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”CORST”β版リリースについて

 このたび、弊社(テンキューブ株式会社)では、”CORST”というサービスをβ版としてリリースしました。

このサービスは、一言いうと

 「非上場株式の管理・取引を丸ごとDX化するもの」

になります。おお、ずいぶんと大きく出たな!(笑)と思われるかもしれませんが、開発の経緯と今時点での今後の見通しなどをメモしておきます。もちろん、読んで「ふーん」でも構いませんが、ちょっとでもご興味あられましたらβ版も触っていただき、忌憚ないけど生産的なツッコミなどを頂戴できましたら大変嬉しいです(→ n.ito@ten-cube.com までお名前・所属などとともに「β版興味あるんだけど」って連絡いただければ!→もっと興味あるんだけど、の方はオンラインMTGでもOKです!)

1.で、何に使えるのよ?

 まず、みなさんお忙しいでしょうから、経緯とかゴタクはいいから「てか、ぶっちゃけ何ができるの?」をまとめておきます。
(CORSTの主な機能)
 ①新株の発行
 ②新株予約権の発行
 ③株式の譲渡
 ④株主名簿・新株予約権原簿のブロックチェーン管理(証明)
 ⑤株主総会・取締役会のリモート執行
 ⑥株価算定・資本(株主)構成の試算
今回、僕らがこだわったのは、”執行”という部分です。徹底的に現場実務にこだわっているので、スタートアップや中小企業の少人数の現場=CEO・CFO・管理部長や総務部スタッフ、あるいはその支援をされているファームの方々のお役に立つもの。これを目指しています。試算やシミュレーションの機能もあり、それも大事なんですが、「資金調達・株式管理・投資家周り事務」は執行=エグゼキューションできてなんぼだと思うからです。

2.そもそも?何で作ろうとおもったわけ?

 僕らがやっている仕事は、スタートアップから普通の中小企業のエクイティファイナンスやM&Aのお手伝いがメインです。しかも、Part-time CFO業務、という所に重点があります。通常の外部アドバイザーとしての仕事もしますが、もっと現場に入り込んで(ハンズオンというやつですね)、経営者のガチの相談に乗ったり、ファイナンスの実作業をお手伝いしたり、顧問の弁護士・会計士の先生方と協業したり、といったこととなります。その際に、上記の①~⑥にまつわるような膨大な作業をくりかえしています。CORSTの開発を思い立ったのはもう5、6年前で、複数の案件のクロージングが重なったときに、「物理的にもメンタル的にも無理ゲー」という窮地に陥ったからです。しかも、この手のファイナンスの執行の巧拙は、投資家との交渉ごとやファイナンス条件の有利・不利に絡んでくることが少なくなく、”単なる事務作業”では済まないことが多いのです。ですから、見通しを立てつつ+作業もやりつつ、というヌエ的な面倒さがあります。
 その視点からさまざまな知り合いやクライアントのお話を聞いたり、状況を整理すると、どこの会社でも同じような悩みを抱えている、あるいはネット上のサービスでも、試算はできますよ、絵は描けますよ、というのはあっても実際に「何をどうすればいいのか最後の結果出るまで伴走してくれる」というのはなかなか無いのですね。こうした領域をなんとかしたい、で手作りし始めたわけです。

3.CORSTがあると何がいいの?

(1)誰トクなサービス? 

 スタートアップでは、数人なら現場から社長まで、十数人以上なら総務部・管理部スタッフからCEO・CFOに至るまでの方々の手と頭をなるべく解放することになります。そうしたバックオフィスを支援する弁護士や司法書士・アドバイザー等の皆様にももちろん使って頂けます。加えて、CORSTでは株主アカウントも作れるので、関係者間での株式譲渡にも使えます。
 さらに、株主名簿や新株予約権原簿の履歴はブロックチェーンでずっとトレースでき、修正があった場合も記録するので、透明性や客観性が保てる仕組みとなります。中小企業の株主名簿の信用度は一般にあまり高くありませんが、少なくともCORST導入時点以降は一定の株主名簿情報がトレースされ、M&Aや事業承継時のDDなどにも耐えやすくなることが期待できます。
 さらにさらに、CORSTでは、エクイティファイナンスに必ずしも絡まなくても、株主総会・取締役会の日程調整・招集・開催までカンタンに出来てしまうため、資金調達後のガバナンス運営も一気に高度化できてしまう、というのもウリです。総務部・管理部感涙ですね
 まさに、スタートアップや中小企業の現場における、「株式周り」の面倒をカバーしてくれるサービスとなります。

(2)視点をより高く持つと

 (1)では徹底的にミクロな現場視点でのニーズですが、もうちょっと俯瞰してみることもできます。
 いま、日本には株式会社は約256万社あります(「会社基本調査」(令和2年度、国税庁)。このうち、時点は少し異なるものの、上場企業は3,865社(東証分のみ、2023年3月1日時点)、確認できる外部資金調達をしたスタートアップは2,224社(INITIAL、2022年)に過ぎません。99%以上の会社はオーナー企業だろうと想像され、「株式管理?そんなん要らなくね?そもそも株主総会なんてここ何年も実際やってないし、取締役会もあって無いようなもんだし」という会社も多かろうと思います。その意味で、「現時点では」CORSTなどなくても別に構わん、という人もたくさんおられるでしょう。
 しかし、今後ますます人手不足や高齢化が進み、事業承継やM&A、起業が日本全体で不可欠になるのは間違いありません。「たたきあげの総務のオバチャン」・「なんでも知ってる神のような金庫番オジサン」の知恵とかアナログな紙作業や捺印、手計算に頼る時代ではなくなりつつあります。「売りやすい会社として最初から作っておく」などの準備も必須になるでしょう。投資家・株主にとっても「買いやすい・売りやすい状態」になってないと手が出せない、そういう会社選別の時代になります。そのときにこそ、CORSTは真価を発揮していくと考えています。この流れは、岸田政権が掲げる「スタートアップ育成5か年計画」における「未上場株式のセカンダリー市場を育てる」施策とも完全に合致するものです。

 CORSTは、日本の株式会社全部のエクイティ執行やそれに連なるガバナンス処理を高度化し、一層レベルの高い経営判断のサポートに貢献したいな、というのが目標なのです(偉そうですいません💦)。

4.先行きはどうするつもり?

 今後は、β版をブラッシュアップしながら、「対応できる取引や手続きを磨く」というサービスレベルアップの流れと、DAOやWeb3などの「新しいファイナンス手法にキャッチアップしていく」という取組みと、2つの大きな方向性を持っています。
 まず1つめの方ですが、目の前のお客様、スタートアップや中小企業の現場の皆様の手間から戦略リソースの解放を確実に積み重ねていきます。当然のことですね。一方、急速に変わりつつある規制や金融手法・ガバナンス手法を見据えて変化していくことも必要です。2つめの点は、必ずしも株式会社ではない組織、エクイティ性はあるが厳密な株式ではないツールなども扱える見通しを持ちたい。この辺は規制と技術の激変の中で、実際に使えるものができるのか、現実を見据えながら「その一歩二歩先をみて」取り組んでいくつもりです。

・・・とまあ色々書きなぐってしまいましたが、とはいえβ版。「偉そうなこと言う割にコレ全然使えねーじゃねーかよ!」というお叱りの嵐かもしれず、まずは目の前のブラッシュアップに頑張ります。

 一人でも多くの皆様のお役に立ち、多くのフィードバックをいただけたら幸いです。これからもよろしくお願いいたします!


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