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某大手企業にてグループ経営の一角を担う。 経営論と実践上の課題、守りと攻め、情報システ…

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某大手企業にてグループ経営の一角を担う。 経営論と実践上の課題、守りと攻め、情報システムの役割などと日々葛藤しながら、良い会社・良い組織づくりを目指しています。 趣味は読書、音楽(クラシックとジャズ)

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戦略参謀(2):経営立て直し物語

昔から「参謀」が力は発揮するのは「平時より有事」 兵力や軍備が足りずに圧倒的に不利な状況、それこそ四面楚歌の状況から、どのような戦略を立て、実戦において勝機を見出していくかに、名参謀としての評価が問われます。 企業における「戦略参謀」の真価も、やはり経営不振の企業や成長力の落ちた企業をどう立て直していくかにあると思います。 ミスミグループ名誉会長 三枝 匡 さんこの分野の第一人者と言えば、真っ先に三枝匡さんが上げられるでしょう。 BCGやベンチャーキャピタルをご経験後、1

    • 経営実務のための会計(9):日本企業の実態とこれから

      これまで、企業実務家の立場から各種経営管理/管理会計制度について、感じたこと・考えたことをつらつらと書いてきましたが、今回は実際の日本企業への導入実態や新しい考え方についてご紹介したいと思います。 日本企業における管理会計導入の実態幸運にも少し前に、日本大学商学部 川野 克典教授の講話を直接、お聞きする機会がありました。 「日本企業の管理会計・原価計算は今なお停滞が続いている」そして、経理部門の「いまだに財務会計を優位性に置く考え方に問題がある」「いまこそ経理・財務部門の

      • ESG経営(6):マテリアリティ設定からの指標化

        マテリアリティとはマテリアリティとは、もともとは財務報告で使われた言葉だったようですが、いまは企業が優先して取り組んでいく重要課題を意味します。 SDGsやESG経営において、会社の方向感を揃え、ステークホルダーや広く社会にも「これがわが社の重要課題です」と宣言することが求められるようになりました。 一方で、SDGsの17のゴールすべてを一企業が網羅することは非現実的なため、自社の事業と親和性の高いマテリアリティをどう設定するかが重要です。 ESG(財務・非財務)指標こう

        • ESG経営(5):コーポレートガバナンスと社外取締役制度について

          ESGの3つめとして現代企業、とりわけ上場企業にはガバナンスの重要性が問われています。 ここでまた、朝日新聞社 SDGs Action!のWeb記事を参照してみると コーポレートガバナンス・コードそして、2015年に金融庁と東京証券取引所共同で上場企業に求められるコーポレートガバナンスについて、より具体的なルールや指針「コーポレートガバナンス・コード」が公表・制定されました。 コーポレートガバナンス・コードはプリンシプルベース・アプローチ(原則主義)とコンプライ・オア・

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          ESG経営(4):人的資本経営(Social)

          人的資本経営ESG経営のうち、Socialは雇用環境やダイバーシティの推進以外にも 地域社会への貢献など、広く社会課題を対象としたものですが、 近年、特に注目されているのは「人材」を企業における重要な資産と捉え、積極的な人材投資を通じて、最大限の能力を発揮してもらおうという考え方「人材資本経営」です。 人材版伊藤レポート人的資本経営が注目されるようになったのは、2020年9月に経済産業省から発表された「人材版伊藤レポート」によるところが大きいと思われます。  (2022年

          ESG経営(4):人的資本経営(Social)

          ESG経営(3):投資家との対話

          伊藤レポート日本企業、特に上場企業の経営力強化や情報開示のガイドラインとなっているのが、経済産業書の「企業価値創造に関する研究会」から出されている 報告書 通称、伊藤レポートです。 2014年公表時には企業と投資家の望ましい関係を構築すべく、資本効率を意識した経営 ROE8%以上を目指すべきと提言しました。 以降、安定株主や株主持ち合いにより低収益・低資本効率に留まっていた日本企業各社がグローバル企業との競争や海外投資家を意識し、収益力向上を目指してきた(している)ことは

          ESG経営(3):投資家との対話

          ESG経営(2):グリーンウォッシュ、ウォーク資本主義

          今回はESG経営の陰の部分、識者から批判を受けている点について、 E(Environment:環境問題)を中心にまとめてみたいと思います。 グリーンウォッシュまず、環境面においては「グリーンウォッシュ」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。これは意図的に消費者の誤解を招く表現を用いて「この商品やサービスは環境に良い」と思わせる企業行動です。 ただ、中には考慮不足・調査不足により、企業側は環境にやさしいと考えていたのに、外部調達や生産過程、廃棄・回収まで広く見直すと

          ESG経営(2):グリーンウォッシュ、ウォーク資本主義

          ESG経営(1):概論

          ダボス会議今年(2024年)のダボス会議が無事、終幕したというニュースが出ていました。今回は紛争の続く世界情勢を反映して「信頼の再構築」が全体テーマとのことですが、過去のダボス会議では環境問題やジェンダー問題を取り上げ、世界のリーダーたちによって議論されてきました。 そこで今回からは世界の潮流になっているESG経営について、私の考えも交えてまとめてみたいと思います。 ステークホルダー資本主義毎年1月にダボスで開催される世界経済フォーラム(World Economic Fo

          ESG経営(1):概論

          戦略と組織、システムの整合性

          少し前に献本頂いた本が企業経営における戦略と組織、管理システムについて包括的な考察がなされていたので、紹介したいと思います。 Re:Align本のタイトルは 「リアライン」 副題:ディスラプションを超える戦略と組織の再構築 です。 著者はオックスフォード大学ビジネススクールで教鞭をとる ジョナサン・トレバー准教授。 翻訳は大手IT企業のリサーチファーム・コンサルタントとなっています。 本書では、企業の戦略・ビジネスモデルを「戦略的アラインフレームワーク(SAF:Stra

          戦略と組織、システムの整合性

          R.I.P. Ryuichi Sakamoto

          坂本 龍一さんが今年3月28日に享年71歳で惜しくも亡くなられて、はや半年。今回は経営のお話ではなく、私の趣味の音楽・読書を通じた坂本氏の足跡と印象を少し振り返ってみたいと思います。 晩年(最近10年間)の活動2014年に咽頭癌であることを発表されてから、回復と転移、療養を繰り返しながらも、数多くの映画音楽やCDアルバムの発売、東北大震災の復興支援、神宮外苑の樹木保護など様々な活動を続けて来られました。 その活動の中で、どんなことを思い・考えていたのか、前作(2009年)

          R.I.P. Ryuichi Sakamoto

          組織開発(4):いい会社

          2年ほど前に「組織開発」をテーマに3回ほど経営学における歴史や社内活性化手法に関する話を書きましたが、今回は就活生や転職者、そして実際に働く社員から見た「いい会社」について書いてみたいと思います。 今年も新卒学生の就活がそろそろ終盤に入っていますが、親世代からすると子供には以下の雑誌に毎年、載っているような「比較的名前の通った優良企業」で「安定的で成長性もある企業」が「いい会社」のランキング上位に入ってくるかと思います。 口コミサイト Openwork(旧Vorkers)

          組織開発(4):いい会社

          経営戦略総論(15):仕組み化と行動KPI

          前回のnote 経営戦略総論(14): 「数字で語る」PIMSからKPI、非財務情報開示の中で と書きましたが、今回はキーエンス関連の書籍や記事からの私の所感となります。 キーエンスのすごさ企業戦略事例として最近、ベストセラーとなっている「キーエンス解剖」を読んでみました。 社員の平均年収が2000万円を超える高収益企業として有名なキーエンスですが、そのメカニズムは徹底した「仕組み化・ルール化」「数値管理・行動KPI」にあることがわかりました。 普通の会社ではここまで

          経営戦略総論(15):仕組み化と行動KPI

          経営戦略総論(14):「数字で語る」PIMSからKPI、非財務情報開示

          最近のビジネス書や経営に関する書籍を見ていると、そう数多く共通点を調べた訳ではない事例や話題性のあるトピックをうまく整理して、そこから得られた知見らしきものを箇条書きにしただけなのでは? と感じてしまうことが良く見受けられます。 今の時代、この程度の内容だったら、著者がたまたま経験していたり聞きかじった事象より、ChatGPTに聞けば、もっと広範な事例やWeb記事からバイアスのない確率論的な答えが簡潔に導かれるんじゃないか? と思ってしまいます。 これからはますます、過去

          経営戦略総論(14):「数字で語る」PIMSからKPI、非財務情報開示

          経営戦略総論(13):巨大企業の躓き(中国の事例)

          前回の経営戦略総論(11)巨大企業の躓き(日本の事例)、前々回 (12)米国事例に続いて、今回は(中国の事例)です。 なかなか大手企業の実態や情報が入手しづらい中国企業ですが、最近は中国版GAFA「BAT」もしくは「BATH」(Baidu/百度、Alibaba/阿里巴巴、Tencent/騰訊、HUAWEI/華為)を中心に多くの記事や書籍が出ていますので、それらを中心に中国巨大企業の躓きについて、考察してみたいと思います。 アリババの迷走2020年11月にアリババの金融子会社

          経営戦略総論(13):巨大企業の躓き(中国の事例)

          人事・人材マネジメント(6):ジョブ型人事制度 ~日本企業への導入~

          人事・人材マネジメントについては、2年前に5回ほど書いていますが、それ以来となります。 この時も日本型のメンバーシップ型人事と欧米型のジョブ型人事の違いは単に処遇だけの問題ではないため、「メンバーシップ型は古い、これからはジョブ型人事」と言った単純な議論に終始しないことが「実務家には大切」と書きました。 その後、ここ2~3年で実際に伝統的な日本企業へのジョブ型人事導入の事例やコンサルタントによる導入上の工夫点が紹介されてきました。 今回はそこからの得たポイント(論点)を書い

          人事・人材マネジメント(6):ジョブ型人事制度 ~日本企業への導入~

          経営戦略総論(12):巨大企業の躓き(日本の事例)

          日本大手企業の躓き日本でこれまで名門と言われてきた大手企業で、ここ10年近く、元気がないと言うか、事業運営に苦労している姿がたびたび雑誌で特集されている。 主な企業で言えば、東芝、パナソニック、三菱重工が当てはまるだろう。 3社とも売上高1兆円を超え、社員数10万人前後の巨大企業だ。これらの巨大名門企業が低迷していることから見出される共通点は何か? 少なくとも前回、米国の事例で紹介したような経営陣の株価至上主義が原因には無っていないようだ。 どの企業も多くの事業領域、製

          経営戦略総論(12):巨大企業の躓き(日本の事例)