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次代に、美田を残す─CULTAの農業変革構想

このnoteを読んでいただき、ありがとうございます。
株式会社CULTA(カルタ)代表の野秋です。

本日、2024年元日放送予定であったNHKスペシャル「2024私たちの選択」にCULTAが出演しました。

番組では、日本に山積する課題である「働き方」「少子化」「イノベーション」などを、データに基づいて徹底討論。その最後に、CULTAは日本の希望として、ご紹介いただきました。

番組内で紹介された唯一のスタートアップです。その期待に答えるべく、今年も事業に全力を尽くします。

このnoteでは、限られた放送時間でお伝えできなかったCULTAの考える
日本農業のイノベーションの課題
日本農業への処方箋
について、ご説明します。

特にCULTAに対して
・参画を考える転職検討者
・協業を考える事業会社の担当者
の皆さんに読んでいただきたいです。

株式会社CULTA
東大発農業スタートアップ。強みは高速育種技術。通例10年以上かかる品種開発期間を、約2年に短縮できる。日本発・世界で通用する「プレミアム農作物ブランド」の創出へ。専門農協を設立し、世界中の農家と連帯する事業モデルを採用。品種開発から販売まで、農家の収益向上に資する「農業の垂直統合」を目指す。現在、アジアで独自イチゴ品種の現地生産を進める。

CULTA代表取締役 野秋収平
東京大学大学院農学生命科学研究科卒。修士(農学)。在学中に、タイの農業スタートアップ、東京都中央卸売市場、イチゴ農家での業務経験で、グローバル農業ビジネス、農業生産、流通を学び、(株)CULTAを学生起業。『Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023 (世界を変える30歳未満30人) SCIENCE & TECHNOLOGY & LOCAL部門』選出。1993年生まれ。静岡県沼津市出身。


先端技術だけで、農業は変わらない

NHKスペシャルで取り上げられた日本におけるイノベーションの課題。農業分野において、CULTAが考える最大の課題は先端技術の社会実装が、点の実装に限られていることです。

研究室発の先端技術が一旦、事業化はされる。しかし、そこからの広がりはない。結果、技術に秘められた可能性は社会的なインパクトに転化されず、衰退する農業という産業自体を変えるイノベーションが起こっていない。そんな課題意識を持っています。

必要なのは「線、面となる実装」ではないでしょうか。最初は小さな点でもそれを線に、やがて面にしていかなければ、農業は変わりません。

そこで、鍵になるのは「はじまりの構想」だと考えます。日本、世界の農業の在り方を変えようとする、大きく、確かな構想があってはじめて、先端技術は活かされるはずです。

そうした考えから、CULTAは自らを「農業先端技術の会社」ではなく「農業変革構想の会社」と定義しています。

CULTAは一見すると、農業先端技術の会社です。東大大学院・農学生命科学研究科発であり、「高速育種技術」という強みがあります。

10年以上かかることも珍しくない品種開発を、約2年に短縮できる先端技術です。より美味しい品種はもちろん、気候変動に適応した品種も開発可能です。

  • より高温多湿でも生産できる「耐暑性のあるイチゴ品種」

  • より土壌が酸性化しても生産できる「酸性土壌適応性のあるサツマイモ品種」

高速育種技術を活かして

  • 自社オリジナル品種の開発

  • 大手食品会社と、同社の主要原料農産物の気候変動適応に向けた共同研究

に取り組んでいます。

しかし、農業変革構想の会社であるCULTAにとって、先端技術は、描く構想を実装する「手段の一つ」に過ぎません。

CULTAは、農業にイノベーションを起こすべく、次の2つの構想を掲げています。

構想①「End-to-End Model(垂直統合モデル)」によるプレミアム農作物ブランドの創出


日本から世界で通用する「プレミアム農作物ブランド」を創る。そのためには、過去の苦い歴史に学ばなければいけません。
日本発で、世界に愛される「あまおう」「シャインマスカット」。しかし、優れた品種でも優れたブランドにはなりません。
丁寧に作られても、雑な大量生産でも、売り場では同じ「あまおう」「シャインマスカット」だからです。

真のブランドを創る鍵は「品種」「品質保証」
その2つに向き合うビジネスモデルこそが「End-to-End Model(垂直統合モデル)」です。
→詳しくは、下記のnoteをご覧ください。

構想②気候変動・社会変動に適応する「未来の適地適作」の実現

イチゴやサツマイモといった園芸作物の生産には
「適地適作」という原則があります。これまでは「その土地の気候にあった作物を作る」が常識でした。

しかし、激しい気候変動、社会変動が農業を襲いこれまでの当たり前が通用しない時代へと突入しています。この未来を大きく左右する大変動に向き合う構想が「未来の適地適作」です。

「未来の適地適作」とは市場ニーズ、地政学的リスクから最適な生産地を選び、最適な品種を開発し、最適な生産方法で作るという考えです。

その実現には世界中で役割分担をしていた食料生産をより狭い範囲で担う「分散型の生産/供給システム」への転換=近産近消を実現していく必要があります。その鍵も、もちろん「品種改良」にあります。

→詳しくは、下記のnoteをご覧ください。

今ある農・食文化を尊重するイノベーション

イノベーティブに思える「植物工場」。しかし、CULTAは中東のように植物工場でしか課題解決できない場合を除き、衰退する地域の農村を横目に、都市で植物工場を建てるようなことはしません。

なぜなら、CULTAは農業が積み重ねてきた農村と食の文化を尊重した上でイノベーションを起こしたいからです。

歴史ある産業には、独自の商習慣や巨大な組織があります。そうした既存産業と向き合う面倒さがスタートアップを「無視でのイノベーション」へと誘います。

しかし、長い時間をかけて培われてきた農業にまつわる文化無視せず、尊重したイノベーションでなければ農業は根本から変わらない。

そうと思うと同時に、そうでなければ、自分たちがやる意味がないと思っています。

農業、農村、農家。その積年の実践を無視せず、尊重するからこそ、点で実装された先端技術も線となり、やがて面になり農業という産業自体を更新できると考えます。

既存の農業には数多くの変数が存在します。

  • 品種

  • 生産方法

  • 流通方法

  • 販売方法

  • 収益分配方法

CULTAは、それらを対象に

  • 先端技術

  • ビジネス・ファイナンススキーム

  • 生産者マネジメント

  • マーケティング

等をプロたちと連携し、スタートアップらしく大胆に導入します。

その導入のあり方を昇華したのが

  • 「真のプレミアム農作物ブランド」の創出

  • 「End-to-End Model(垂直統合モデル)」の確立

  • 「未来の適地適作」の実現

の3つの構想でもあります。

大きな構想と愚直な実践で今ある変数を動かし、時代の変化をとらえる。それが、CULTA流の農業変革です。

日本中、世界中の意欲ある農家と手を取り合いながら既存産業に向き合った創意工夫で、食と農に関わる全ての景色を変えることに、挑戦します。

次代に、美田を残す


「そのイノベーションで、先の世代に美田を残せるか」

CULTAの意思決定基準は、この言葉に集約されます。

農業とは、過去からずっと農村にある美田を託されてきた産業。単なる経済活動ではなく、歴史と文化を引き継いできた営みです。

例えば、CULTAが強みとする「交配育種による品種改良技術」。親がいなけば、子はいない。革新の前提に、連続性のある技術です。

思えば、CULTAの挑戦の基盤になるものは、先人から託されたものばかりです。

  • イチゴ、サツマイモに代表される園芸作物の「日本の豊かな遺伝資源」

  • 生産現場、実業、政策との間で育まれた「農学」

日本の食と農に関わる全てを託された。そんな想いで、仲間と事業を進めています。

次代に、美田を残す。そのために、自分たちの世代の日本、そして、世界の力を結集していきます。

CULTAで一緒に挑戦しませんか?


CULTAでは現在
・メイン事業「イチゴ生産・販売」を国内外で加速する
だけでなく、将来のさらなる成長に向けた
・大手、中小企業とのアライアンス案件
・研究機関との共同研究案件
を多数抱えています。

【例】
・CULTA品種のイチゴを生産したい東南アジアカフェチェーンとの連携
・日本国内事業会社との新・農業生産事業の立ち上げプロジェクト(多数)
チャイナリスク回避に向けた東南アジアでのサツマイモ生産実証
気候変動適応に向けた食品原料品種の共同開発

農業・農学バックグラウンドがなくとも、担えるポジションも多数あります
・農と食に関心があり、何かしたい
・東南アジア、世界で日本の価値を広めたい
・日本の技術力で、世界の農業を良くしたい
そんな想いがあれば、どなたでも活躍できるフィールドがあります。

「まずは話を聞いてみたい」といった方には、カジュアル面談も受け付けています。
オープンポジションのページからお気軽にご応募ください。
CULTAの現在の採用情報は以下の通りです。
(2024年1月4日時点)


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