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作品を残すと言ふ事・・・

40歳を超えた頃だったか・・・恐怖を感じるやうになった。

それは・・・自分が今まで生きてきた「証」を多く残せていないと言ふ事に気付いたから。自分は音楽家なので・・・「証」と言ふと「音」の事。音楽は「瞬間芸術」と言ふ事で、私にとっての「証」とはCDや映像などの「作品」と言ったトコロ。

それまでは・・・所謂「Live」に重きを置き活動を続けてきた。即興を多く取り入れた音楽が中心ゆえに、「その日」「その場所」「オーディエンス」と一緒にいかに創造していくか・・・? そこに命を燃やしてきた。今日より明日・・・明日より明後日の方が良い演奏が出来る。そんなアレを信じて。

まぁでもね、ふと思ったわけよ・・・。今自分が死んだら何が残る?と。「何もないわっ!!」
それにね・・・アーティストとして「作品」を残すって事は「恥を残す事」って考えるやうになった。
と、言ふ事で・・・この頃からかな、「作品」を制作する事にも尽力するやうになりました。

LaTICA 1st mini album 表
LaTICA 1st mini album 裏


サックス奏者「福田ひとみ」との出会いは、自分の音楽人生においてとても大きな出来事だった。サックスとキーボードのデュオユニット「LaTICA - ラティサ」を2017年に結成。彼女とは、音の感触が近いと言ふか・・・「音」と「映像」をイメージする上の「塩梅」が合うと言ふか。なかなかココまで合う人は今世ではいないね。「ラティサ」結成以来、数枚のミニアルバムと、そしてフルアルバムでは他プロジェクト含めると5作以上は共演した。

上記した画像は、私達にとっての処女作。アルバムタイトル「LaTICA」。ライブを収録したり、もしくは私の古民家でオンボロ「ミキサー」使って、友人から貰った「ハードディスクレコーダー」に一発録り。それを無料音楽ソフト「Audacity」で編集。当初は予算も無いから写真撮影は私が。近所の堤防に彼女を立たせ撮影。裏面は残雪残る「雲月山」にて。「Illustrator」は苦手だったので「Photoshop」でデザインを行なった。撮影ポイントの引き出しの多さは・・・「ロードバイク」からの恩恵だな。

でもね・・・。この作品は、今でも一番好きなんだ。ツアーをブッキングする時など、先方に聴いて頂く資料はいつもコレ。そりゃあね、今の作品の方が総合力は上がっているよ。「知ったげ」に、ちぃと良い格好したかったら今のアルバムを送ると思うんだけど・・・。この作品は、飾り気も何も無い・・・ありのままの自分達の心を描写した作品だと思っている。コチラ↓で視聴いただける。この部分はライブ収録なんだけど、8割は即興で行なっています。本当、良い意味?で適当に演っています。



作中、「リムスキー・コルサコフ」「熊蜂の飛行」をモチーフに遊んでみたり、クラシック奏者である相方を存分に活かしたいと言ふ思いで構想した。当時、リズムトラックはスマホ(アンドロイド)で「カオシレーター」のアプリをダウンロードして使用していた。ほんと、何でもありの発想よ🤣 そして、余談ではあるが、「創造」「アレンジ」、共に大切なのは「遊び心」だと思っているからプライベートでも全力で「遊ぶ」事を心がけている🤣🤣

コチラの作品は当然?「CD-R」を自分達で焼いて・・・。ジャケの紙は「セブンイレブン」の「マルチコピー」で出力。プリンターも持っていないからz🤣 出力した紙をカッターで切り、それと盤を封筒に入れて完成。なんとも「工作」感溢れる「作品」に仕上がった。そして今でも「ネットショップ」などで売れた時は当時と変わらぬ製法で作っているよ🤣🤣 それにしても・・・この「作品」はめちゃくちゃ売れたんですよ。


2nd mini album 'SVAROG' 表
2nd mini album 'SVAROG' 裏


コチラの「2nd mini album ’SVAROG'」も同じやうなアレで制作。この頃から特に・・・「感情」「社会背景」「文学」を描写するやうになった。英国時代、嫌いだった科目「英文学」の作品の登場人物を表現したり。むしろ彼女をその登場人物に見立てて曲を創造した。

作曲は音楽的な記載ではなく、「物語」「色彩」「言葉」「世界観」を重要視した。「五線紙」では表現出来ない事の多さに気付いた。

「CORDELIA」がまさにその楽曲なのだが・・・シェークスピアの作品「リア王」に出てくるリア王の実直な末娘の名前だ。文学は漫画と違い「画」が無いから、「想像」の領域で意識を共有してゆく。彼女とはこの辺の「塩梅」が相当にあうわけよ。

まぁ。こう言った流れで。コレ以来、この5年間で・・・。私はようやく作品を残せるやうになったんだ。実にピアノを嫌々習わされたのが4歳だとして、わりと納得いく作品が作れるやうになるのに私は40年以上もかかった事になる。紆余曲折。諦めかけた事も数知れず・・・。同志に感謝・・・。

それにしても時間かかり過ぎだろ🤣 


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