「こちらが最新式のＡＴＭでございます」
「ＡＴＭってお金を引き出す機械じゃないの？」
「どちらも『Automatic Teller Machine』の略でございますが
　あちらは『現金自動預払機』と訳すもの。
　こちらは『自動語り部機械』とでも訳しましょうか。
　いわゆる物語を読み聞かせする機械でございます」
「『自動』とついているけど？」
「お客様が操作せずともその場の状況や感情などを判断して
　お好みのお話をセレクト致します」
「泣きたい時、笑いたい時など、こちらが言わなくても
　分かってくれるってこと？」
「さようでございます。
　しかも人型なので表情や仕草なども、ほらこの通り」
「へぇぇ、ところでどのような話があるの？」
「ネットに繋げれば様々なジャンルの物語がダウンロード出来ます」

何よ！すべて有料じゃない！しかもかなりの高額！
騙されたーっ！！

その時ＡＴＭが、おまけについてきた『グリム童話』の中から
セレクトした物語を語りだした。

(410文字)

＜あとがき＞
ところで、ＡＴＭって何の略？
から思いつきました。
グリム童話は本当は怖いってところから
ホラーにするって手もありましたけどね。