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投資先として不適切なものとその理由

貴金属、為替、仮想通貨、債券、先物、不動産は投資に値しないって書いた。

理由を書いておこう。

貴金属

山崎元さんは、貴金属を「働かない美人の奥さん」に喩えていた。保有した貴金属自体が増える性質は無く、相場が動くだけのゼロサムゲーム(賭場で飛び交うお金の総量に変化無し)だから。ロシアのウクライナ侵攻前後から金の価格が高騰しているのは、経済制裁に対抗する目的でロシアが金を買い集めているから、と言われている。
金は保管手数料が高く、現物で持つと売却益は雑所得となり損益通算できない点も注意が必要。相続等での税制面も含めて、他の資産より有利なことは何も無い。

為替

典型的なゼロサムゲームだし、利幅が小さいから信用取引(借金してのギャンブル)に誘導されがち。シンプルな丁半博打として遊ぶのは止めないが、利益を得た人の数だけ損した人がいる、勝率五分五分の世界だ。

暗号資産(仮想通貨)

国家の後ろ盾が無いので、賭場でポーカーのチップ取引をしているようなもの。国家の後ろ盾が無いだけでなく、国が潰しにかかる可能性さえある。その一環なのか、相続では仮想通貨は高額な税率となるらしい。また、市場参加者が株式と比較して少ないので、乱高下しやすい。為替と同様、ゼロサムゲームだ。

債券

債券は利回りが約束されている。債券を買うというのは、金を貸すようなものだ。利回りが保証されているので株よりリスクが低いと言われているが、債券市場は株式市場ほどオープンではなく、条件の良い債券は機関投資家が瞬時に買い占める。つまり、個人投資家が売買できる債券は出涸らし。
GPIFが国内株、国内債券、海外株、海外債券の4種に均等額を投資しているからといって、個人が真似をしなければならない義理は無い。ふた昔くらい前は債券価格と株価の逆相関なんて話もあったが、言うほどその法則が当てはまるわけでもない。

先物

コロナ禍で原油先物相場がマイナスになった時は参入した個人投資家も多いだろう。このような明らかなミスプライスなら参入しても高確率で利益を得られるかもしれない。ただ、これも貴金属と同じで原油やコーヒーがそれ自体で利益を生み出すわけではない。ゼロサムゲームなので利益を得る確率も五分五分。

不動産

債券と同様に、条件の良い物件は不動産取扱い業者が買い占めるので、個人投資家が買う機会がある物件は出涸らしだ。都心の新築マンションを出涸らしとは呼びたくないが、広告宣伝費やモデルルームの設置・管理・解体、手厚く内見で説明してくれる感じの良い担当者や融資相談する銀行員の人件費、臨時のキッズルームや子ども向けのおみやげ、成約特典のオプション家具、これらの経費が全部物件価格に組み込まれている。継続的な収益が見込めるオフィスや商業ビルではなく、マンションとして売り出す理由がある地価や諸条件であることも考えなければならない。今後も資産価値が下がらないことが見込める好条件の物件は、投資価格も跳ね上がる。
比較的低金利で返済期間も長いレバレッジをかけることができる点は為替や先物より優れている。時間が経つほど建物の価値が確実に下がることを考えるとマイナスサムゲーム。ぼんやりしてると、ローン支払いと家賃収入が均等で固定資産税分は持ち出しになりかねない。

不動産投資がうまくいく例外1は、投資家自身が内装や大家業を手掛ける場合。一般的な賃貸物件では3%程度を大家代行の管理会社に払うので、その大家業を自分で行えば収益は増える。
不動産投資がうまくいく例外2は、ボロアパートを一棟買いして、備品として電動自転車を付加したり、原状回復不要でDIYし放題という条件にするなど、業者ではできない安価な仕入れとユニークなサービス提供をすること。賃貸物件のニーズを的確に把握して独自の工夫をする起業家マインドがある人向け。
不動産投資がうまくいく例外3は、不動産関連業に勤務の投資家が、広告される前の好条件の物件を購入すること。不動産投資に興味がある人は宅建に合格して不動産会社に勤務するのが収益化への近道だ。投資をしないとしても、多数の不動産を見て相場感や売買理由を知ることは、自分や家族・友人の住まい選びにとても役立つだろう。

宝くじ パチンコ 競馬 競艇 オートレース

サラリーマン投資家の知人にも、継続して宝くじを買ったり、パチプロを目指す人がいる。経済合理性は全く無いが、お金をどう使おうと個人の自由だ。
詳しくは期待値について調べてほしいのだが、これらは全部マイナスサムゲームで、胴元が一番儲かる(だから私的な賭博罪でしょっぴかれる人が後を絶たない)。
特に宝くじは最悪だ。当選を均等にしても100円買ったら50円しか戻ってこない。買わなきゃ当たらないけれど、当たる確率は散歩中にカミナリに打たれて死亡レベルのレアさ。宝くじが好きな人は、これまでの購入金額と当選して得た金額を合計してみよう。購入金額の2割くらいしか取り戻せていないのではないだろうか? 失った8割で何が買えたか、よく考えてみてほしい。
結果が出るまでの期待や高揚感を買う、と割り切って趣味の範囲に留めるべきだ。

上場株式が一番良い

株式は企業活動の利益を一部受ける権利だ。「経済成長」と大きく括るから「日本は終わってる」みたいな話になるが、トヨタやキーエンスの経常利益推移などを見れば、優良日本企業が全世界を相手に商売して、利益を拡大させていることが理解できるだろう。顕著な成長をせずとも、従業員に給与をきちんと払い、株主への配当金も出せているしっかりした会社は山のようにある。投資をして、企業活動が利益として戻ってくるまでのタイムラグはある。ただ、その結果は概ねプラスであることが期待できる。プラスにならなかったら会社が潰れちゃうから経営者も従業員も真面目に働いている。
また、そのうち税制が変わるかもしれないが、今のところ、株を持っているだけなら税金は取られない。そこが不動産との大きな違いだし、株が有利な点の一つだ。
潰れないで成長しそうで割安な企業を探すのが手間だが、現在はインデックス株式投資信託という、株価指数に採用された何百もの会社に分散できて、しかも100円や千円から投資スタートできる個人投資家向けの優れたサービスがある。他の投資と同様に元本割れリスクはあるが、じっと持っていれば利益を得られる確率は他のどの投資先よりも高い。
全世界株投資が推奨されるのは、分散範囲が全世界に及んでいるからだ。アメリカ株メインで、日本国内にいるからTOPIXもちょっと追加したいし、インドもこれからくる可能性があるな・・・と迷う必要はない。全世界に全て含まれている。

と言いながら、私のリスク資産の7割は国内個別株だ。インデックスに勝とうなんて野望は無く、ただただ国内株が好きなだけ。保有銘柄は「うちの子」扱い。最近は特に理由もなく、キッコーマンさんをお迎えしてみた。大きくな〜れ。

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