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SixTONES/CITY(総括)ー君の生活は僕の生活、そして全て

SixTONESの2ndアルバム『CITY』を聴いた。おかしくなるくらいずっと聞いてる。めちゃくちゃに好きだから、何がそんなに良いのかを記していく。

2022年の音楽は始まったばかりである。それ故この時点で過言を書き殴るのはどうかと思う。当然ながら自分の想像を超えるような名曲、名盤が出てくる可能性はこの先十分にある。そうでないと困る。しかし、おそらくこのアルバムが今年1番になってしまうのではないか?という思いが既にある。まずコンセプトが本作は秀逸である。

サブスクで音楽を聴くことも、アルバムを通して聞かない層が増えていることも周知の事実である。そのような中で、「最初から最後まで繰り返し聞ける程の強度を持ったオリジナルアルバムを今放てるか?」と言う課題が個々のアーティストに与えられているように思う。

それを踏まえた上でSixTONESが行った実験は非常に画期的である。カップリング数曲や特典映像が違うだけの差分で複数形態存在するCDを売ること自体はもはや常識化しているが、そこを逆手に取ったような戦い方だと思う。どこの世界に収録曲順をそれぞれ3通り用意したアルバムが存在するだろうか?おそらくない。

音楽はビジネスであるからたくさん売れたほうがいい。そのお布施がアーティストを支えられるなら構わない…と考えるファンは少なくないだろう。その意見に反論する気はないが、同じタイトルのCDを何枚も買ってここまで幸せな気分になったことは僕にはなかった。

それぞれ違う表情を見せるアルバムに気持ちが躍った。1粒で3度美味しい。美味すぎる。どこから聴いてもステキな1日の流れが演出されている。

朝日が登ると共に初回A盤を再生する時、SixTONESと共にラジオ体操をするように心身が目覚めていくのがわかる。労働に向かうモチベーションが高まり、全てをやり切った後に帰宅して一杯やる夜までを想像できる。「今日も頑張らねえとな…」なんてついつい口に出てしまう。帰宅後、通常盤を聞くと深い夜がリビングを包む。ほろ酔いの体に染みる切ない音を抱き締めながら、パーティーチューンに酔いしれた後に明日を想像する。明日もちゃんと朝日が登る世界を想像できる。あるいは休日、夕方から少しウォーキングを始める時に初回盤Bを再生する。国道沿いを歩きながら今日と明日に想いを馳せる。明日からまた始まってしまう仕事、その朝を想像する。少しだけ気持ちが上向きになれる。

ずっとSixTONESと音楽、1日が繋がっている。ずっと支えてくれてる。明日も、明日もちゃんと生きたいと思える。そういうアルバムを彼らは作り上げた。今日、リリースから1ヶ月以上経過しても全く錆びずに彼らの音楽は輝く。3枚全て買って良かった。全部買ったら何かに応募できるわけでも会えるわけでもない(会いたいけど…会いたいよ田中樹に、SixTONESに。君たちはヒーロだって、ありがとうって伝えたい)。少し映像が違って曲順が違って、ボーナストラックが少し違うだけである。しかし彼らはその少しだけの差分に大きな付加価値を与えた。そのこと自体が音楽史に残るくらいの偉業だと僕は思う。ただ枚数を稼ぎたいからではなく、3形態にちゃんと意味を持たせている。33年生きてきて、たった1ヶ月の間にこれだけ繰り返し聴いたアルバムはなかった。

朝、夕方、夜、3つの顔を持つアルバムそれぞれの光が反射する時、音楽は全ての人の暮らしに寄り添う存在になることができる。それぞれの暮らしがこの街を生きる人にはある。多様化を極める現代において、その働き方もまた様々になってきている。そんな2022年に朝から始まるだけの作品をリリースするのはナンセンスである。聞く人それぞれの顔や生活、時間帯を思い浮かべながら作られたような優しさが本作には詰め込まれ、溢れ出している。

そして牛丼屋に朝食を食べに来たくらいの気分で来店したら和洋折衷の欲張りセットフルコースを振る舞われるような勢いで色々な音楽が1枚のアルバムから聞こえる。日本語と英語をほぼ違和感なく繋げる歌唱法も見事としか言いようがない。邦楽、洋楽のいい所をちゃんと理解して形にできてる。そこに大きく貢献しているのがハーフのジェシーや京本大我のハイトーンであることは明白であるが、2人の歌に影響を受けながら残り4人の歌声も魅力的に映る。

海外からの風を受け止めながらBTSなどと肩を並べられそうな爽やかポップスを柱に、いつかのV系バンドやロック、シティポップ、歌謡曲に想いを馳せることもできる。ジャニーズ大好きマンが感涙するほどの王道ソングもある。ジャズ、ファンク、R&B、ヒップホップ、ニュージャックスイング、LDHパリピ系クラブサウンド、ボカロ系譜を叩き込まれた最新系オタクソングまで…その全てを飲み込みながら「俺たちがSixTONESなんだ。君の為に歌うよ」と叫ぶように音楽を奏でる。

しかしながら様々な要素を混ぜ合わせても、それが器用貧乏になるような印象は全くない。全部が突き抜けている。

以前、ラジオに田中樹が出演した際の一言が延々と頭に残っている。全然それぞれのジャンルに失礼になんてならない。絶妙に何もかもをミックスされたSixTONESと言う音楽に抱きしめられる。これだけ色んな曲があれば何かひとつとは言わず、2つ、3つ…その人それぞれの音楽履歴や趣向にフィットするものが必ず存在する。やがて点と点が線になり、アルバム曲全てが愛しくなる。1曲も飛ばせない。歌声もみんな綺麗だし上手い。アイドルであることなんて常に忘れてしまうくらいに。

だからと言って3枚全てを買って聞いてくれと言う気は毛頭ない。皆それぞれの生活がある中で音楽にお金を払うのは大変なのである。だけどたった1枚、レンタルに流通するであろう通常盤を聞くだけでも僕が話した内容は理解と想像ができると思う。

友達から借りたって良い。CDならそれができる。サブスクを解禁できてないのは悔しいし、正直サブスクにないから「じゃあ聞かなくて良い」と思われるのは仕方ない。しかし1年前にそんな判断を僕がしていたら…きっと後悔してもしきれない今を迎えていたと思う。

今この文章を読む君はSixTONESをあまり知らないかもしれない。1年前の僕と同じである。そこから少しだけハードルを飛び越えてくれないだろうか?僕は気づいてしまった側として今伝える必要がある。SixTONESがめちゃくちゃ良いってことを。CDでしか聞けないアルバムだけど聞く価値は大いにあった。それだけは言える。

とにかく好き嫌いを超えたところで今SixTONESが良い音楽を本気でやっていることが1人でも多くの人に届けば良いと願う。それだけでいい。僕は彼らを見つけた。良い音楽を見つけた。君もその発見者になってくれたら話がしたい。ただそれだけである。

My life is your life
Your life is my life
My life is our life
Until the end of time
(Everlasting)

アルバムのキーとなる名バラード“Everlasting”で彼らは訴える。「僕の生活は君の生活」、この何気ない一言に覚悟を感じた。このアルバムを聞く誰かの生活は自分自身の生活そのものだと彼らは歌う。簡単に言えることじゃない。その覚悟を感じ取ってくれたなら1番嬉しい。

SixTONESは音楽を愛し、良い音楽を届けようとする為に努力惜しまない音楽集団なのである。それはこの先もきっと変わらない事実。それさえ伝われば何も言うことはない。

同じようなルーティン、同じような音楽を繰り返す日常にピリオドを打って先に進まないといけない。本当は気づいてる。気づいたら動けば良い。僕だってここからもっと羽ばたきたい。SixTONES以外の音楽にもアクセスする。きっと先に行く。

さあSixTONESと共に新しい世界の扉を開けよう。



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