no1048

趣味は映画鑑賞・音楽鑑賞など色々ありますが、 一番の趣味は読書です。

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趣味は映画鑑賞・音楽鑑賞など色々ありますが、 一番の趣味は読書です。

マガジン

  • 『毎週ショートショートnote』投稿作品

    たらはかに(田原にか)さんの『毎週ショートショートnote』 https://note.com/tarahakani/n/n1ac47fd88166 に投稿した作品です。

  • 思ったことなぞ、書いてみようか

    エッセーなんてもんじゃなく、日記というわけでもなく ただ思ったことを残しておく場です。

  • noteの投稿企画に参加してみた

    noteの投稿企画に参加してみました。

  • まだあった 昔、書いた落書き

    昔、書いたものがもうちょっとあったので、『昔、書いた落書き』第2弾。 (『サヨナラ』が最後の作品です。)

  • 昔、書いた落書き

    2019年11月まで、mixi、Yahoo!ブログ、Bloggerなどに載せていた 小説や詩のようなもの掘り起こして載せています。 (『ガムテープ女』が最後の作品です。)

最近の記事

『春ギター』(毎週ショートショートnote)

今年は桜の咲き方がおかしいと テレビや新聞のニュースが連日伝えている。 何か悪いことの前兆だってネットのニュースが賑わっている。 しかし、その理由を俺は知っている。 それは春を告げる俺のギターが盗まれたことにある。 冬ギターの冷たい弦が緩み、やがて融けだす頃、 俺は新しい春ギターを手にする。 まずはスローなバラードから、やがて軽やかなメロディーへと。 若者たちがステップを踏んで踊りだす頃には 春ギターは役目を終えて風となり空へ舞い上がる。 俺の春ギターを誰かが弾いている。

    • 『オバケレインコート』(毎週ショートショートnote)

      オバケレインコートか、久しぶりに聞いたよ。 小学生の頃に住んでた町の商店街にあるレイングッズの店。 中を覗くと壁一面に色とりどりの傘が並び ショーウィンドーには母子のマネキンが お揃いの雨ガッパを着ていたっけ。 夜になると下りてくるシャッター一面に 大きなレインコートの絵が描かれてて 親父が言うにはそれを見た誰かが言い出したのがきっかけで オバケレインコートって呼ぶようになったらしけど 俺たちの頃にはペンキが剥げてボロボロになった絵を見て オバケレインコートって呼んでたよ。

      • 『錦鯉釣る雲』(毎週ショートショートnote)

        「珍しいね、錦鯉が釣りたいなんて。じゃあこっちの雲に乗って」 案内された雲は他のものよりもやや小ぶりで 私たちが乗り込むとすぐに他の雲とは違う方向に動き出した。 雲が風に乗ると船頭は、長い竿を器用に操っていた手を止めて 腰に下げた煙草入れから煙管を取り出し、 私たちに断ることなく火をつけてぷかりと煙を吐き出した。 「お客さん方、錦鯉を釣りたいんだってね」 「私たち夫婦が以前住んでいた家では 庭に掘った池で錦鯉を飼い可愛がっておりました。 それが突然こちらに来ることになってし

        • 『桜回線』(毎週ショートショートnote)

          「このメール誰からだろ?なんだか春の香りがする」 「今週のお題、桜回線だって」 「桜回線?追加お題はある?」 「えっとね、魅力的な台詞ではじまるお話、だってさ」 「難しいなぁ」 「でも、キミの物語って台詞から始まるの、けっこう多いじゃん」 「魅力的っていうのが難しいのよ」 「そこはほら、いい感じの言葉を適当に見繕ってだね」 「適当に、って簡単に言うけどね」 「いつものように、全部会話で済ませちゃったら?」 「あれって実は、物語が全然思い浮かばない時の苦肉の策なのよね」 「じ

        『春ギター』(毎週ショートショートnote)

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        • 『毎週ショートショートnote』投稿作品
          136本
        • 思ったことなぞ、書いてみようか
          7本
        • noteの投稿企画に参加してみた
          3本
        • まだあった 昔、書いた落書き
          58本
        • 昔、書いた落書き
          45本
        • 『セヴン・アイズ』(全5話)
          5本

        記事

          『三日月ファストパス』(毎週ショートショートnote)

          「ファストパス取れたよ」 帰宅途中のバスに揺られていると妹からLINEがきた。 今日のイベントには、私たちの推しメンが出演するため 帰りが早い妹に頼んだのだ。 「で、どっち?」 「もちろん三日月!」 イベントは2部構成となっていて、先に若手メンバー、 次にメインメンバーが出演することになっている。 グループ名にMOONが入っていることから 1部を三日月、2部を満月と呼んでいた。 私たちの推しメンは若手の〇〇くん。 感謝を伝えるスタンプを送ったその時、 バスが大きく揺れて急

          『三日月ファストパス』(毎週ショートショートnote)

          『お返し断捨離』(毎週ショートショートnote)

          「アナタ、先日のお返しって言う人が来てるんだけど」 「お返し?」 日曜の午後。 会社の同僚、いや同僚だった青木君がウチを訪ねてきた。 「これ、どうぞ」 そういって駅前の洋菓子店の包みを手渡す彼の顔は なんだか晴々としていたが どこか危うげでもあった。 「今日は、先日のお返しに参りました」 そう言うが早いか、ずかずかと上がり込んだ。 「おい、いったい何なんだ」 彼の様子がおかしい。 何かを見定めるようにきょろきょろと部屋を見回している。 私はお茶の用意をしている妻を奥の部屋に

          『お返し断捨離』(毎週ショートショートnote)

          『突然の猫ミーム』(毎週ショートショートnote)

          それは突然始まった。 202X年2月22日、この日を境にテレビ、ネット配信などの すべての映像が猫ミームとなった。 朝、テレビをつけるとお気に入りの女子アナのかわりに 猫が映っていた。 猫は「ニャウニャウニャウ!」と元気よく あいさつをかわしたかと思うと ぴょんぴょんと跳ねながら踊りだした。 バックには音楽が流れている。 ♪ハッピーハッピーハッピー すると、隣からふてぶてしい表情の太った猫が現れ 何と言っているのかは分からないが 踊っている猫を叱った。 踊っていた猫は急にお

          『突然の猫ミーム』(毎週ショートショートnote)

          『レトルト三角関係』(毎週ショートショートnote)

          「レトルト関係って知ってる?」 「なにそれ」 「レトルト食品って他人に作ってもらった料理だよね?」 「まぁ、そうだね」 「で、食べる時にはお湯で温めたりレンジでチンしたり ひと手間くわえるじゃない?」 「うん」 「他人にセッティングしてもらって、さらに最後に一押しして 実を結んだカップルがレトルト関係」 「だったら私もレトルト関係だよ」 「え?」 「私って奥手だから、いつもいいなって思っても 自分から諦めてたけど、それを見かねた友達が 合コンをセッティングしてくれてね」 「う

          『レトルト三角関係』(毎週ショートショートnote)

          『洞窟の奥はお子様ランチ(文字数調整前ver.)』(毎週ショートショートnote)

          先ほどから空腹を刺激する良い匂いがこの洞窟を満たしている。 それは奥に進むにしたがって濃くなっていくようだった。 もうどれくらい進んだのだろうか。 光が差し込まぬ洞窟を松明の明かりだけで進んでいるうちに 時間の感覚はとうに失われていた。 「私、おかしくなっちゃったのかな?」 唐突に後ろを歩く妻の声。 「さっきからいい匂いがしてるの。 ケチャップ、ハンバーグ、それにフライドポテト、、、」 俺の頭がおかしくなってしまったかと思っていたが そうでもないようだ。 それとも、夫婦でお

          『洞窟の奥はお子様ランチ(文字数調整前ver.)』(毎週ショートショートnote)

          『洞窟の奥はお子様ランチ』(毎週ショートショートnote)

          光が差し込まぬ洞窟を松明の明かりだけで進むうちに 時間の感覚はとうに失われていた。 「私、おかしくなっちゃったのかな?」 唐突に後ろを歩く妻の声。 「さっきからいい匂いがしてるの」 実は俺も先ほどから空腹を刺激する良い匂いを嗅いでいた。 俺の頭がおかしくなってしまったかと思っていたが そうでもないようだ。 それとも、夫婦でおかしくなっているのか? 「あ!」 突然、目の前に広い空間が現れた。 吹き抜けのような高い天井からは太陽の光が差し込んでいる。 足元に広がる地底湖の色に躊

          『洞窟の奥はお子様ランチ』(毎週ショートショートnote)

          『デジタルバレンタイン』(毎週ショートショートnote)

          私はヴァーチャルの世界で生きている。 交通事故に遭った私の体は損傷がひどく 脳の情報をデジタル化してアバターに引き継ぎ この世界で生きるしか道はなかったのだ。 私のように事故や病気でこの世界に来る人は結構いて 現実世界のようにひとつの社会を形成している。 現実世界で高校生だった私は この世界でも高校に通っている。 ここでの姿は現実世界の姿を取り込むことも出来るが 自分で選ぶことも出来る。 私のここでの姿は真っ白でふわふわのウサギ。 最近、クラスに転界生がやってきた。 現

          『デジタルバレンタイン』(毎週ショートショートnote)

          『行列のできるリモコン』(毎週ショートショートnote)

          「ついに買っちゃったよ、行列のできるリモコン」 登校するなり隣の席のノブオが見せてきたのは 一見、何の変哲もないリモコンだった。 「行列のできるリモコン?」 流行に疎い俺は、やたらハイテンションのノブオが リモコンひとつではしゃぐ理由が分からなかった。 「なんだよ知らないのかよ。いっかぁ見てろよ」 ノブオがリモコンを教室の隅に向け、ボタンを押すと 胸の奥の方がなんだかムズムズして そこに行きたくて仕方ない気持ちで一杯になり 気づけば足が向かっていた。 クラスのみんなも同じよ

          『行列のできるリモコン』(毎週ショートショートnote)

          『ツノがある東館』(毎週ショートショートnote)

          「東館に鬼のツノがあるらしいぞ」 あの日僕らは授業が終わった教室にいた。 「マジで?」 「・・・」 誰ひとり見に行こうなんて言い出せなかった 小学6年の夏の終わり。 あれから十数年。すっかり大人になった僕らは 懐かしいこの校舎でのクラス会で久しぶりに顔を合わせた。 各々の近況報告が終わり、当時の思い出話に花が咲いた。 「そういえば覚えてるか?」 「なにを?」 「東館に鬼のツノがあるって」 「今から行ってみようか」 東館は施錠されていなかった。 広い空間にキャビネットがずら

          『ツノがある東館』(毎週ショートショートnote)

          『ドローンの課長』(毎週ショートショートnote)

          テレビで見たドローンに目を奪われた私は 貯めた小遣いをつぎ込んでドローンを購入した。 小学校の校庭で飛ばすと 子供たちの目がキラキラと輝いた。 しかし大人たちは役場の福祉課長の私を蔑んだ目で 『ドローンの課長』と呼んだ。 そんなある日、山間の老人宅まで物資を届けるのに ドローンが導入されることとなり 私がオペレーターに選ばれた。 私が慣れた手つきでドローンを操作すると 周りの人達は手のひらを反すように 『ドローンの課長』と尊敬のまなざしを向け、 生活物資を運んだ老人たちから

          『ドローンの課長』(毎週ショートショートnote)

          『会員制の粉雪』(毎週ショートショートnote)

          久しぶりの家族旅行でスキー場に来ている。 ウインタースポーツが共通の趣味であり 旅行自体に異存はなかったが、 若い頃には友人たちと何度も来ているこの地を 私はずっと遠ざけてきた。 「パウダースノーを舞い上げて滑ってみたいんだよね」 何も知らない妻は子供たちの味方をした。 彼らがこのスキー場を選んだのは運命だろうか。 ゴンドラの終着駅まではあっという間だった。 ここからは吹きっさらしのリフトでさらに上を目指す。 胸ポケットに忍ばせたスキットルに手を伸ばす。 寒さ対策のウィスキ

          『会員制の粉雪』(毎週ショートショートnote)

          『逆光のみクジラ』(毎週ショートショートnote)

          いらっしゃいませ。 気になるものがございましたらお出ししますよ。 え? この写真ですか? これは、こちらのカメラで撮影したものです。 数年前にある写真家の遺族の方が持ち込まれたもので、 海の生物を撮られるとのことでしたので 念入りに確認させて頂きましたが 生前大切にお使いになられていたのでしょう。 サビひとつございませんでした。 ここ数年はカメラの売れ行きは芳しくなかったのですが 最近になってお客様もぼちぼち増えてまいりました。 中古をお探しのお客様も多く、このカメラも す

          『逆光のみクジラ』(毎週ショートショートnote)