見出し画像

母の病名が分かったことと、救急・緊急処置に関する意思確認書の重み

数日前に転倒した母の診断結果は「分離すべり症」

腰椎は第1腰椎から第5腰椎まであり、正面から見ても横から見てもきれいに並んでいます。通常は簡単にずれたりしないようになっていますが、椎間関節 と呼ばれる背骨の関節が壊れてしまったり、椎間板の異常などによって骨がずれてしまうことがあります。これをすべり症と言います。
すべり症には、骨が後ろ側へずれてしまう”後方すべり”と、前にずれてしまう”前方すべり”がありますが、ほとんどは前方すべりです。その原因によって、形成不全性けいせいふぜんせいすべり症、分離すべり症、変性へんせいすべり症、と大きく3つのタイプに分けられます。

3つのタイプのうち母は分離すべり症。

分離症は、椎弓の一部である上下の関節突起のちょうど間の部分が割れてしまい、連続性が絶たれ て、椎弓と椎体、つまり背骨の後ろの部分と前の部分が離れ離れになった状態です。これにより、椎体がすべってしまうのが分離すべり症です。

第5腰椎に多いのが特徴と言われているが、母は3と4の間と話していた。昨日と同じ病院へ行き、当初救急の医師はMRIの結果を見て椎間板ヘルニアではないか?とのことで、入院も視野に入れているとのことだったが、整形外科の医師の診断では分離すべり症とのことで、この場合入院の必要はなく痛み止めを飲んみコルセットをして安静にしておいてほしいとのことだった。来週は腰の専門医がいるとのことなので、そこで再度診断してもらうことになった。

帰り際、昨日のありえない一言について謝罪をしてくれた看護師の方と事務の方にお会いできて、母と一緒にお礼の言葉を伝えた。言われたときに寂しかったと自分の気持ちを看護師さんに話している母の姿を見て、そういうのを口に出せる機会があったのはほんとよかったなと思った。昨日の会議で病院内に周知されたことなどを教えてくれた。

MRIに入る前に点滴にやや強めの痛み止めを入れたこともあり、帰り際まで強い痛みを訴えることなく(痛み止めのせいで気持ちが悪い等はあったけど)無事に家に着いた。

一時は数日間の入院で話は進んでいたため、待っている間全く落ち着かなかった。特に、代理で記載する書類の中に「救急・緊急処置に関する意思確認書」を渡されたときに一番の不安を覚えた。入院の際万が一容態が急変した際、治療に対しての意向の確認書だ。

画像1

このときまで、私の意思はCだった。でも、可能性があるのに治療しないのを選ぶことが本当に正しいのか?などしばらく選択することができずに何度も読んでいるうちに、Bの回復する可能性を「医師が判断」を考えてみたら、医師という人は、生きる可能性を一番に模索するのではないかと考えたら、AとBはさほど変わらないように思えた。

Cだ。丸をしようと思ったとき、写真家の幡野広志さんを思い出した。ちょっとまて、なんでこの処置の意向確認書を私が真っ先に書く必要があるのだ、大切なのは患者、母の意向だ。看護師の人に、母に聞いてから書きたいと告げて処置室に入れてもらった。簡単にこの書類の説明をしたら迷わずCを指差した。説明しているときや母がCを選んだとき、涙が溢れそうだった。そんな私の顔を心配そうに見ていた母の顔を見たらさらに溢れかえりそうで、丸をつけるためにボールペンを探しに母から離れた。泣いている姿を見せるわけにいかないと、しばらく外に出て落ち着いてから処置室に戻ってもやっぱり心配そうな顔をしていた。兄がまだ生きているとき、入院している病院へ行ったときや電話で話しているときに時々泣いてしまうことがあったのだけれど、その話を兄は母にしていたそうで、あいつすぐ泣くんだよと。今日母の前で泣きそうになっているときにそんなことをふと思い出した。

常日頃にどんな状況でも当事者の意思を尊重し、尊厳を守る側にいたいと思っている。でも、いざ母の生死に関わる意向に直面したらその決定が正しいのか全く分からなかった。延命しないと決めた母の意向により、死ということが鮮明になり、止めるのが困難の涙が押し寄せ、その状況に耐えるのが困難だった。この涙を悲しみ・寂しさ・辛さ、と表現することは簡単だけれども、意識を確認する前に訪れる生理現象故の涙にどれも適切に選べない。そういった耐え難い衝動から無意識に逃れるために、死を感じさせないAを選ぶのかも知れない。この紙を見るまで、Aの選択肢は全くのゼロだったのに、一瞬でも議題にAを挙げた変化についてこれから考えていきたい。

結果的に入院せず、救急・緊急処置に関する意思確認書は白紙となり死から遠ざかったとはいえ、痛み・気持ち悪さの容態は続いているので当面は転ばない、を最優先事項で生活をしていこうと思う。

ひとまず、家に母が戻ってこれてよかった。病院では絶対眠れないだろうから入院したくないと母は思っていて、私は一緒に住みはじめて2年の間、夜1人で過ごすことをまだ一度も経験していないから心細いなぁと寂しく思っていたけど免れた。1人暮らしを20年ぐらいしていて、1人で暮らすのが寂しいなんて一度も思ったことなかったのに、今ではもう無理かもとたまに思う。

最後まで読んでいただきありがとうございます。頂いたサポートをどのように活用できるかまだわからないです・・・。決まるまで置いておこうと思います。