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妄想酒場  午後から雨模様だった日

いらっしゃい。

今日は予報どおり午後から雨だったけど、
濡れてないところを見ると、
ちゃんとかさ持ってたのね?えらいえらい。

まず一杯目はレモンサワー?
はいはい。

まずは、これでどうぞ。

そう、うなぎの肝、うれしいでしょう?
と、いうことは…

そう、ちゃんと鰻も用意してあるのよ。
うふふ、絶対食べたいっていう人いると思って。

じゃぁ、用意するからちょっと待っててね。

そうそう、
なんでかさ持っててえらいって言ったかというとね、
今日の午後、入るときは降ってなかったのに、
本屋さんから出たら雨が降ってたの。
それでその軒下で雨宿りしている人がいてね、

えぇ、それでもし同じ方向なら傘に入れてあげようか、
ちょっと迷ったのよ。
だけど、とても背が高い男の人で

あ、鰻にはお酒にする?
了解、今もうできるからね。

はーい、おまちどうさま。
今年も無事、土用の丑の日に鰻が食べられてよかったわね。

平賀源内も草葉の陰で喜んでるわね、きっと。

あぁ、そうそれでね、とても背が高かったから、
小さい折り畳み傘に二人で入ったら
二人とも肩がびしょ濡れになっちゃうと思って。
それで「これじゃあ文覚ですね」って、言って
冗談が通じなかったら気まずいなとか…

えぇ、そうなの本屋の軒下でそんなことを
色々と妄想して…
結局自分だけ傘さして帰ってきちゃった。

だけど……
やっぱり、傘に入れてあげればよかったかしら。

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