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エッセイ

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過去の記憶です。
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記事一覧

音の攻撃ミソフォニア

「長男さんのことでお話がありまして…。」 長男のアパートの管理会社から電話がかかった。 …

ひがぽん
2年前
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「リフレッシュ」でリフレッシュ

離婚後、しばらく実家で、母と2人の息子と4人で暮らしていた。 経済的には実家にいれば楽だ…

ひがぽん
2年前
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逃げた父親

父の通夜の日。 訪れたSさんが思い出話をしてくれた。 建設会社を営むSさん。 大きな体に日…

ひがぽん
2年前
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幸せのカルピス

今まで飲んだ中で1番おいしいと思った飲み物。 それは、カルピス。 53年の人生の間に、 …

ひがぽん
2年前
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遅かったお弁当

「癌だね。」 エコーの画像を見ながら先生が言う。 えっ? 「先生、もっと詳しく調べないと…

ひがぽん
2年前
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自分で拭けない涙

ほんのしばらくの間だが、障害者施設に勤めていたことがある。 そこにAさんという男性が入所…

ひがぽん
2年前
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記憶から消えた子ども

20歳くらいの時。 友達から1人の男の子を紹介された。 同い年の子だった。 何度か会った。 少し慣れてきたのか、 何度目かに会った時、 男の子は自分のことを話してくれた。 「俺、兄貴が死んでるんや。」 「え…。」 思いがけない言葉。  ビックリした。 「交通事故で。」 「あぁ…。」 なんて言えばいいのか… 「母ちゃんが…。」 「うん…。」 「母ちゃん、俺のこと兄貴の名前で呼ぶんや。」 え? 「母ちゃん、兄貴が死んだの認められんみたい。俺のこ

遺体が握りしめていたもの

お寺の霊苑に勤めてた時の話。 小さな子どもさんを連れたご夫婦が、お墓を買いに来た。 50…

ひがぽん
2年前
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真夜中の泣き声

離婚後、 地元から50kmほど離れた金沢に引っ越した。 15歳と13歳の息子2人と私の3人…

ひがぽん
2年前
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弾丸でつぶれた夢

まだ息子たちを抱っこしたりおんぶしたりしてた頃。 腱鞘炎になり接骨院に行った。 幼い頃に…

ひがぽん
2年前
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生活保護の相談

生活保護の相談に行った。 その時受けようと思ったわけではない。 障がいのある息子2人と私…

ひがぽん
2年前
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お骨を持ち歩く女性

寺墓地に勤めていたことがある。 墓地の掃除をしたり、 草むしりをしたり、 お墓を売ったり…

ひがぽん
2年前
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あのとき私が寝ていたら

あれはいつ頃だったかな。 小学生だった。 朝、いつもより早く目が覚めて、 私はご飯を食べ…

ひがぽん
2年前
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匿名の電話

高校1年の途中からバイトするようになった。 中学までは、どんなに家に帰りたくなくても、帰るしかなかった。 バイトで自分のお金が手に入るようになると、 帰らないという選択肢もとれるようになった。 とにかくいろんなバイトをした。 当時としては画期的だった回転寿司でのバイト。 パン屋さん、本屋さん、作業着の店でひたすら軍手を作ったり、 喫茶店のウェイトレス、旅館の掃除、配膳… 学校が終わってからの時間も、土日も、夏休みも、 とにかくバイトをしていた。 高校3年生