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『未来の学校のつくりかた』を読んで

2030年の教育現場はどうなっているだろう?そんな疑問と好奇心をもとに著者は日本を行脚し、そして筆を取り、この一冊を仕上げた。

この本を読んで改めて教育現場とは”人を作る場所”であるなと感じた。
ここで言う”人”とは主役である”生徒”に限らず、教職員や地域の人を含む。もっと言うと、果たして”教育現場”は学校だけだろうか?

例えば大空小学校の章で語られている関わる人すべてに主体性を醸成する大切さや同校で身に付けさせる「人を大切にする力、自分の考えを持つ力、自分を表現する力、チャレンジする力」、またN校の章で語られている、同校で求められる課題発見能力や「させられている感」を失くす取組などはどんな組織でも必要とされる普遍的なものだ。

この本で語られているのは教育現場の課題であると同時にコミュニティの、そして社会の課題であった。
日本中を巡り歩くと、きっとそこかしこで同じ様な課題を抱えた場所があり、その理由も解決法も一つとして同じではないだろう。
この本を読んで、自分はここで語られている改革者にはれない、その様な人が現れたこの学校、地域はラッキーだった、と感じるかもしれない。
過去に彼らの成功話に触れて、自分でも挑戦をして失敗をして失意の中に諦めたくなった人もいるかもしれない。

でも、この本を読んで伝わってくるのは、人は人の背中を見て学び、成長をしていくということ。そしてその学びと成長には大人も子どもも関係がないということ。
今までやってこなかったことを試してみて、いきなり目の前の大きな課題が解決するなんていうことはよっぽど運が味方をしないとあり得ず、大体の挑戦は失敗から始まるだろう。
その失敗を”失敗”で終わらせるか”学び”に変えるかでその経験の価値は大きく変わるだろう。
結局人は学ぶことでしか前には進めない。
そして、変化は結局人の手でしか起こせない。

それであれば一歩を踏み出してみて、また一歩を踏み出した人を讃え、”やってみるか”の連鎖を繋ぎたい。
学ぶ楽しさを知った活き活きとした大人でありたい。
誰かが見てくれたときに恥ずかしい背中とならないように。
読後にそんな希望と勇気を与えてくれる一冊であった。

そして何を隠そう著者である税所篤快自身が“やってみるか“の精神を常に持ち、学ぶ楽しさを知っている人であるからこそ、この本は説得力に溢れているのだ。

彼の他の著書もエネルギーと未来への希望に溢れているので良ければお手に取ってみてください!


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