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オバちゃんの菜飯

河口湖大橋を富士山側に渡り少し行くと、
天井の高い、まるで急ごしらえの体育館のような大きな八百屋さんがあったのだが…。
先日 久しぶりに通りかかると、そこはもう跡形もなく更地になっていた。

かなり前のことだが、その店で青々生き生きとした葉っぱのついた大根を買った事がある。
店内には、威勢の良いとりどりの野菜が所狭しと並び、白い長靴をはいた、これまた威勢の良いオバちゃん達が、活き活きと動きまわっていた。

「いい葉っぱだね~♪  俺、この葉っぱが好きなんよねぇ~」
と言うと…
「どうやって食べてる? 炒めて?」
「ん… ご飯に炊き込んで、食ってる」
「えっ? 炊き込んで? あたしゃね 生の葉っぱを細かく刻んで塩もみしてから、炊いたご飯に混ぜるんだよ、 その方がうまいよ♪😊」

この、愛知県育ちだというオバちゃんの言うとうりにしてみると、
これがなんと、実にウマかった。
以来コカブなども、あれば葉付きを買い求め、この方法で食している。

あの時のこの会話は、今でもしっかりと思い出すことができる。
オバちゃんの顔はまるで覚えていないのだが…^^;

オバちゃんは、もの凄い美人だったわけでもないし、プリンプリン♪でもなかったと思う。 いや、腹はプリンプリン♪していたかな?(失礼^^;)
気さくな人で、まるで子供の頃からの知り合いと話しているような気がした覚えがある。


今や、この世界に不可欠とも思えるコンビニエンスストアも、
激しい競争からか、もぐら叩きのモグラのように目まぐるしく現れては消えていくが、この八百屋さんのような店が消えてしまうと、はぁぁ… ( ´Д`)=3 なんぞと、ため息をつき、思わず電信柱などに もたれかかりたくなる。

明るくて、てきぱきしていて、人懐っこかったあのオバちゃん達は、
今、どうしているだろう…。
時の移ろいとは、、 良くもあり 淋しくもあるものだ。

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