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ハワイ移住をおすすめしない理由

日本人に人気のあるハワイ。

私はマウイ島に住んでいるが、夫はアメリカ人でアメリカ本土から三十年ちょっと前にアメリカから移住してきたのでここでの生活の基盤が固まっている。

だからまあなんとか暮らしているわけだ。

お金があり余っている富裕層を除いて、これからハワイに移住したいと思っている日本人には御薦めしない。

アメリカ人にも人気のあるハワイ。
うちの近所はアメリカ本土からの移住者が多い。
アメリカ本土からの特に白人はオアフ島よりもマウイ島を好む。
今近所に住んでいる人たちは30年位前にマウイ島に来て家を買った人たちだ。

その当時は日本円で言えば2000-3000万円くらいでなかなか広々したバックヤード付きの家を買うことができたそうだ。

ロスという店内でレジに長い列に並んでいる時、私たちの前にいた白人女性が退屈して話しかけてきた。

こういう事は当たり前でペラペラ喋りながら待つ。

彼女はコネティカット州からマウイ島に三十年前に来たそうだ。

その時だったから家を買えたけど、今なら絶対無理だわ~と言っていた。

ハワイの土地は値上がり続けて、この辺りの家も最近は1億円超えが当たり前になってしまったそうだ。

たから家賃も高い。
ワンベッドルーム、ワンバスルーム、たいして広くないリビングダイニングキッチンでも20万前後はする。
しかも家賃は毎年安くても10-20%値上がりしていくのだ。

年収800万円ある若者でも食べていくので精一杯、贅沢などできないし家など買うことはできない。

だからずっと親と一緒に住んでいる。
それも親が地元住人で家があればの話だ。

親は子どもたちが自分で家を持つのはもやは無理だとわかっているので、自分たちが生きてるうちに子どもたちに家を譲ることができるように弁護士と話し合う。

ハワイの先住民族が祖先なら代々の土地家屋に住み続けることができるハワイアンもいる。
彼らは固定資産税を免除されている。
なぜなら米国がハワイの土地を奪ったからだ。
最近はそれでもハワイで食べていけずアメリカ本土に移るハワイアンもいるそうだ。

移住するにはまず住む場所が必要だ。
この問題が解決できなければ初めから移住は無理だ。

そして収入。

一部ネットやニュースなどでアメリカは日本より給与や時給が高いから、出稼ぎして稼ぐ日本人もいると、あたかも日本より良い暮らしが簡単に手に入りそうなイメージだが、日本にいた時は20-30万の給与がこちらに来て50万に、ウェイトレスの高時給とチップで月に40-50万稼いだとしても、高い家賃を払わなければならない。

ウェイトレスをして稼いだというのはワーキングホリデーの短期滞在や労働VISAなしで違法労働した人もいたかもしれないし、そうだとしてもその人は長く滞在することは不可能なので、一時しのぎだろう。

現実は労働賃金はアメリカの州の中でも低めで物価はダントツに高い州の中の一つだ。
若い時の一度だけの体験がしたかったから、それが終われば日本に帰国し、楽しい思い出だけが残るだろうがアメリカン・ドリームを夢見て挑戦したもののここ数年のアメリカのインフレで食べていけなくなった人たちは続々と日本に帰国しているようだ。

アメリカの会社は日本のように交通費など支払ってくれないので、どんなに長距離でも車通勤のガソリン代もすべて自腹だ。

若い夫婦で、子どもができて夫婦とも働くとなると子どもを保育園に預けなければならない。

日本に比べて保育園代がメチャクチャ高いのもアメリカ。

日本円で1人10万くらいかかる、子ども二人なら20万。
妻が仕事を見つけて働いても保育園代に支払いが大きかったり、逆にマイナスになったりするので働かず家で子どもの面倒を見る主婦も増えてきているそうだ。

何でも高いハワイにはこれ以上住めないから親のいるアメリカ本土に帰国したり、移住するアメリカ人も増えている。

異常な物価高で酷いと卵が1ケースで1200円くらい、トイレットペーパーは18個で2500円くらいする、ペーパーナプキンも6個で1800円くらい…それならやめればいいのにアメリカ人はふきんを不衛生と考えるからどうしてもペーパーナプキンを買う。野菜類500円、バーガーセットでも1200円、あげたらきりがないがたいした物を買ってなくても一回で1万円から2万円などあっという間にかかってしまう。

そして外食が酷い。
ワイキキなど観光で行って短期滞在された方にはこちらに住んでいる庶民感覚で思う外食が不味いというのはわかりにくいかもしれない。

例えば先日、夫の父が夕食に近所のカジュアルなレストランに連れて行ってくれた。
夫はバーガー、義父はフィッシュアンドチップス、私とパティはアヒという魚のソテーと炒めた野菜がライスに乗っている料理を注文した。

値段は書いてなかったがそんなに高くなく$20くらいかなと思っていた。

その料理はなんと酷い有様でこれなら家で素人でもできるくらいのレベルでパサパサの魚、焦げた野菜炒めがのったただの白飯で$37、約五千円なのだからビックリだ。
義父は料理、飲み物、タックスとチップで2万円くらい支払っただろう。
義父に申し訳ない気持ちになった。

バレンタインデーの日に海沿いのレストランに夫がランチに連れて行ってくれた。

メニューに牡蠣フライがあったので日本を懐かしく思ってオーダーした。

お値段$26だった。
ランチにはちょっと高いと思ったがこちらで牡蠣フライを食べるとこのくらいは取られるのかと思っていたら、なんと運ばれてきた牡蠣フライの小さな事!

女性の親指くらいの大きさ。
日本であんなに小さな牡蠣は見たことがなかった。
そしてカリッとしているのでなく、噛むとガチっと硬い。
そして牡蠣フライの上には初めからケチャップがタップリかかっていた。
私はケチャップ味じゃなくてソースとタルタルをつけて食べたかったのだ。

しょぼーい少〜しの千切りキャベツと小さな牡蠣フライだけが皿にのっていた。

私はまた外してしまったかと思った。

食事に関してはハワイは本土から運ばれるのでなんでも高いし、鮮度も良くないし、特に美味しいものなどないのに何でも超高い。

そして日本のようにすぐにどこかにニュースポットが出来たから出かけるというような娯楽施設などはない。

だからファーストフード店が新しくオープンするだけでも地元民は大喜びでドライブスルーに長蛇の列を作って待つ。

先日チックフィレイというファーストフード店が出来て、うちの夫もまんまと並びに行った。
買ってきてくれたブレックファストメニューで、小4個セットの小さなビスケットの間にフライドチキンが挟んであるチックンミニーズというファーストフードを買ってきた。
パサパサでアプラっぽく味も曖昧で美味しくなかった。
こんなものでも地元民は新しいお店ができると大喜び。

マウイ島にある水族館も日本の水族館に比べるとショボいけど、料金は日本に比べて高い。

だから地元住民は人や家族の家に集まってBBQして飲んで食べるしかないのだ。

単身できた日本人は知り合いや友人も少ないだろうから、それもできないだろう。

もう一つ言うと、地元民は短期滞在者や旅行者にはけっこう冷たい。

直ぐに島を離れていく人や年の内数ヶ月の滞在者とはうちとけようとしないのだ。

ミドルクラスのアメリカ人の生活は厳しいので、旅行もしないし、日本人のように簡単にカフェ巡りや外食なんて行けない。

めちゃめちゃサーフィンやゴルフを毎日やるからハワイに住みたいという人でなければ退屈極まりない。

日本人はのんびりしたい時、疲れている時はお湯に浸かったり温泉に行ったりするけれど、ハワイはシャワールームのみの家も多く浴槽があっても浅いので温まれない。

ハワイは地域ごとに気候が異なる。
この辺りは冬は長い梅雨もあり15℃くらいの日も3ヶ月くらい続く。

ハワイの家は暑さ対策が優先されるので床はタイルが貼られていて、気温が15℃くらいの日が続くと家の中はかなりひんやりしていて、分厚い裏起毛のトレーナーを着ていてちょうど良い。
寒い時は熱めのシャワーを浴びて体を温めるしかない。

我が家よりさらにアップカントリーの地域の家にはファイアープレイスがあり朝晩は暖を取っていて、その地域の人をスーパーマーケットなどで会うとミトンのショートブーツを履いていたりフリースを着ているくらいだ。

ハワイだから年中ショートパンツ、半袖シャツで過ごせるかと思いきや冬物の衣類も必要だ。

極めて大切な事として医療費や健康保険。
日本のような国民健康保険がないので、保険なしで病気や怪我をしたら最悪何百万円も請求が来ることになる。
出産でさえもだ。
だから出産した翌日にはそく退院するアメリカ人…
務める会社によっても健康保険の内容は違う。
ある保険には歯科治療は含まれてないとか、ある保険にはレントゲンなどの検査費用は含まれてないとか…

だから70歳を過ぎてもなるべく長く雇用してくれて、保険内容の良い会社にしがみついて働いている人もたくさんいる。

ハワイは日本人が思い描くような楽園ではなく、ここ10年くらいで更に物価高の生活は厳しくなったそうだ。

そして治安もだんだん悪くなってきているし、ホームレスがここ数年で目に見えてわかるくらい増えている。

日本のおとなしいホームレスとは違ってアル中やドラッグ中毒性などで精神病も抱えているホームレスの奇行を目撃する。

今年か来年にはハワイ州もリクリエーションとしてのマリファナ使用が合法になる。

使用者が全員健康的に安全に使うとは限らず、ドラッグ中毒者はマリファナもドラッグも何でもやってしまったり、マリファナを過剰に摂取して車の運転をして蛇行、急ブレーキなどされるのも危険で迷惑。

それでなくてもこちらは飲酒運転などでフラフラおかしな運転をする人がいるのだから。

それでももしハワイに移住したいなら相当な覚悟が必要だ。

ハワイでも十分余裕を持って暮らしていける年収を得られるか、スキルや能力があるなら別だが、そんな人はアメリカ人でもごく一部の人だ。

アメリカ、特にハワイから見たら日本はかなり暮らしやすい国だ。

日本も物価が上がってきたとは言え、韓国もタイもどの国も物価が上がっている。

ハワイに住んでいると日本の物価が羨ましい。

日本の良さは日本にずっと住んでいるとわかりにくいかもしれない。

ハワイは旅行で来るのが一番いいですよ〜と言いたい。





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