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脂肪の塊

 
幼いころ
自家中毒という診断を受けたことがある
自分の体の中で毒素を作り出す

食べたものを受け付けられなかった
 
同じものを食べているのに、と
小柄な母が病院の帰り
坂道を登りながら
つぶやいた言葉を忘れずにいる
 

私の足には脂肪種というものがあって
そろそろ取らなくてはならない
同じところに三度もできるものを
良性と言われても釈然としないのだが
 
 
毒花というほど
毒々しくもなく まして華々しくもなく
聞き分けよく 小利口に、
さして事を荒立てることもなく(たぶん)
生きてきたはずなのに
 
長い間に
笑ってごまかして
受け入れたふりをしてきたものが
私の中で凝っている
 
 
そんな格好の良いモノでもなく
そんなたいそうなものでもない
ただの
脂肪のかたまり
美しさのかけらもないのが
少し口惜しい
 
 

手術したのは、夏でした


(0008)
 

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