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夢を欲しがっていた、あなたへ

「自分の人生にある程度満足はしているものの、この後も一生可も不可もない人生が続くのかと思うと不安になる」という類いの話を、大人になるにつれよく耳にするようになった。

これは最近気づいたことなのだが、私は世間でいう所謂「夢ややりたいことがある」方の人間らしい。そして、これもまた最近気づいたことで、世の中には「夢ややりたいことに飢えている」人が意外と多い。

ところで、夢ややりたいことがないと話す人ほど、優しい人が多いと思うのは私だけだろうか?

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つい先日、『販促コンペ』というものに応募した。販促コンペとは、協賛企業の課題を解決する販促(販売促進)のアイデアを考え、提出し、競い合うコンテストのことだ。

要するに面白そうなことを考えた人が勝ちという大会である。

ここ数週間の私は、この大会に応募するための企画書作りでひっきりなしに忙しかった。しかし、友人からの誘いというものは、なぜかそういうときに限って、やって来ることが多いもの。

結局のところ、誘惑に負けやすい私は忙しい忙しいと言いつつも、なんだかんだ週に2回21時スタートで通話アリのオンラインゲームの会にも参加していた。

電話の向こうで「最近どう?」という言葉が飛び交う。

数ヶ月前に大学を卒業し、社会人になったばかりの私たち。だからなのか、話題の大半は、お互いの職場の話と大学時代に戻りたいか否かの話だった。

流れで、私が最近コンペに応募しようとしていること、その準備が案外大変なことを話した。一通り話し終えると、電話の向こうから「すげぇな」と返ってきた。

続いて「自分にはそういう夢とか目標とかがあまりないから、やりたいことを見つけて努力しているのはすごい」という言葉が返ってきた。

思いがけない褒め言葉にどぎまぎし、私は「そうかな」と適当に笑ってその場を流した。なんとなくでやり過ごしつつ、頭の隅では、多分本当にすごいのは私じゃなくてあなたの気がするけどなどと思っていた。

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やりたいことがないという人の良いところは、受け入れたり、共有することが得意なところだと思う。そして、それはとても優しい行為だ。

だからなのか、やりたいことがないという人ほど、コミュニケーションが上手かったり、痒いところに手が届く優秀なサポートタイプの人が多い気がする。さらには、遊びの誘いに快く乗ってくれたり、トレンドを押さえた着こなしの上手いお洒落な人も多い。

ここまで書いてきた自分が言うのもなんだが、やりたいことがない人ってなんて多彩なんだろう。なんでもさらっとこなせちゃうバランス型のスマートな人たちばかり。すごい、すごすぎる。もっと威張ってもいいと思ってしまうくらいすごいぞ。

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いきなりだが、やりたいことがある人とない人の関係性は、きっと癖っ毛とストレートヘアの人たちの関係性に近いと思う。お互いを羨ましいと思い合ってしまう、隣の芝が青く見えてしまう関係性、無い物ねだりの関係性。

だからこそ、やりたいことがある人とない人はチームになるといいのだと思う。凹と凸がぴたりとくっつくように、両タイプが1つになることができれば、より楽しいことになるはずだ。

やりたいことがある人が車だとすれば、やりたいことがない人は操縦者だ。どんなにいい車でも操縦する人がいなければどこにも行くことができないし、操縦者だけでは遠くに行くことは難しい。しかし、もし両者が揃ったのなら、きっと私たちは何処へでもいける。

以前、夢ややりたいことが別にないと言っていた子の「私自身は60点かもしれないけれど、関わる人によって100点にすることは可能」とツイートを見かけた。

60点の私たちはお互いが影響し合うことで、100点に近づいて行くのだろう。だからこそ、私は彼女とこれからも一緒にいるのだ。

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