海外駐在2か国経験者が考える海外駐在すべき6つのメリット

コロナ禍において、海外駐在どころか海外出張も難しい時期が続いていますが、危機はいつか終わります。駐在者数を減らす企業が多くなるかもしれませんが、それでもゼロにはならないでしょう。

さて、海外駐在のメリット・デメリットを書いていきたいと思いますが、結論から言うと、海外駐在はオススメです。株の世界で言えばストロング・バイです

もし既に駐在の打診があるのであれば是非、オファーを受けて頂きたいし、チャンスがあるのならそのチャンスを掴むための努力をすることをオススメしたいです。

どの国に赴任するかによっても状況が異なると思いますが、メリット、デメリットについてはどの国に赴任しても当てはまる内容と考えています。

海外駐在のメリット

①仕事の範囲・責任の拡大

赴任先の法人は本社より規模が小さくともひとつの法人と成立しています。売上規模こそ小さくても、会社を運営していくに伴う各機能は必要になってきます。会社内で部署を持つか外注するかの違いこそあれ、駐在者が積極的に関与する必要があります。

これまでの僕は「営業です」、私は「マーケです」と日本での担当領域だけに留まらず、全方位で対応していく必要があります。

赴任当初は仕事の範囲の拡大に戸惑いと不安を覚えつつも、次第に慣れますし、とにかく自分がやらないといけない状況です。

また、仕事の範囲が広がるとともに責任の範囲も広がります。権限、裁量を得るということになるわけですが、日本で求められていた判断レベルを一段も二段も上げていく必要があります。例えば、日本で課長職であった人であれば、現地法人では部長又は役員といった会社の方向を決めていく判断、決断が求められます。

こちらも仕事の範囲同様に最初は自分の判断に不安を抱えながらということも多いと思いますが、慣れるし、判断も早くなってきます。僕も実際赴任当初は「この判断で正しいのだろうか」と自問自答しながらの日々でした。

しかし一旦自分で会社の方向性を決める判断をする醍醐味を覚えてしまうと、もうやめられません。

多くの駐在員が、駐在期間の間に視座を高め、マネジメント能力を上げることが出来るのはマネジメントのOJTが日々繰り返されるからでしょう。

この1点のみでも海外駐在をする価値があると考えています。

②海外生活の経験

島国の日本では日本語文化圏で過ごすことが可能です。それはそれで居心地の良いものですが、ビジネスマンとしての視野という意味では市場がグローバルに開かれていく中では少々物足りないものになります。

海外旅行ではなく、海外生活をすることで日本とは異なる文化圏と日常的に触れることになります。違う価値観に触れることで、日本を客観視、比較することにより視野を広げることが可能です。

赴任者本人も然りですが、家族が帯同する場合は家族にとっても良い刺激になることでしょう。

③語学の習得

海外ですからもちろん仕事も生活も赴任先の言葉を覚える必要があります。人間、そういった環境に放り込まれた時が一番強く、語学の習得も早いです。

英語圏であれば英語、英語圏でなければ生活は現地語、仕事は英語と現地語の両方、といったところでしょうか。

日系企業ですと日本語が出来る社員が現地にいますが、信頼を得るには現地語の習得はマストでしょう。

日本で言語学習に多額のお金を投資して身に付けようとする人が多い中、生活しながら言語習得できるのは「儲けもの!」と捉えるのが良いですね!

④可処分所得の増加

これ、実はかなり生涯所得アップに貢献すると考えています。企業により手当、福利厚生など様々ですが、一般的には以下のような手当・福利厚生が考えられます

海外赴任手当(危険地手当)
住宅手当
子女の教育費
一時帰国手当
医療費(海外旅行保険等)
住民税の支払いなし
当地の税金は企業負担

僕の感覚的には手取額が1.5倍ぐらいになるイメージです。企業によっては2倍近くなるケースもあるのではないでしょうか。

⑤駐在仲間の存在

日本社会にいると、趣味を通じた友人、学生時代の友人との付き合いといったものがあるかと思いますが、同じ海外組として頑張る他社の駐在員さんとのお付き合いもかけがえのないものとなるでしょう。

3年~5年の間に入れ替わり立ち代わりがあっても、同じ異国の地で頑張った仲間たち。帰任後もお付き合いが続くことが多いですし、今はFacebookなどのSNSのおかげで帰任後の様子もお互いよく知ることができます。

⑥駐在経験は転職に有利

赴任先で任される仕事の多くは日本より職位が上がりマネジメントレベルのものとなります。規模は小さくとも法人であることには変わりません。ひとつの法人に責任を持つのは大変なこと。また役員職でなくとも、一部門の長を任される。

しかも現地のスタッフを引っ張っていくのですから、とても大変ですが、その対価として得る経験は非常に大きいですね。

30代で現地法人役員を経験すると転職時に提出する職務経歴書はやはり目を引きますね。

一方で、これは駐在員を送り出す企業の課題でもありますが、帰任させた後のポジションで赴任時よりも魅力的なポジションを与えることができるかどうか。

それが適わないとより大きなチャレンジを求めて転職する、というのは自然の流れでしょう。

海外駐在のデメリット・課題

①赴任国によっては家族の帯同が難しい

先進国であれば治安面ではある程度の安心をもって帯同できますが、東南アジア、インド、中東などは知識がないことによる不安があり帯同を躊躇することがあります。

しかし多くの場合、企業も過去の経験の蓄積により治安の良いエリアの住居を借りてくれ、安全面には十分配慮した対応をします。

ただ、家族の方が言葉の問題やカルチャーの問題でどうしても抵抗がある、また子供の教育のタイミングにおいて日本に残りたい、といった理由で帯同が難しいケースがあります。それぞれのご家庭の事情に合わせてよく話し合いのもと単身か帯同かを決めるのが良いでしょう。

ただ僕としては、やはり家族と共に異国の地での苦楽(ほとんどが楽しいこと)を共にするのが良いと考えています。

②帰任後のポジションとモチベーション維持

これはメリットの⑥でも挙げた内容ですが、帰任後に赴任地での責任範囲よりスケールダウン(法人→部署、法人→課など)してしまう、意思決定の裁量が狭まるなど、諸々の事情でモチベーションの維持が難しくなることがあります。

次の海外赴任を目指すか、社内でより責任のある立ち場につけるチャンスがある、など見通しが立たないと転職を考えるのも自然な流れだと思います。

そのため帰任後のことも含めたキャリアパスを会社は示せると良いですね。

③日本に帰りたくなくなる(笑

これは多くの駐在員経験者が罹ってしまう病気みたいなものですね(笑

裏を返せば駐在生活が公私にわたりいかに充実したものであるか、ということだと思います。

もちろん海外生活が肌に合わずに帰任することになってしまう方もいます。しかし僕の知る限り、最初は不便な環境に文句を言っていた人も半年も経てば住めば都状態。3年経つ頃には帰任命令が来ないようにと祈り始める人を多く見ます(笑

帰りたくない病の克服法としては、現地でそのまま転職するという方法です。私も検討しましたが、やはり現地採用の案件が多く断念しました。現地採用がいけないということではなく、やはり給与、福利厚生面の条件が下がってしまうため簡単には受けられない、ということです。

海外駐在が決まった時の準備

①言語学習

TOEICの勉強に加えて、現地で使う言語のフレーズを赴任前から勉強するのは非常に良いと思います。以下の投稿でシンガポールで活躍されている岡田兵吾さんの英語の関する本を紹介していますのでチェックしてみてください。

②文化・生活習慣・宗教・歴史についての学習

赴任先の文化、生活習慣・宗教・歴史についても事前に勉強していくのが良いでしょう。その国の人達を理解するのに文化的背景を理解するのは必須事項。赴任後に商工会議所等が主催している新人赴任者向けのセミナーでは文化・習慣の話は必ずあります。

また、その国でのタブー、NGについても知ることはとても大事ですね。

例えば多くの国では、会社内でスタッフに注意をする時は個別に周りに人がいないところで行うのが良いとされます。これはむしろ日本も含めてどの国でもそうなのですが、外国の場合、下手をするとハラスメントによる訴訟などに発展してしまうケースもありますので、この例に限らず勉強は必要ですね。

ポジティブな面で言えば、外国人である我々が赴任国の文化や歴史について理解を示していれば、その国の人達にとっては嬉しいのは容易に想像できるかと思います。

これらを勉強する目的の根底にあるのは赴任国とその国の人々への「リスペクト」です。

まとめ

海外駐在のメリットとデメリット、いかがでしたか。

メリットとデメリットの数の比較をすれば一目瞭然ですが、僕は海外駐在を強く推奨します。コロナの後に、海外駐在枠が減るかもしれませんが、いきなり無くなるということもないでしょう。

僕もこれまで2ヵ国に駐在しましたが、虎視眈々と3ヵ国目を狙っています。一度味わったら止められない、ということですね!

是非皆さんにもこの楽しさを味わって頂きたくこの記事を書きました。

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