ショートショート︰おまじない
どのくらい経っただろう。思ったより早く目が覚めてしまい、布団に潜り込んでこのまま時が止まればいいのになんて思っていたのに、きっかり決まった時間にアラームが1日の始まりを告げてくる。
リビングに行くと誰もいなかった。お父さんはとっくに仕事に行ったし、お母さんも支度をしているのだろう。4月は家の中が何かとせわしない気がする。
食パンがトースターで焼けていくのを眺めていたら、お母さんがぱたぱたとリビングにきた。
「あら、おはよう、今日から学校あるよね。」
「うん。今日は午前だけ