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You people を観て…

エディ・マーフィーが白人と結婚する黒人の娘の父親役で出ている映画 you people を観た。

You people ってどういう意味?と夫に聞いてみると、自分とは違う人種、違う宗教、違う社会的クラスの人に対して使う言葉だと言っていた。
あんたは部外者、自分たちの仲間じゃないと思っている人に差し向ける時に使うので、簡単に口に出さないほうがいい言葉だ。
例えば黄色人種の私が、白人に向かってyou people と言ったら、私とあんたは違う人種だとわざと伝えてる感がある。

例えばキリスト教の人が仏教の人にyou people と言ったら、あんたは仏教やってんだろみたいなニュアンス…

例えば市役所に務める公務員の人がIT系のフリーランスの人にyou people と言ったら同じ日本人でも、俺らとあんたらは全然違うんだよという意識を表明するような感じ…

アメリカはヨーロッパからの移民がアメリカインディアンを追いやって作った国だ。

西部劇の時代に無法地帯でカウボーイ同士がお互い気に入らないとすぐに撃ち合いをする場面などがある。

移民同士が集まってプラス黒人を奴隷として連れてきてできた国。

そして宗派の違いはあれど徹底的にキリスト教をアメリカ本土に布教していった背景がある。

その後さらに同じ民族、同じ宗教、同じクラスがそれぞれに集団として大きく成長し団結し存続されて今日に至っている。

最近見たニュースでグウェン・ステファニーというアメリカの白人女性シンガーが「私は日本人なんだ」と言った事でアジア系アメリカ人たちの間で炎上してしまった。
彼女は子どもの頃から日本に縁があって日本文化に親しみがあったので来日したり、バックダンサーにもハラジュクガールという名前をつけたりしていた。

そういうこともあり日本を好きなあまり「私は日本人なんだ」と言ってしまったらしい。

アジア系アメリカ人は彼女はビジネスのために日本の文化を盗んで使っていると感じて怒ったらしい。

様々な人種がいて多種多様な文化があるアメリカはそれぞれ自分の属性のアイデンティティを守ろうとする意識が働くという側面もある。

だからyou people !よく知りもしないで、自分たちの文化を盗んで金儲けするな!となってしまうのだ。

何かあれば、白人を批判してやろうという意識も多く、白人が他の人種の文化を真似て取り入れると容赦なくやっつけようとする人たちもいる。

私個人の正直な感想としては、そうやってやっつけようとする日系含むアジア系アメリカ人だって、アジアのそれぞれの国で生まれ育った経験もなく長年住んだこともないのだから、その国の本当の文化なんてよく知らないはずだ。

けれど私もその人たちをyou people !と自分の意識に入れ込んだら彼らの同化してしまう。
人を分けて分けて更に細分化するって事をやりすぎると自分で人と境界線や壁を作ることになる。

こちらに来て二人の日本人女性と話す機会があった。

私「ここでは日本の食べ物には期待しちゃダメみたいですね」

Mさん 「こっちの人は蕎麦つゆでも何でも甘くしちゃう」

私「たしかに…でも日系の方たちもいて、話すと日本の食べ物を知っているけれど」

Mさん 「でも日系って言っても、もう4世5 世の時代じゃ、少しだけ知ってる日本の文化とこちらの文化と混ぜ合わせて作っちゃってるのだから、数年前に日本から来た日本人は日本の味など期待しちゃダメよ www」

蕎麦つゆがメチャ甘くても、それは彼らの作った文化なのだから否定しちゃいけないのだ。

それぞれのグループに所属する人が自分の所属するグループ以外のグループの人に先入観、レッテル、バイアス、思い込みを取っ払うのはけして容易ではないだろう。

私は黄色人種の日本人、夫は白人のアメリカ人。

私たち夫婦は相互理解することを意識すべきだろうが、日常生活ではただの人間同士で人種的なことより、時にその個人の些細な言動や行動を気にかける方が圧倒的に多い。
毎日一緒にいる夫婦の日常生活にはほとんど平凡な問題があるだけだ。

お互いの食生活の違いも毎日一緒だと折り合いをつけてだんだんと適当にやっていくようになる。

最近、生活を通して「人が共存するってことは諦めと馴れ合いから成り立つ」ってつくづく感じる。






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