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”いいもの”はあなたを優しくする

仕事終わりにJVPF年次報告会(日本ベンチャーフィランソロピー基金)に参加してきました。JVPFとは、

Japan Venture Philanthropy Fund (JVPF) は資金提供と経営支援を通じて社会的事業を行う組織の成長をサポートし、社会的インパクトを拡大する為に設立された国内初の本格的なベンチャー・フィランソロピー(VP)ファンドです。ベンチャーフィランソロピーとは、成長性の高い非営利組織や社会的企業に対し中長期に亘り資金提供と経営支援を行うことで事業の成長を促し、社会課題解決を加速させるモデルです。(参照:同イベント案内告知)

年次報告会では、JPVFの支援の対象となっている株式会社/一般社団法人/NPOなどが、支援に至るまでの経緯から、当時の苦労・支援を得てからの発展、そしてこれからをプレゼンやパネルディスカッションといった形で紹介。

そして、その中で最も印象に残ったのが、株式会社和える の矢島里佳さんの

私がこの事業を始めたのは、”いいもの”は人を優しくしてくれるからなんです。

という一言。

今の世の中は、壊れたら、失くなったら新しく買えばいい、ものばかり。更に言うと、そもそも自分で所有しなくてもいいシェアリング社会がどんどん広がっている。そんな中で、自分が思いを持って手にした”いいもの”があって、例えばそれがカップだったとする。そしてそのカップはきっとお値段も張る。

綺麗だなー、とか、かっこいいなー、とか、こんないいもの使っちゃってるよ。ふふっ。なんて思うカップだったとして、洗いかごに入れた拍子に欠けてしまったり、食器棚の奥に入ってるお皿を取ろうとしたら前に置いてあったカップを引っ掛けて落として割れてしまったりなんかした日には、きっと悲しくて、ショックで打ち拉がれる。

そんな悲しみを味わいたくないあなたはどうするか。カップを手に取るとき、洗うとき、かごに入れるとき、棚にしまうとき、近くのお皿を取るとき、きっとカップを傷つけないように丁寧に扱う。今まで、普段のカップはさっと洗って、ぽんっと置いて、どんなカップか気にも留めたことなかったのに、だ。

つまりそこには優しさが生まれている。

その優しさは、そのカップに向かうだけに留まらず、親が大切にしている昔から家にある小物や、友人が大切にしているカバン、パートナーのお気に入りの洋服にも向かうかもしれない。

丁寧な暮らし方を覚える為に、いいものを普段使いしなさい。

これは、僕の茶道の師範でもある伯母にある日言われた一言。

割れたら金継ぎに出す、破けたらあて布をして裂き目を縫う、完全にほつれてしまったら袋にしてみる。僕たちがMaterial Boy/Girlになる前の人達はそうやって丁寧な暮らしを身に着けていたのかもしれない。

そして、そんな丁寧な暮らしがともすると失われがち、後回しにされがちな今の時代において、感性を磨いて、自分にとっての美しさを見つけることで、僕たちはまだ、その舵を切り直せるのかもしれないな。そんな勇気と希望をもらえた、素敵な一言との出会いでした。


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