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あにの 初恋の話

 おとおとの3女のお食い初めにぞろぞろと参加して見事に頂いたおとおと次女の風邪が、あに、次男、長男の順で順繰りに感染している、夏休みにはいったばかりのあに一家です。つらい。

 さて、初恋の話です。
 物心ついた頃から気の多かったあに少年。恋の話なんて履いて捨てるほどあります。履いて捨てたい恋の話もたくさんんあります。

 先日かみさんと二人で家飲みをしていたとき。
 いつものようにうんこネタ、おちんちんネタで妻から笑いを取ろうとする(そして毎回十分以上の実績を挙げている)亭主に辟易としたかみさんから
「もっとキレイな話はないんですか?」
というクレームが入ってしまいました。毎回あんなに面白そうにしているのに。理不尽ですね。ならばあにの恋愛遍歴でもお話してみましょうか……ということになりました。
「それは本当にキレイな話になるんですか?」
という妻の疑問の声は聞こえないふりをします。

 あに少年が初めて恋をしたのは、約3歳。お隣に住む5つ年上のお姉さん、よっちゃんでした。きっかけは……まあ、今思うとよっちゃん以外に周りにいる女の子といえば、1個下のさっちゃんとふーちゃんだけ。3歳のお兄さんから見たら2歳児なんて、ちょっと賢い子犬以下の知能しか持たない昆虫程度の存在しかいないわけですから、よっちゃんのことが好きになるのも自明の理。つまり、環境ですね。

 そんなあに少年が幼稚園に入園して最初に好きになったのが、同級生のヨシミちゃんでした。母親同士も中がよく、お互いの家もそこそこ近かったのでよく遊びにいったり遊びに来たりしたものです。ところがある日を境にぱったりと幼稚園に来なくなってしまったヨシミちゃん。家があったところにはいつの間にかアパートが建っていて、いつの間にかお別れをしてしまいました。

 その程度のお別れにはめげないあに少年。次に目をつけたのはサキちゃん。理由はまあ……顔ですね。かわいかった。うん。
 サキちゃんとはなんやかんやで仲良くなり、いつも一緒に遊ぶような仲になりました。思えば兄少年が
(テレビのアニメでもドラマでもよく「好きだ!」とか言ってるけど、これ実際に相手に伝えるのってすごく勇気がいるし、難しいなぁ……)
と気がついたのはこの頃でした。
 その後、なんだかそういうのが全部めんどくさくなってサキちゃんから逃げ回るようになり、自然と一緒にいることがなくなってしまいました。

 で、その次がナナちゃん。7月7日生まれでナナちゃんとは、随分と安易な名前をつけたものだ……と当時思っていたのを覚えています。
 ナナちゃんはいつもしっかり三つ編みお下げを編んでもらっており、あに少年は「ネビュラチェーン!」なんていいながらそのおさげをブンブン振り回していた(当時男の子の間で聖闘士星矢が流行っていた)のですが、そんな男の特有のかまってもらいたい気持ちと恥ずかしい気持ちが入り混じっった典型的な好きな子に意地悪する男の子ムーブをかましていては、仲良くなれるわけもなく、特にこれといった進展はありませんでした。

「その後小学校に入学してから、同じクラスのリエちゃんから始まり、チヒロちゃん、マユミちゃん、ユキちゃん、アユミちゃん、ナオちゃんと、続くわけですが……おくさま? 寝てます?」

「寝てませんが、もういいです……」

「えー、ここから塾と学校で二足のわらじを履く怒涛の中学生編から、ヨネヤマくんとばかり遊んでいた高校編、色々乱れていた大学編と大河ドラマのように続くんですよ? 今夜は……寝かさないよ!」

「本当にもうお腹いっぱいです……」

「じゃあ逆に、こんどはおくさまの恋愛遍歴を聞かせなさいよ! 失恋を肴に酒を飲ませろ!」

「私の初恋は……あにさんですね」

 ああ、やっぱり女ってずるいんだって思った夜でした。

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