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のぶ読書「THE MANZAI -16歳の章-」

「一心不乱で目指した目標」
「クラスで一番の美人の隣を取り合った恋愛」
そんな誰もが経験する高校時代にあった青春。

ただ、この小説は恋愛や、目標ではなくて、男と男の絆を描いた物語である。
そう、友情の物語。

主人公「瀬田歩」は、中学2年の時に父と姉を事故で亡くし、
母とともに母の故郷で住むことになる。

そして、歩は、
その転校先の学校で同級生の「秋本貴史」から半ば強制的に、
漫才コンビ「ロミジュリ」を組まされてしまう。

嫌々ながらも結成した「ロミジュリ」は、
地元の病院や商店街、学校行事で漫才を披露して、
地元で注目を集めるようになったのだ。

そんな「ロミジュリ」の周りには、
歩と貴史の友人である森口、篠原、高原、蓮田により、
「ロミジュリを応援する会」が結成され、
まさに、楽しい青春の1ページを作成していました。

だが、歩が高校に入学する直前に事件は起こる。
貴史は父親の手術のためにアメリカへ行ってしまった・・・。

そんな事件が起こるが、歩は貴史がいなくなり、
漫才をしなくて良くなった、正々堂々したと、高校生活を過ごしていた。
なのですが、歩は貴史がいないことにどこか寂しい様子。

そんな寂しさを背負って過ごしていたある日、
なんと貴史が突然、歩の前に戻ってくるのです。

それからは、歩と貴史、とその二人を取り巻く、森口、篠原、高原、蓮田による、
若き日の青春を描いた作品になっています。

この小説を手に取ったきっかけは、
内容が漫才で笑えそうだったから。ただそれだけです。
笑える小説なんか読んでみたいなー、なんて思って、
何気なく手に取ってみました。

そんな何気なく取った一冊は、僕が思っていた小説とは違いました。
瀬田歩を始め、登場人物はみんな、しっかり笑える会話をしていて、
ニコニコしながら読んでいました。

ただ、漫才とか、思わず声に出してしまうようなシーンはなかったので、
思っていたような小説とは違ったのです。

しかし、残念ではありませんでした。むしろ、良かったです。
実はこの小説、なんとも心が沁みる、
読み終えた瞬間、ホッ、と遠くの景色を眺めたくなるような作品だったのです。

僕は、この小説が「一生懸命頑張って漫才の頂点を目指す血と涙の青春の小説」でその過程で笑いがあるのだと思い込んで読んでいたのですが、全然違いました。

青春は青春でも、友情というグッ、とくるシーンの連続に、
心温まる事を通り越して、心が痛くなるような小説なのです。
のぶは学生時代を思い出したのでしょうか。
とても素敵な小説でした。

瀬田歩の秋本貴史を想う心情がたくさん描かれていて、
読み進めるたびに、友情を感じました。

友情っていいですね。
友達を大切にして生きていきます。
心沁みる小説をありがとうございました。

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