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しあわせを買う日

明日から世間は夏休みだ。
体力が、電池で言えば3割弱、すぐにエネルギー切れになってしまうわたしは、特に予定は立てないし、どこにも行かない。
猫もいるのでそう簡単に旅行にはいけない。
休みだというのに気分が浮かない。

世間が「どこに行き何をするか」で浮き足立つ中、「どこにも行かない」「何もしない」自分は、なんとなく惨めなような気がしてしまう。

だからわたしは来週も働く。
働くことでどこにも行かない自分を正当化する。

でもやっぱりちょっと寂しいから、今日はしあわせを買った。
メゾンカイザーのパン。5つも。

大好きなパンオノワ(くるみのパン)
復活したキュルキュマ(iPhoneよ、勝手にキャラキャマなどと変換してくれるな)
いとしのさつまいもパン(いもはおいしい)
大好きピスタチオのパン(ナッツは美味しい)
気になる新作デーツとコーヒーのパン(どんな味やろ)

帰りの電車の中、ずっしりという表現にふさわしい重量級のパンたちを膝に抱えると、仄かだが確かにパンの、イースト菌の焼けた匂い(と勝手に呼んでいるが本当はどうだか知らない)が鼻に届いて、「よかったね」「おいしいよ」「しあわせだね」という気持ちをやさしく揺り起こしてくれる。

その微かだが確実なしあわせの香りは、電車を降りた後も、折々に鼻先をくすぐり、このしあわせが確かなものであることを教えてくれる。
些細で贅沢なしあわせを手に、わたしはこの連休を過ごすのである。

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