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おとおとの 日曜日の話


今週は
以前、おとおとの屋根の上の話で登場した
ケンモチくんことモチのお話。

モチはおとおとの小学校の同級生でスポーツ万能、純粋、シュッとした顔の三拍子で女子からも割と人気者だった。
いいやつってのはわかっていたのだが、おとおとはモチのことをあまり好きではありませんでした。

いや…
好きではないというか、
正直煙たいやつでした。

いやいや、違うのよ。自分と違ってスポーツ万能に嫉妬しているとか、自分の半分くらいの顔の大きさを妬んでいるとかじゃないのよ。

じゃあなんでか。

だってあいつおれの事大好きなんだもん。

.…あ、いや、ほんとほんと。

スポーツ万能でハンサムなリア充がなんで運動嫌いのコマンタレブーのことを大好きなのか。


そりゃまあ...…おとおとの魅力が不思議と人を寄せつけちゃうんでしょうな!
だが困ったことにモチはバカだ。
運動バカ。
というか体力バカ。
純粋バカ。

日曜日の朝7時から
「おとちゃん遊ぼう」と家のチャイムを鳴らすのだ。

めちゃ迷惑じゃね?
平日にさんっざん校庭だの公園だのでずーーーっと一緒にいるくせに。
なんならあいつ学校の目の前に家があるくせに「一緒に帰ろう」と駅ひとつ離れたうちの方まで着いてきたりする。
バカだから。
なのに朝7時からうちのチャイムを鳴らす。

お前は日曜に何時起きだよ。

おとおとなんてあにほど出不精ではないにしろ(デブだけど。うるせっ)日曜日は家でゆっくり『いいとも増刊号』やら『あっぱれさんま大先生』やら『雷波少年』を観たい。
午後からは『スーパージョッキー』でたけし軍団vs女子プロ軍団も観たいし、夕方からは『ぐるナイ』も観たい。
なのにあいつは7時から公園で遊びたがるのだ。
つまりバカなのである。

「おとちゃん遊ぼ。」

「おいモチ。日曜日だぞ。平日バカみたいに遊んでんだろ。」

「でも、今日も公園で遊びたい。」

「ほか当ってくれ。」

「やだ。ほか誰も遊べないし。」

「俺も遊べねーわ!!俺は今日は1日家にいるんだ!」

「じゃあ家にあげて!家で遊ぼう。」

室内遊びを提案してくるモチ。
.…やだけど。俺はテレビ見ればいいからまあいいか。

「じゃあ上がれよ。」

おとおとは朝7時からモチを家にあげた。
すると奥から寝起きスッピンの母が鬼瓦みたいな顔で現れて一言。

「朝っぱらから家に友達あげてるんじゃねー!!外で遊べこのバカチンが!!」

そしてモチはおとおとごと外におっぽり出される。
もちはケロッとして公園でも行くか!というような顔をしている。
結果モチはおとおとと外で遊べるし、モチと一緒におっぽり出された僕は朝7時半から公園でバカみたいな顔して遊ばなきゃいけない。

だから僕はモチが嫌いでした。

今、40前になったあいつはあの頃と変わらん顔で
おとおとを飲みに誘ってくる。
モチに誘われたらカミさんもなんも言わないので
僕はいまのモチは結構好きである。

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