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読書について(2):読書術

前回、1か月ほど前に書いた読書論の続きです。
今回はそれぞれのジャンルで活躍された(されている)方の読書術について紹介します。

文芸評論家

まず始めに、私が学生時代に読んだ文芸評論家 小林秀雄氏の講演や書評をまとめた「考えるヒント」です。
随筆風のエッセイとともに、プラトンの「国家」や「平家物語」「プルターク英雄伝」などの書評が載っています。

小林秀雄氏の文書は難解だと良く言われていますが、授業や受験勉強の傍らで「モーツアルト」や「人間の建設」「本居宣長」などを読んでいました。当時は国語の読解力の勉強にもなっていたと思います。
ちなみに、私は初版の単行本を持っているのですが、本のタイトルは
「考へるヒント」になっています (^.^)

ノンフィクション作家

次に紹介するのは「知の巨人」と言われ、今年(2021年)4月に惜しくも亡くなられたノンフィクション作家 立花隆さんの読書術です。

書籍化されたテーマも、政治、環境問題、宇宙、経済、哲学、臨死体験と本当に多岐に渡っています。
この書籍には彼の読書歴や読書法が書かれていますが、ご自身の事務所「猫ビル」にぎっしりと詰め込まれた蔵書や資料の山に埋もれている姿がテレビ取材やYoutubeで公開されています、立花氏の数多くの著作ひとつ一つがこのような徹底した取材や膨大な情報収集の上に成り立っていたことに本当に圧倒されます。


コンサルタント

コンサルタント・著作家として活躍されている三谷宏治さんの読書術が
「戦略読書」です。

戦略読書

BCG出身らしく、ビジネス系と非ビジネス系、基礎と応用・新奇の4象限のポートフォリオ・マトリクスで読む本の種類や読書法をセグメント化し、さらに学生時代、新入社員から入社5年目へとどうバランスを変えていくかについて戦略的な読書法が展開されています。

非ビジネス系では歴史書や哲学・科学だけでなく、SFやマンガも取り上げられています。世代が近しいためか、読んでいる本やジャンルも被るところが多々あります。
私も最近「三体」シリーズを読破しましたし、スマフォアプリに入れたマンガアプリで途中まで読んだままにしていた「ヒストリエ」を読んだりしています。

学生

最後に学生代表として、歴代東大合格者ゼロの無名校のビリ(元偏差値35)から受験を決意し、2浪の末、東大合格を果たした西岡壱誠さんの「東大思考」に次ぐ、「東大読書」です。

東大読書

出版社のPRにおいて、以下のように本書の考え方が紹介されています。

東大生の読書は、『へえ、なるほど、そうなのか』では終わらせず、『えっそれはなんでなんだろう』『それって本当かな?』と『能動的に』読書をします。とことん本と『議論』する読み方をしているのです」
東大生はなぜ自然に「能動的な読書」ができているのか?
それは「地頭力」と「読み込む力」があるから。本書では、この2つの力を支える「読解力」「論理的思考力」「要約力」「客観的思考力」「応用力」を鍛えられます。

西岡さんは最近、放映され話題になった「ドラゴン桜2」の編集も手伝われたようですね。

「地頭力」とか「論理的思考力」とかは、以前はコンサルタントの専売特許のようなイメージがありましたが、受験勉強で苦労した学生にとっても、難関校では単なる暗記や受験テクニックだけでは合格できず、こういった読解力や論理思考が必要になってきたこと。そして、自らもフレームワークで考えるようになったことはたいへん興味深いです。日本の高等教育も捨てたもんじゃありませんね。

一方で、「東ロボくん」プロジェクトで有名な新井紀子教授がいまの子供たちの読解力の低さについて問題提議をしています。

どんどん進化するAIに人間が勝つためには「読解力」を磨くしかないのであれば、どんな読み方をするにせよ、多読でも精読でも、これからも人間にとって読書が重要であることに変わりはないでしょう。

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