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代替肉はスーパーのどこに並ぶ? マーケターが知らない売り場の世界 #マープス

無料のオンラインマーケティング講座「マープス」も第5回です。

今回は、池田さん講師回ではなく、ゲスト回。
公益財団法人 流通経済研究所の山﨑 泰弘 様が講師でした。

※参考図書はこちら

今回の講座概要

最新の話も混ぜながら、リアルの「売り場」について、教科書的なお話がたくさんありました。

1.マーケティングにおける売り場の需要性
2.メーカーにとってのインストア・マーチャンダイジング
3.インストア・マーチャンダイジング(ISM)の体系
4.店頭を変えるリテールテクノロジー

聞き逃したくなくて、ずっとメモを取りつつ聞いていて、自分のこと(ネット、BtoB)に引き寄せて考えることができなかったので、講義の最中はあまり内容が頭に入ってこなかったかもしれません。

今、このnoteを書きながら、メモを見返して、思い出しているところです。

とはいえ、私は以前、年間売上が数百億円規模のECサイト運営会社にいたので、その時に、小売りについて勉強し、実際の売り場についてもいくつか本を読んでいたので、まったく知らない知識はほとんどありませんでした。

リアルな売り場の進化

リアルな売り場も日々、進化しています。もともと、「売り場」というものは1パターンしかなかったものが、エリアごと(高齢者が多い、ファミリー層が多い)に店舗が設計され、今ではアプリを使った1to1のアプローチもできるとのことです。

結局、棚のレイアウト、動線、商品のグルーピングといった話で、人間の脳が認知しやすくなるように商品を目立たせることは、ネットと変わりがありません。

リアルな売り場について、人間の脳の認知に関する新たな事実が見つかれば、設計方法が覆されることはありそうです。昔からある売り場に新たな事実って見つかるものなの? と思われるかもしれませんが、1980年代のPOSデータにはじまり、現在では、購入する人の目線にカメラをつけた調査、AIによる分析、VRを使ったシミュレーションといった調査方法が変化しているので、リアルな売り場といっても、新事実、新たな常識はまだまだ生まれそうな予感がします。

棚のレイアウトとグルーピング

棚、グルーピングの話でおもしろかったのは、トマト缶をどこに置くか?  というお話でした。イタリアンなのか、缶詰のコーナーなのか。スーパーによって違います。また、現時点でうまくいっていない例として、代替肉の話がありました。肉の代替品なので、肉売り場にあるべきだけれど、スーパーでは精肉担当が管理しないため、どうしても豆腐コーナーなどに置かれてしまっているとのこと。それじゃ買ってもらえませんよね?

店舗とメーカーの利害の不一致

今回、特に、講義の中で意識しておく必要があると感じたのは、売り場を作る店舗と、商品を販売するメーカーの利害が一致していないという話です。

店舗は、全体の売上が上がることを目的にしているし、メーカーは、自社の商品が売れてほしいので、他社メーカーが売れても嬉しくはありません。

店舗は、売れるためなら値引きをしたいですが、メーカー側は、ブランド戦略として、価格を下げたくない場合もあります。

利害の不一致は、ECにいた時にもよく感じていました。ECでは、売り場の面積はいくらでもあります。大事なことは、サイトに来てもらうフックになる魅力的なブランド誘致です。三顧の礼で誘致した人気ブランドの担当者は、やたらと強い。ECサイト主導のセールの戦略にも簡単に乗ってくれないし、利益を決める〇〇率もメーカーが主導して決められていました。

実際の売り場で考える要素はこちら。

品揃え(Product):商品構成、商品分類
売り場づくり(Place):フロアレイアウト、棚割
価格(Price):定番価格、特売価格、EDLP(Every Day Low Price)
販売促進(Promotion):チラシ、エンド、デモ、アプリ

メーカーは、売り場の制約がある中、

・自社製品を含むカテゴリーの売上最大化を目指す
・自社製品のインストアシェアを高める
・小売業との取り組みのための共通言語

として、店舗・棚を理解します。

ネットの場合は、検索されればお客様にリーチできますが、リアルの売り場では、商品が置いてないとリーチできなません。欠品しないようSKUごとのバランスも考える必要があります。欠品を防ぐために、均等に売り場に置くのではなく、売れ筋を多めに用意します。

メーカー側は目立たせるために、POPをつけたくなりますが、スーパーの1万SKUを超える商品すべてには、POPをつけることができません。メーカーも、店舗のことを理解して、店舗のメリットになる方法を提案しないといけません。
(ドン・キホーテさんは商品名がPOPになってるのも、わざわざPOPを用意しなくても済むためのものですね。)

ネットの売り場との関係

講座の参加者に、リアルな商品の販売をしている人が少ないだろうという配慮から、ネットの売り場についての言及もありました。

ネットであっても、やはり、「並び順」「どうやったら目立つか?」という考え方は同じです。まずは、主要なECモールで買えること。次に、主要モールで、カテゴリーで検索がされた時、どう表示されるか? を考えます。

最近の興味深い例としてウォルマートでは、よく売れる商品は最初からカートに(ミルク、卵などの)商品を入れる取り組みもあるそうです。勝手に入れるものではなくあくまで、過去の購入履歴から、高確率で購入するであろう商品をカートに最初から入れるそう。Amazonの再購入ボタンのようなものですね。

参加者が明日考えること

今日の最後のメッセージは、「今の売り場がどうなってますか?」を考えましょう、ということでした。

特に、メーカーの担当者は、自分の商品のカテゴリーの売り場しか見ないことが多いですが、実際のお客様はその売り場の棚だけを見ているわけではありません。棚では目立っていても、お客様と同じように回遊してみると棚に来ることがほとんどないかもしれない。

「自社製品の売り場を知る。棚だけじゃなく、店舗として理解する」というメッセージをいただきました。お客様と同じ動きをしてみるというマーケターの行動は大事ですよね。すべての顧客と同じ行動を試すことはできませんが、こんな行動は絶対しない! こっちのほうが買いやすい、という感覚は持ってないと。理論(抽象)だけじゃダメだということは、この講座に参加するようになって感じるところです。

※次回の講座はこちら

過去に経験したECでは、毎回の買い物で利益を確保する方法でしか販売したことはなく、顧客最大価値を意識した商品を販売した経験がありません。ちゃんと考えたことがなかったので、予習して臨みたいところです。

ECに関わっていた時、ちょっとだけブログに書いたことがありましたね。この辺を読み直して、思い出して、臨みたいと思います。


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