愛してるってなんだろう。

たしか世界の何かの調査によると、
世界における愛の言葉ランキングで
「愛してる」っていう言葉は
酷く下の方の順位だった気がする。
 
そりゃそうだろう。
 
名詞の「愛」を無理やり動詞化してるんだもの。
 
「愛をする」っていったい何さ?
 
そんな風に考えれば「I love you」も
似たり寄ったりなわけだけど、
そっちの方はそんなに低い順位でもなくて。
 
その辺は西洋主義というか白人主義というか
そういうご都合があるから、
順位なんてさほど気にするものでもないだろう。
 
 
 
でも「愛してる」ってなんだろう。
 
こんなの考えれば考えるほどに
答えが出なくなる禅問答だと知っていて、
それでも考えてみたくなるのは
俺が考えることがただ好きな物好きだからである。
 
 
感情的には好きで好きでどうしようもなくて、
大好きが爆発しそうになって、
もう言葉にできないぐらいのものが「愛してる」。
 
なんだろうか…。
 
 
それとも好きとはまた違うベクトルにあるもので、
その人の全てを受け入れられるぐらいに
その人を求めてしまうのが「愛してる」。
 
なんだろうか…。
 
 
こんなの人によって違ってて、
「好きの延長線上にある言葉」の人もいれば
「求めまくる言葉」の人もいれば
「セックスの時に使う言葉」の人もいれば
「よくわからないから使わない言葉」の人もいるだろう。
 
つまり正解なんてないわけで、
それは別に「愛してる」に限らずに
そもそも日本語の言葉のチョイスなんて
人によって違っているものであって。
 
 
とてつもなく香りが良いものがあるとして、
「いい香り」という人もいれば
「素敵な香り」という人もいて
「優しい香り」もいれば
「かぐわしい香り」もいて
「懐かしい香り」もいれば
「甘い香り」もいて…。
 
なんて感じで、
言葉に対する概念や感覚が人によって違うから、
ひとつの物事に何通りも表現方法があるのが
日本語の面白くてあやふやで奥ゆかしいところ。
 
 
 
そんでもって、結局「愛してる」が何かなんて
やっぱり人それぞれ違っているとしか言いようがなくて。
 
 
「愛してる」は現在進行形で、原形は「愛する」。
 
広辞苑によると「愛する」は
①心が惹き付けられ慕う。慈しみ、可愛がる。大切に思う。
②(特に異性間で)相手を慕う。恋する。
③すきこのむ。
④適度にあしらう。あやす。
⑤愛撫する。
 
 
ほれ、もう何でもありだ。
それっぽい表現が続々と並んでる。
適度にあしらうなんて意味もあるし。
 
「なんで?なんで?」と何でも尋ねてくる年頃である
「『なんで病』の子供を愛する」って言えば、
適当にあしらっているって意味になるっぽいし。
 
 
 
というわけで「愛してるってなんだろう」から始まった
今回の俺の書きながら考える「考察」は失敗に終わった。
 
 
いいじゃんいいじゃん。もう好きにすれば。
 
みんな愛してる愛してる。
 
愛してるったら愛してる。
 
 
なんて言ったら、
その辺の冷めた人に「はいはい」って
愛されてしまうんだろうけど。