BCS-0452315、#BCS-0648481、#BCS-9319909、#IIS-0431141、#IOS-1052693、#IOS-1457260、#EF-0905606、#DGE-1106401）の助成を受けて行われたもので、スコットランド大学に対するカーネギー信託、ジェーングドル研究所、米国連邦衛生研究所、米国国立衛生研究所からの資金も使用しました。 米国国立衛生研究所（R01-AI058715）、ハリス・スチール・グループ、エディンバラ大学、ミネソタ大学、デューク大学、英国アカデミー（PF20/100086）です。
この性格・心理学研究ニュースについて
著者 ユアン・ロッキー
出典 PeerJ
連絡先 Euan Lockie - PeerJ
画像はイメージです： 画像はパブリックドメインです
オリジナル研究です： オープンアクセスです。
"Personality traits, rank attainment, and siring success throughout the male chimpanzees of Gombe National Park" by Robin Ann Smith et al. PeerJ Life and Environment.
アブストラクト
ゴンベ国立公園の雄チンパンジーの生涯を通じた性格特性、階級達成度、および種付け成功率
多くの分類群における性格特性は、フィットネスと相関がある。これらの形質の変異がどのように維持されるかを説明するために、いくつかのモデルが開発されてきた。
あるモデルでは、変異が持続するのは、現在の適応的利益と将来の適応的利益の間のトレードオフに関連しているからであると提唱している。しかし、このモデルの予測は、長寿の種ではほとんど検証されていない。
このモデルを検証するために、我々はタンザニアのゴンベ国立公園に生息する雄のチンパンジーを調査した。6つの性格特性を19の項目で評価し、運用した。37年間にわたる行動と遺伝子のデータを用いて、(1)服従的な発声から生成される毎日の順位スコア、(2)雄の繁殖成功の記録、を収集した。
その結果、2つの性格特性である「優位性」と「良心性」と、順位や繁殖成功の関連性が、生涯を通じて変化するかどうかを検証した。
その結果、「支配性」が高く、「良心性」が低いほど、順位が高いことがわかったが、これらの関係の大きさや方向性は、ライフコースを通じて変化しなかった。
さらに、種付け時の順位とは無関係に、「優越性」が高く「良心的」が低いほど、種付け成功率が高いことがわかった。ここでも、これらの関係の大きさや方向性は、ライフコースによって変わることはなかった。したがって、トレードオフモデルは、長寿の種や繁殖の遅い種では成立しない可能性がある。
これらの結果は、格付けが動物の性格を測定する有効な方法であること、格付けが順位や繁殖成功に関係していることを示すものである。
したがって、これらの特性は、複数のチンパンジーコミュニティを対象とした研究において、性格の変異が環境の不均質性によって維持されるという仮定を含む代替モデルの検証に使用することができる。
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