映画ファースト・マンを観て思うホモサピエンスの変質

緊急事態宣言下のお盆休み、ファースト・マンを観ました。人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマ。月面着陸計画の進捗が遅いとの投げかけに、「飛行機が発明されてまだ60年しかたっていません。そのことを思えば既に大きな進歩です。」と返すアームストロングの言葉は印象的。

ホモサピエンスが誕生して20万年。道具を使い、集団で狩猟をする技術を身につけ、更に社会的関係性と仲間との情報共有と協力を重ねて農耕技術を手に入れる。こうして、地球上の生物を支配する地位を確立したこの1万年。そして20世紀以降の科学技術の発達。

これを人間の一生に投影させると、58歳まで親のすねをかじってぶらぶらしていた放蕩息子が、定年前の二年間で突然変質し、渋沢栄一のような偉業を成し遂げたようなもの。ホモサピエンスの変容ぶりに驚きます。なぜこうも変容したのでしょうか。以下は、いささか勝手な解釈です。

ホモサピエンスがもともと身に着けていた集団で協力する能力。「あなたは今、あの弱っている獲物を見つけて狙いを定めましたね」と、相手に合図を送る。「私はあなたの狙いを理解しましたよ。一緒に捕まえましょう。」と合意を図る。これができる生き物は、実はわたしたちだけ。長谷川真理子教授の言。

ここに、①マルチン・ルターが仕事の尊さ(天職)という道しるべを与えてくれたと思います。その後、②ジャン・カルヴァンが勤勉の大切さを教えました。①と②によって、精神面でホモサピエンスが大飛躍する土台が出来上がりました。

そこに、③資本主義という組織形態が発明されるに至り、産業革命以降の様々な分野での発展がもたらされました。

①→②→③→驚異的な飛躍。こんな因果関係を描いてみました。

民間企業による宇宙開発のニュースを見るにつけ、ライト兄弟が飛行機を発明し、100余年後には宇宙までもビジネスの領域にする資本主義とホモサピエンスの絶妙の組み合わせに驚愕します。

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