サラリーマンは環境適応能力に長けた最強人種だ。
週一回、水曜日、朝の満員電車で通学する。
3コマ、合計4.5時間の授業を受けて、3時には家にかえる。
夜まで働く社会人に比べたら余裕のスケジュールだろう。
なのにわたしは、大学に行くだけなのに、満員電車に乗るだけで、1日の心と体のエネルギーを全部吸い取られてしまう。
生気がなくなる。
そんな満員電車のなかで、なんでもないすました顔をしてこれから会社に行くだろうスーツの面々をみて「彼らはこの電車に週に5日も乗ってるのか。強いな。」と思った。
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人類を含め、生物は、環境に適応することで生き残ってきた。
生き延びるのは、強いやつでもなく、賢いやつでもなく、環境に適応したものだ。
環境に適応するってことは、外界に合わせて自分を変えること。
それはつまり、欲望を制御することでもある。
生まれた時から、適応能力があるわけじゃない。
生まれたての赤ちゃんは、おしっこやうんちをしてお尻のぐちょぐちょが不快で泣くし、お腹が空いたら泣く。
我慢なんて知らない。自分の快だけを追求している。
成長するにつれて、徐々に外界に適応しないと生きていけないと学び、欲求をコントロールし始めるのである。
トイレでうんちをするとママが喜ぶ、とか。
授業中は静かに座っていた方が良さそうだ、とか。
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足を踏まれる、
汗をかいた他人の肌と触れ合う、
傘で服が濡れる満員電車、
あらゆるハラスメント、
会社での理不尽。
好きな人なんているんだろうか。
でも、そのような不快、不満、怒り、を抱えていると心身にストレスがかかるから、「そういうものなんだ。それが適応するべき環境なんだ」と、受け入れている。
つまり彼らは、
「外界に適応する能力が高い=生命力が高い」のではないかと思うのだ。
私は適応できなかった。
学校の規則には慣れず、反発しっぱなしだったし、満員電車も辛い。体調が悪くなる。
性格診断テストすれば、ストレス耐性が著しく脆弱って結果がでる。
だから彼らをすごいと思う。
満員電車で毎日通勤している彼らの、元々の適応能力は高いのだ。
でも、今の社会は変化の真っ只中で、なにが次の社会のルールなのかがまだ明確ではない。
だから彼らは、社会のルールチェンジがはっきりしたら、「もう、世の中のルールはこれまでとは違う」とわかったら、新しいルールに適応できるのではないだろうか?
社会が大きく変わり、働き方にも注目が集まる昨今、サラリーマン=勤め人って、言われたことしかできなくて、思考停止でってマイナスイメージで語られがちだ。
でも、近代の学校教育により、マニュアル通り、言われたことをやるように訓練されてたからそうなってるだけで、適応する力は十分に備わっている。
彼らが自分たちに適応するルールを変えたら、それに適応していけるはずだから、
「もしかしたら満員電車で通勤しているサラリーマンって最強の人種なのでは?!??!」と思いながら、電車を降りた。
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